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お見合い

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なんでこんな面倒な事になっちゃってんだろう・・・




◆◇3日前◇◆



「樹里、今週の土曜日お見合いだから!」



「はぁ!?何勝手に決めてるの?
お見合いが嫌で健兄の提案に乗っかったのに・・・
これじゃ本末転倒じゃん!?」





「別に結婚しろって言ってる訳じゃないんだし、どうしても樹里に紹介したいんだよね!

・・・それに面白そうだし・・・。」



「はぁ?今、健兄面白いって言わなかった?
マジで意味が分からないんだけど」


「もう相手には土曜日に時間空けてもらってるから今更中止には出来ないよ・・・
ここは兄ちゃんの顔を立ててくれない?」



絶対悪巧みを考えてるよね?
そんな健兄に呆れながらも言う通りにしてしまうんだろうな・・・


だってこうなってしまった健兄は誰にも止められないから!
本当に・・・もう!!



◇◆お見合い当日◇◆


会うだけって約束でお見合い場所のホテルのラウンジにやって来た。



キョロキョロ辺りを見渡すと、健兄とイケメン武将トリオの1人真田さんが座っていた。



私は戸惑いながらも健兄の座っているテーブルに近づく



「お待たせしました。」



私が2人に会釈すると・・・


真田が私を凝視している・・・
途端に真っ赤になって固まってるんだけど・・・
お嬢様バージョンの私に惚れちゃった?



「樹里待ってたよ!見合い相手の武田さんがまだなんだよね!ここで座って待ってようか。」






健兄が口走った・・・・



たけだ・・・・!?




タケダ・・・・!?




武田・・・・? 



ホスト風偽王子!?



「えっ!?・・・・武田?」



私が驚いて健兄の顔を2度見する・・・



クスクスと子供の悪戯が上手くいったように笑う健兄に軽く殺意を感じる・・・





「初めまして、代表の秘書をしております真田と申します。どうぞ宜しくお願い致します。
所で樹里さんは武田をご存じなんですか?」



「えっ?どうしてですか?」



「さっき代表が武田の事を話したら驚いていらしたみたいだったので・・・」



その銀縁眼鏡の奥から私の心を覗かれてるみたいで急に緊張してしまい顔が強ばる。



動揺して思わず視線が右往左往する


「何かね、樹里が武田君に一目惚れしたらしんだよね・・・
ここは兄として妹の為に一肌脱ごうと思ったんだよね!
ごめん樹里バラしちゃった!!クスッ」



軽い殺意を持ちながらも笑顔で健兄に話を合わせる。あくまで今日の私は篠原樹里と言い聞かせて・・・



「素敵な方だと兄から聞いたものですから、確かに興味がありました。」



私が真田に無難に答えると・・・



「でも武田に樹里さんは勿体ないですよ。
何なら俺の方が絶対お買い得ですよ!」


銀縁眼鏡をクイッと上に上げながら、私から視線を逸らさない
どんだけ自分に自身持ってんだ!?





「すみません、遅れてしまって・・・」



走ってきたのか息が上がっている



「武田です、今日は宜しくお願い致します。」



そう言ってお嬢様バージョンの私に視線を向ける武田!
お前も真田みたいに私に惚れちゃう?




「樹里、兄ちゃんは先に帰るから武田君に送って貰いなさい!武田君、樹里を宜しくお願いするよ。」



さっさと自分の言いたい事だけ話すと真田と2人でその場から立ち去った。



いきなり2人だけ残されて、居心地が悪くなる


暫く沈黙が流れる・・・・



この空気に耐えられなかったのか、最初に沈黙を破ったのはホスト風偽王子。



「今日はいい天気ですよね」



「えっ?今にも雨が降りそうですけど」



「あ、・・・・・」



またしても沈黙が流れる・・・・・。



「武田さんはどうして今日お見合いに来られたんですか?」



「この際なんで正直に話します、社長命令で仕方なく来ました。」



「私に興味はないと?それでは、武田さんから断ってくださって結構です。」




「いえ、樹里さんからあんな男はムリって断ってもらった方が助かるんですが・・・」




「本当に私とのお見合い断っていいんですか?」




お嬢様バージョンの樹里スタイルで見向きもされないって・・・
何となく私のプライドが傷付くというか
複雑な気持ちになるんだけど・・・


さっきの真田だって、この樹里スタイルに悩殺されてたのに


今日は緩く髪を巻き、メークはあまり派手にせず茶系で統一し最後にグロスで唇をぷりっとさせる。
淡いクリーム色のワンピースを着用し清楚な雰囲気を醸し出してて完璧な仕上がりだ!


「樹里さんは、かなり美人でスタイルも良くて前の自分だったら食い付いたと思うんですけど・・・・・
最近、運命の出会いをしてしまいまして・・・・」



照れ臭そうに私に話すホスト風偽王子。



何!?
マジで私(樹里)じゃなくて花子(地味子)って事なの・・・・?
嘘でしょ!?



「・・・・・アハハハ」


突然笑い出した私に唖然とするホスト風偽王子。





「そうなんですね!
それなら仕方ないですよね。分かりました!
私の方から兄にお断りさせて頂く趣旨で説明しておきます!
所で凄く気になるんですが、運命の人ってどんな方なんですか?」



「全然タイプじゃないんですけど・・・
いつも目で追いたくなります。」



凄く嬉しそうに微笑むから変な感覚に陥る。


自分の事を言われてるみたいで、どんどん頬に熱を持つ




「あの、樹里さん熱でもあるんですか?
赤いですけど・・・」



何で・・・・・


どうして私は赤面してるのよ・・・・


違う・・・・



私は貴方なんて好きじゃないのに・・・・



告白されたみたいでドキドキしてくるじゃん!!



「その人を大事にされてるんですね・・好意を持ってるんですか?」



「実は正直自分の気持ちがよく分かりません・・・・
好きなような気もするし・・・・
でもただ自分に靡かないのが珍しくて、単に興味があるだけってなのか・・・
でも、俺に初めての感覚を与えてくれてるのは確かですね。」



嬉しそうに話すホスト風偽王子に初めてドキッと心臓が高鳴った。



私じゃなくて花子を選ぶだなんて鬼畜としか思えないけど・・・


そして約束通りホスト風偽王子に送って貰った



「あれ?樹里、もう帰ってきたの?
食事でもしてくるかと思ったのにな・・・
ねぇ、もしかして振られちゃったの?」



全く自分の妹を使って人の気持ちをもてあそぶだなんて・・・鬼畜だわ!



「うん、振られたみたい。地味子が好きなんだって」



意外な事に、にホストの気持ちを受け入れ嬉しそうに樮笑む健兄。



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