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15・魔王討伐その後の予定

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名:ハラノ ジュンイチロー
LV:69
HP:4180(+25876)
MP:0(+2)
ATK:3275(+6775)
EDF:3275(+6775)
スキル:搾精超強化Lv3、肉体性感度(高)
    ∟搾精スキル抽出
     ∟魅了Lv1、鑑定Lv3、気配遮断、追跡、生成術Lv2


「何があった!!」
「すみません! 壊してすみませーん!!」
「武器の事じゃねえよ!」

 ゲンゾウさんへ謝罪も兼ねて魔石とマダラに混ざって球にしてしまったバトルアックスを持ってきた。
 モモとカムフラも一緒だ。

「そのレベルの上がりよう……いや、元が低いから素のステータスが悲惨だが、何やったんだよ!」
「手強い魔物と会って、いろいろあって、その、あの……レベルが上がりました」

レベル爆上がりした経緯をあわあわしながら伝えると、ゲンゾウさんは額に手を当ててため息を吐いた。

「はぁ……その防具も魔力が尽きて自動修復が出来てねえな……あんな数値の魔力が尽きるって一体どんな魔物と戦ったんだ」
「…………あ、ははは!」

 笑って誤魔化すが、ゲンゾウさんにジト目で睨まれてしまった。
 その後、ゲンゾウさんの作業場で防具の修理をしてもらった。

「この球に混ざってる大量の魔石はなんなんだ?」
「あ! この子が偶然掘り当てまして!」
「バウ!」
「……お前、魔王倒してきたろ」

 ギクゥ!!
 なんでバレたんだ!?

「そ、そんなわけないでしょ! いくら俺が搾精スキル持ちでステータス上乗せ出来るからって、魔王討伐なんて無茶ですよ!」
「正直に言え……じゃねえと、武器治さねえぞ」
「…………はぃ」
「なんでそんな大事な事隠すんだ。お国の英雄だぞ」
「俺の討伐が国にバレたら面倒臭い事になるんですよ!」

 魔王討伐の栄誉と富は冒険者の誰もが欲しがるものだろうとゲンゾウさんは言うが、俺は国とは関わりたくない。けれど、勇者の力にはなりたい。

「とにかく! 絶対に絶対に俺が討伐したなんて言わないでくださいよ!」
「わか、わかった。そこまで言うなら言わねえよ」
「そろそろ、バレる頃なんで変な噂が流れると思いますけど、気にしないでください」
「下準備万端じゃねえかよ」
 
 ツッコミながら魔石を練り込んだバトルアックスを生成してくれた。やはり職人の技術は真似出来ないや。
 
「魔石含有量が高いから、これ持ってるだけで防具の自動修復も持続可能だ」
「ありがとうございます!」
「……今度店行くけど、お前何処担当なんだ?」
「尻壁です」
「…………ぁぁ」

 ドン引きされたけど、納得はしてるみたいだ。
 
『出来れば私が全て独占したいが、支配人との約束が先だからな。仕方あるまい』

 と、言いつつ少し悔しそうにしている。番と言ってもお互いに口で誓っただけだが、この口約束は守っていこうと思う。
 どれだけ他人に体を許しても、口と心だけはモモだけに許したい。
 恥ずかしいから言わないけど。

 その後、予定通りすぐに支配人が娼館のバーで噂を流した。
 魔王を倒した男娼が居るらしいと言う与太話。出処のわからない噂が立ち込めた瞬間に……魔王の亡骸が見つかった。
 魔石も掘り起こされ、持ち去られていた。
 勇者さえ討伐が叶わなかった竜種の魔王討伐をしても名乗り出ない理由、魔王の素材ではなく魔石を持ち去った理由に貧困者の多い男娼と言う説得力が産まれ、噂はすぐに街を駆け抜けた。
 ギルドでの依頼は受理はされていない。
 魔王討伐の事実がある以上は誰かが討伐をしたはずだが、その証拠となる物が無い。
 あるのは噂ばかり。いつ討伐されたのかさえわからない。目撃者も居ない。
 男娼の娼館は魔王討伐者探りで客足が倍増した。
 俺のバイト先の支配人は上手いことはぐらかす術を男娼達に与えて、客を楽しませていた。
 他の娼館とは違い、支配人は答えを知っているから余裕があるのだろう。
 俺はと言うと……毎日モモとハッスルしていた。
 モモが力をほぼ取り戻して、体力が無尽蔵だから、俺は強くなる一方だ。ちょっとやばいレベルで。
 身体の形も自由自在だが、日々人型を模索していた。人としての自分の形を探している。ありのままでいいんだけど。
 あ、もしかして俺が前にデカいモモ見て鳥肌立ててたの気にしてる?
 
「ガウ!」
「よーしよしよし! しっかり洗ったら良い毛並みになったな!」

 家の外でカムフラの野生味溢れる毛並みを洗って乾かして梳かしてやれば、ふわふわの緑色の狼に変身だ。

『ジュンイチロー』
「お、モモ。結構定まって来たじゃん」

 モモは肌の色も髪の質感も顔のパーツもより人間っぽくなっていた。
 ピンク髪の赤目の青年にしか見えない。アソコは人間よりずっと凶悪だけど。

「どぉ、だ?」
「声帯まで再現してるのか。喉仏が無いから少年声になってるな」
「じゅんい、ろぉ」
「長くて言い辛いだろ。ジュンでいいよ」
「ジュン」

 純……家族以外に初めて呼ばれた。ちょっと嬉しいかも。
 モモは俺の名前を呼びながら抱きついてきた。

「ジュン、ジュン」
「おいおい、外では抱き付くなって」
「な、んで」
「……いろいろ我慢出来なくなるから」
『しなくていい! いつでも子作り歓迎だ!』

 そこは念話にしてくれるあたり、場所弁えてて好き。
 そういえば、モモは性交渉を子作りと言うようになった。

「人間の雄は子どもが産めないけど……」
『大丈夫だ。私達ウシガイは産卵期に雌雄問わず同種だけではなく他種族性別問わず卵産み付けたり精を貰うんだ。ウシガイの種の独特な彩りは他種族の特性を得て子孫繁栄と進化する為にある』

 と、言う事らしい。
 え? ウシガイって雄も雌も卵産むの?
 
「雄も卵産めるなら、雄の精液って何の為に?」
『他種族の卵にぶっかけるとウシガイが産まれる。まぁ、ほぼ魚類に限られるけど』
「こえぇぇ……!」

 バイオテロみたいな生存戦略だな! 繁殖力強すぎて怖い! 
 ゴブリンも相当だけど、ウシガイレベチじゃん!!

「(そりゃ、食用家畜として優秀だよな)」
『人間と番ったウシガイの子どもは人間寄りの見た目になるらしい……人間の遺伝子強いよな』
「ウシガイも強いって」
『因みに異種族へ産み付けた後は卵が弾けて母体の体内に体を作り替える成分を浸透させて身体に卵の部屋を一時的に作って、その中で再度卵が形成されるから腸が塞がったりはない。安心しろ』

 ウシガイの生態知れば知るほどすごい繁殖根性だ。けれど、世界にウシガイが溢れているわけではないって事は、本来はか弱い生き物なんだな。ウシガイって。

『ナデナデ』
「どぉした?」
「……愛おしいと思って」
「わた、わたしも……」

 同性異種婚で子どもが出来るなんて、異世界って感じがする。

「バフ、ワフ」
「……ふわふわ」

 カムフラの毛並みを拙い腕使いで堪能するモモ。
 
「ふふ、家族が増えてくって……なんか良いな」

 幸せ家族計画。しっかり貯金して、そろそろ引っ越しも考えないと。庭付き一戸建て。

「(冒険者も男娼バイトも頑張るぞ!)」

 俺は前と同じくのんびりとギルドの依頼書を手に取ってぼちぼち働いていた。

「おい聞いたか? 王様が直々に魔王討伐者探してるって」
「ああ、王宮からの調査員達が娼館で聴き込みしてたね」
「勇者様が負けた魔王に冒険者でもない男娼が勝ったなんておかしいだろ」
「確かに」

 男娼の噂が広がって、王宮から調査団が派遣される事になった。
 調査内容は魔王討伐者の特定。そして、討伐者を見つけ次第国賓待遇で迎えるそうだ。恩賞も与えられる。
 
「(……思った以上に事が大きくなってきたな)」

 そしてやはりと言うべきか、討伐者には勇者の称号を与えられ、王宮勤めが可能になるそうだ。
 バレたら有無を言わせず囲うつもりだ。
 まぁ、国の憂いが晴れただろうが勇者の肩身が狭くならないか心配だ。

「……王宮要人の護衛依頼」

 珍しい護衛の依頼が張り出されていた。
 普通冒険者じゃなくて要人の護衛は王宮騎士団の役目のはずだ。
 何か訳ありかも。気になるから申し込んでみたら、すぐに受理された。
 護衛に向けて武器のメンテナンスを頼みにゲンゾウさんの店に行く。

「武具屋でも調査の聴き込みがあったぞ。約束通り口は割らなかったが、妙に焦ってる感じだったぜ?」
「ありがとうございます」
「んで、国にバレたくないとか抜かしといて王宮要人の護衛って……」
「気になったんで」

 ゲンゾウさんは俺の行動に眉を顰めながら、2枚のスクロールを俺に差し出して来た。

「コレは?」
「鑑定妨害魔法のスクロールだ。身に付けとけば、鑑定を妨害出来る」
「そんな物があるんですね!」

 試しにスクロールを持っているゲンゾウさんに鑑定を使っても鑑定結果は何も出てこない。

「そんでこっちのもう一方のスクロールを、鑑定妨害の上に重ねればステータスの偽装が出来る」
「へぇー」

名:ゲンゾウ
LV:15
HP:1000
MP:1200
ATK:120
EDF:200
スキル:生成術Lv1、鑑定Lv1、熱耐性(少)

 本当だ! 全然違う!!

「(て、言うか15で普通がコレなの?? 俺のテータス、低過ぎじゃね?)」
「コレは他国に外交する際や知られたくないスキルを隠す為に売られている特殊魔法具だ」
「おいくらですか?」
「銀貨5枚」
「たっか!」

 思っていた以上にお高かった。今の手持ちはメンテナンス費用だけでそんなに無い。

「身体で払ってもいいですか?」
「……お前なぁ……」
「いや、マジで手持ちが今無くて……」
「………………はぁぁぁ~~……今回だけだぞ」

 身体で支払う事になり、仮眠室で前と同じようにセックスをする事に。

「は、んっ……んぅ」
「はぁ……はぁ……」

 俺を揺さぶるゲンゾウさんの動きが最近人型で致したがるモモと被って見えた。
 ああ、そういえば……抱き方が似てるな。密着度が高くて体温を感じやすい。

「……考え事とは余裕じゃねぇか」
「え? あ、す、すみませっん、んん! は、激し……! あ、ああっ!!」

 モモとほぼ毎日セックスしてるのに、身体の快感はいつも新鮮で気持ちが良い。
 そういえば……ゲンゾウさんとのセックスの後、なんかモモの様子いつもと違ったし、もしかして……モモが人型で致したがるのって……嫉妬?

「また余計な事を考えてるな」
「ご、めんなさっ……い! く、ぅ、ぁ! あっ、イっく、出ちゃ……!」
「ほら、イケよ」
「くぅ、う! ふ、あ、ああ……~~ッ!!」

 腹筋を白濁で汚しながら達して脱力した俺の頬を撫でてくるゲンゾウさんの手付きが優しくて、胸がザワッとする。
 浮気しているような気分になる。男娼バイトしてる時点で浮気の境界線は俺の心に依存するんだけど。
 優しさに胸がザワつくのは、心が揺れるからだ。

「ゲン、ゲンゾウしゃ……優しく、しないれ……もっと、酷くひて」
「急に……煽るなって」

 俺のお願い通り、ゲンゾウさんは俺を手酷く抱いてくれた。バックから腕を掴まれてオナホのように扱われ、ちょっと興奮した。

 ゲンゾウさんから買ったスクロールは鑑定妨害だけでなく、ステータスの偽装も出来る。

 俺のレベルとスキルがバレれば、間違いなく魔王討伐者候補になるからと、気を遣って取り寄せてくれたそうだ。
 何から何まで……ゲンゾウさんには頭が上がらないな。
 スクロールを身に付けて、いざ要人護衛へ!
 モモとカムフラを連れて、指定された待ち合わせ場所に向かう。
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