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22・悩みは発明を産む

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 数日後、第二王子の執務室にて、純一郎とドトーリンは机を挟んで向き合っていた。

「まさかココまで抱え込んでいたなんて……」
「まぁ、若いですしね。立派に出店の目標掲げてメニュー開発してる表情ったら……輝いてましたよ」
「王宮を出た後も多少はサポートはしていこう。そして、ジュンイチロー殿……父上は、貴方が勇者の後釜になるのは構わないそうだが、スキルや容姿は秘匿するという条件付きとなる。よろしいか?」
「願ってもない申し出です。俺は名声が欲しいわけではないので喜んで」

 俺の立場を改めて何処に置くのか王子と話し合っている時だった。

『バァン』

 突然、ノックも無く扉が乱暴に開けられた……王子の執務室にこんな無礼な入室出来る相手は限られている。

「ドトーリン! 勇者を入れ替えるなど認められるか! しかも、後任は王宮に入る気が無く、魔王討伐にのみ動くだと!?」
「兄上、ノックはしてくださいと言ってるでしょう」
「やかましい!」

 カッカして声を荒げているのは、ドトーリンとよく似た容姿を持つカリン・J・エルコンドル。この国の第一王子であり、政殿を王と共に担っている。

「コレが魔王を屠った男娼か」

 純一郎にずかずかと歩み寄って無遠慮な視線を送る。

「お目に掛かれて光栄です。原野 純一郎と申します」

 膝をついて挨拶をするが、カリンは純一郎の腕を掴み上げてすぐに引っ張り立たせた。

「たった一人で魔王を討伐出来るものか! 勇者は我が国にとって最も重要な存在だ! それを生きている内に替えるとは言語道断!」
「何事も初めてはありますよ。カリン様?」

 純一郎はカリンの目を見つめてクテっと首を傾げて見上げる。
 
「っ……く、ならばフェル火山の魔王を単独で討伐して来い!」
「仰せのままに」

 純一郎は微笑を讃えてカリンを見つめ続けた。まるで乙女に魅了された男児のように顔を赤らめたカリンは、純一郎に魔王単独討伐を命じた後、執務室を飛び出していった。

「……はっ」
「……ふぅ、全く」

 呆れ返るドトーリンと深い溜息を吐く純一郎。

「中々の魅了テクをお持ちで」
「王子の助言が無ければ狼狽えて何も出来ませんでした」

 純一郎はドトーリンからカリンの弱点を聞かされていた為、臆せず堂々としていられた。

「(王子なのに、魅了が効きやすい体質なのは大変だな)」

 カリンは、魅了の効きやすい体質で極めて惚れっぽい。自身にも魅了のスキルがあれば相殺される筈なのだが、彼の場合は魅了を防ぐ事が出来ない。なので、ハニートラップが非常に有効だ。

「こんなおじさんの魅了にさえあの反応……ちょっと可哀想ですね」
「体質としか言いようがない……それに、ジュンイチロー殿は搾精のレベルが高いのもあり、男を誘惑するフェロモンも出てる所為で魅了がより効きやすい」
「え? 俺、臭いですか?」

 純一郎の搾精はより精を得る為に自分の身体から男を寄せるフェロモンを出し始めた。
 本人に自覚は無く、衣服の匂いを嗅いで加齢臭を気にしている始末だ。

「ふふ、大丈夫。頭が一瞬ボヤっとする花の蜜のような香りだ。それより、本当に単独で魔王の討伐へ?」
「体調が整い次第。黒竜を倒した時とは桁違いのステータス値ですから」
「……男娼と言うのも真実なのか」
「スキルのおかげで苦はありませんよ。想像も付かないでしょうが、中々悪くないんです」

 自分の乱れっぷりを思い出し笑う純一郎に、ドトーリンの喉が鳴りかけた。

「ゥウン! では、出立前には一声かけてくれ」
「はい」

 純一郎が第二王子の執務室から退出し、王宮を去ろうと早足で廊下を進んだ。

「ジュ、ジュンイチロー様!」
「(見つかった……)」
「良かったです。間に合いました」
「(間に合わなかった……)」

 王宮に顔を出すようになって数日の間、純一郎は聖女マナリアと“そういう”関係になってしまっていた。

 聖女の私室に部外者の男が出入り出来るわけもなく、よって行為が行われるのは人気の無い空き部屋。
 鍵をかけ、二人きりの部屋が卑猥な音で満たされる。

「ん! んんっ、ジュンイチロー様、やはり、おじょーず、ですっ」
「(口淫にハマらせちまった……)」

 両膝を付いて無抵抗な純一郎の口に勃起している男性器を咥えさせて、頭を掴んで腰を振るマナリア。
 綺麗な女性が自分の喉にイチモツを打ち付ける姿を同情を含んだ目で見上げている純一郎だが、興奮で密かに腰が揺れていた。

『ジュボッ、ズニュ、グボン!』
「ぁあっ……気持ちいい……イっちゃいますぅう」
「んっ!」
「あぁぁ……ッッ」

 純一郎の頭を押さえつけ、股間に固定して喉奥で射精した。

『ビュルルルルー……』
「……ぐっ……んぐ、ん、ぁ……ケホッ」
「はぁ……はぁ……ジュン、イチロー様、毎度……ありがとうございます」
「……このような事、そろそろ辞めましょう。バレては事でっ」
『ピト』

 純一郎の口に再び質量を持ったマナリアの亀頭が当てられた。
 呆れたジト目でマナリアを見上げる純一郎に、顔を赤くしながらモジモジと内股を擦り合わせて恥じらうふたなりの聖女。

「わかっては、いるのですが……どうしようも、出来なくて……申し訳ございません」
「……仕方ない。とりあえず治めましょう」

 再び口淫を始める純一郎は、舌先で尿道を刺激したり裏筋を舐めて刺激を与えた。

「ん! じゅ、ジュンイチロー様」
「早く、イってくらはい」
「そこで喋っては……んぁ」

 快楽に耐えるように歯を食いしばるマナリアに、純一郎は吸い付いた。
 一度イって敏感な性器がもう一度果てるまで、そこまで時間はかからなかった。

「ダメ、でちゃ……ああ! ふ、ふぅ……」
「んく、ふっ……ンく」
「はぁ……きもちぃ、あたまとろけちゃいます……」

 純一郎の口を白濁で汚す事に背徳感を覚えながらも、その快感に抗えず、咽頭に突き入れるのを辞められない。
 純一郎はマナリアの性処理を手伝わされる事に抵抗があった。女性にふしだらな行為をされている側なのだが、してる側の気持ちになっているからだ。
 どうにかこのセフレのような関係を解消させなければならない。そう考えながら、今日も聖女の精液を飲み干した。

「ありがとうございます……ごめんなさい。いつもいつも」
「四回目ですよ……流石にご自分で慰める事を覚えてください」
「はい……」

 賢者タイムでしょんぼりしているマナリアだが、純一郎はこのやり取りを既に二回していた。

「(……これじゃ、また同じ事になる)」

 マナリアが一人で自慰が出来るようになれば、純一郎の心労は無くなる。

「(あ! そうだ!)」

 ピンと思い立った純一郎は、王宮を出たその足で武具屋のゲンゾウの元へ駆け込んだ。

「ゲンゾウさん! オナホ作ってください!」
「おなほ??」

 オナホ。オナニーホールとは、主に女性の膣を模した形状の筒状の道具で、挿入する柔らかな穴の中に陰茎を入れて摩擦運動で射精を促す為の器具である。
 紙に断面図を描き出して、ゲンゾウに説明を行う。

「……こんな感じの、鶏肉のようなしっとり柔らかなすべすべの穴に潤滑油を入れて、シコれるヤツ」
「……えぇ……なんだそれ。男なら手ですれば良いじゃねえか」
「手で満足出来ないヤツが居るんです。おかげで俺は顎が外れそうで……素材だけでも買えませんか? 自分で作るんで」
「…………いや、俺に任せろ」

 簡素な形状ではなく、きちんと機能するように内部構造を工夫する事を約2時間かけて考案する。
 そして、ゲンゾウが寝る間も惜しんで試行錯誤し、翌日には完璧なオナホが出来上がっていた。

「おお……流石です!」
「お前のオーダー通りに作ったぞ」
「ゲンゾウさん……あなた天才ですね」

 聖女の部屋にあってもおかしくない形。一見花瓶にしか見えないオナホに純一郎は感動していた。

「……これ成人向けで販売していいか?」
「あ、はい。特許はゲンゾウさんでいいですよ。ご自由にどうぞ」
「いいのかよ。まぁ、いいならやら好きにせてもらうぜ」

 後に、大ヒット成人商品となるアナホの誕生である。
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