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地味子の誕生

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「お祖父様、私の結婚相手は自分で見つけますから!!ほっといてもらえませんか?」




「ワシはお前の為を思って容姿端麗な御曹司や未来の有望株を、うちの会社からリストアップしたっていうのにツレないの‥‥‥」




シュンとしながら捨てられた仔犬の様に、ウルウルした瞳で私を見つめる。




「私は嫌って言ってるんです・・・
お祖父様であろうと私の考えは変わらないですから。」





先程から討論されてる内容は平行線のまま進まない。


そんな私達の間に割って入る人物が・・・




「お祖父様、樹里は頑固だからいつまでたっても平行線のままですよ。
僕にいい考えがあるんですけど!クスッ」




ニヤリと樮笑む健兄。



私、篠原樹里(しのはらじゅり)22歳。
大学卒業後の進路について家族と話し合いをしている。



祖父は、大学卒業後はお見合いさせて早く私を嫁に出したいらしく



勿論、私はお見合いなんて絶対嫌だと反発している。
しかし孫を溺愛している祖父にとっては死活問題らしくて中々引かない。



そんな私達2人の間に割って入ってきたのは、私の兄である篠原健(しのはらけん)だった。


「お祖父様、僕に考えがあるんですけど・・
この際、樹里にはうちの会社に新卒で入社してもらって、自分で未来の旦那候補を捜してもらうっていうのはどうでしょうか?」


健兄が目をキラキラさせ興奮しながら話す


「そうだな、猶予は1年でその間に見つけられなかったらお祖父様の見繕ったイケメンとお見合結婚するってのはどうでしょうか?」


爽やかに樮笑む健兄。


絶対面白がってるよコイツは!


「じゃが、こんなに可愛い孫に大勢のハイエナどもがぶら下がって来るんじゃ・・・心配じゃな」


口髭を触りながら考え込んでる祖父・・・



「あっ、勿論今のままの樹里じゃダメですよ。
確かにこんなに可愛いと危険だし
でも対策はちゃんと考えてます!
その可愛いい顔はブスメイクして地味子に変身させます!
どうする樹里?お兄ちゃんの提案に乗るか?」



馬鹿馬鹿しい提案だって言うのは分かってたけど、敢えて健兄の提案に乗った。


だって今のままじゃお見合い結婚させられるだけだし・・・
私に選択権とか無くない?



何でこの歳で結婚?


有り得ないわ・・・



私は数か月後に卒業して無事に健兄が代表取締役を務める『(株)SHINOHARA』に入社したのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー



◆◇4月◇◆


入社式ーーー



壇上の上には我が兄である篠原健がマイクを握っていた。



「皆さん、こんにちは。代表取締役の篠原健です。
我が『SHINOHARA』に入社おめでとうございます!
皆さんの実力を存分に発揮して頑張ってほしいと思います。
宜しくお願いします。」



壇上の上の兄は私の知らない別人みたいだな
爽やかなイケメンを装っているのか新入社員達の目がキラキラ輝いているけど・・・
最早詐欺じゃん!!


そんな壇上の兄と目が合った気がするんだけど
今、絶対私の方を見て笑ったよね?

意地悪そうに
あの男ーーー!!


いったい誰のせいだと思ってるのよ!!


マジでムカつくわ。



[ねぇねぇ、今のイケメンって社長だよね~
マジで抱かれたいわ~]



[まだ30代なのに独身貴族なんでしょ?
玉の輿狙っちゃう?素敵すぎ]



まわりからヒソヒソ話が聞こえてくる。



皆、あのイケメンフェイスに騙されてるわ。
中身なんて大したこと事ないのに!


私は健兄を暫く睨み付けてみる


でも、眼鏡をしてるからフレームの奥で私が睨み付けているのに気づかないようで



ってか、

今、私を見て絶対笑わなかった?



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