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5:犬猫のように愛でたい人生

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 監禁三ヶ月目。驚くぐらい自分の学習が早い事に気付いた。
 家に帰ったら気持ちを一気に切り替えられるようになり、会社でも前の口調に戻れた。

「ただいま」
「おかえり」

 前向きに取り組めたのは、久遠さんの反応に僕が刺激を受け始めたからだろう。

「あれ? 今日は猫ちゃんの日ですよね? 何二足歩行で出迎えてるんですか」
「……にゃう」
「よーしよし、御利口さん」

 人間扱いされない日が欲しいと言われたので、犬の日と猫の日を作った。
 今日は猫の日だ。猫になりきる日だ。
 四足歩行でにゃーにゃー鳴く久遠さんは可愛いけど、顔が遠い。
 スーツから部屋着に着替えて食卓に着く。
 猫なので手を使えない。食事は僕が食べさせる事になっている。
 床に溢したら、床に口をつけてペロペロしてしまうから、久遠さんの下にはラップを敷いている。本人は不本意そうだが、妥協してもらった。
 綺麗にしてるけど、精神的にキツい。

「にゃう」
「可愛い……」

 けど、犬猫の日は愛でても文句言われないから案外いい。
 顎をこしょこしょと撫でて、髭を撫でる。手に擦り寄ってきて、やはり猫扱いは嬉しいみたいだ。
 ソファに座り僕の膝に顎を乗せて甘える久遠さん。うーーん可愛い。とても可愛い。
 けど、可愛いだけじゃない。

「膝、痛くないですか?」
「大丈夫」
「誰が人語喋っていいって言いました?」
「……にゃぅ」

 こういう失敗はわざとだ。僕に叱られたいからミスをしてくる。

「貴方は猫です。僕のペットなんですよ。だから、人語なんて喋っちゃダメでしょ?」
「にゃん」
「よしよし」
「……にゃ゛ー」
『ポカポカ』
「ぅう、やっぱりやんなきゃダメですか?」

 ミスを許そうとしたら、猫パンチを膝にくらう。

「躾をされたいんですか?」
「にゃ、にゃ!」

 目を輝かせて、僕を見上げてくる。
 粗相をしたら躾をする。飼い主の義務だと久遠さんに熱弁されたけど、このシステムは久遠さんの趣味だ。

「はぁ……仕方ないですね。おいで」

 久遠さんを僕の膝に跨がせて、両手に手錠をして短い鎖を首輪に繋ぐ。両手の可動域が制限され、関節が六十度以上動かない。つまり、手を下ろせなくなったのだ。
 ここから躾にうつる。

「自分で動いてください」
「んにゃ……っ」

 下着越しに兆しを見せていたモノを僕の膝になするようにして、腰を揺すって擦り付ける。
 僕に見られながら、僕の膝で自慰行為を行う羞恥心に久遠さんは目を潤ませてうにゃうにゃ鳴いている。

「随分とはしたない猫ちゃんですね。飼い主の膝に擦り付けて。気持ちいいですか?」
「……にゃぁ」

 カクカクと腰が揺れ始め、更に気持ちを高めていく久遠さん。下着が先走りで濡れていくのがわかる。
 膝に感じる大きさと熱にドキドキしてしまう。肩を上下させて、甘い声を漏らしながら自分の好いところを擦りつけている。
 久遠さんの熱が擦れてクチュクチュと音が聞こえる。

「にゃう……ぁ、にゃ、ああ」
「……イけないですか?」
「ふっ、んん、ん」

 必死に腰を動かしているのにイけない久遠さん。
 床と違って、僕の体じゃそれなりに弾力があるから刺激が足りない。
 涙目で僕に訴える。ここで前回、素直に手伝い『違うそうじゃねえ』って言われたので意地悪をする。

「はい。ココに手置いとくので、自分で当てていいですよ」

 フェザータッチで軽く久遠さんのモノへ下着越しに手を置く。
 僕の手に自分から擦り付け始める久遠さんにキスをしながら、その光景をじっくり眺める。
 
『クチュクチュ』
「上手上手……可愛いですね。大の大人が猫真似して、無様に腰振って、補助されないとイけないなんて……とっても情けなくて惨めじゃないですか?」
「ッッ──~~……ぁ、にゃあッああ!」
『ビュク、ビュルル』
「あらら、いっぱい出ましたね」

 派手に身体をビクつかせてイってしまった久遠さんが、息を切らしながらトロンとした目で僕を見て、口付けを強請る。
 ココは素直にいっぱいしてあげた。

「ハッ……ん、んぅ……にゃ」
「……はい」

 滲んで膝に垂れそうな久遠さんの出した熱を指先ですくって、口に持っていけば美味しそうに舐めるのでそのまま指を口に埋めてくちゅくちゅと音を立てて口内をかき混ぜる。
 身悶えしてイヤイヤしながらも僕の指に舌を絡ませてくる。
 氷砂糖みたいに甘そうな瞳を溶けさせて、余韻に腰をだらしなくへこへこ動かす久遠さん。
 正直……めちゃくちゃ興奮している自分がいる。
 好きな人のこんな姿見て萎えるわけないし、滾らないわけがない。
 けど、可愛い猫ちゃんに挿入なんて絶対したくない。
 手錠と鎖を外して傷が出来てないか確認する。

「大丈夫そうですね。お風呂、入りましょうか」
「……んにゃ」
「嫌がってもダメですよ~……汚したの自分なんだから」
「…………なぁん」

 低音で囁くとブルっと身を震わせて立ち上がった。

「……ん~~? 久遠さん?」
「!?」

 コレは普通にミスって二足歩行しようとしていた。スッと四つん這いになって僕を伺う久遠さんが可愛くて頭を撫でた。

「よしよしよし」
『ゴロゴロ』

 喉を鳴らして喜んでいるけど……どうやってるんだろう。
 お風呂に入れて、洗ってあげたら寝床に入れる。服を着てないので湯冷めする前に素早く抱っこして移動させる。

「……日付け変わりましたよ」
「ん、にゃ~は……今日のはなかなか良かった」
「ありがとうございます」
「言葉責め上手くなったじゃん」
「毎日やってたら上手くもなります」

 抱き締めながらポンポンと背中を叩いて、しっとりとしている額にキスをする。

「中山くん、猫好き?」
「好きです。犬も好き。久遠さんも好き」
「……もうちょっと畜生な扱いしてくれねえか?」
「も~~わがままですね」

 畜生な扱いってなんだ? 犬猫は愛でてナンボではないのか?
 人以下な扱いを望んでるんだろうけど、僕にとってはお猫様とお犬様だからそこまで人と差別化出来ていない。

「犬猫より……人として、人以下の扱いした方が楽です」
「ぇ、ええ、中山くん、え? で、出来る? それ出来る?」
「もう寝ましょ。話は明日しますから」

 うっかり呟いた一言にめちゃくちゃ食いついてきた。
 ひとまず落ち着かせて、その日はしっかり睡眠を摂った。
 翌日、しっかりと覚えていた久遠さんからガン詰めされたのは言うまでもない。
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