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中学時代
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中学生の頃いじめられていた。人の視線やこそこそ話が怖かった。でも一丁前にプライドが高かったから怯えてるとかあいつは弱いと思われるのが嫌で平気なフリをしていた。死ぬほど学校に行きたくなくて、誰も家にいない時首を吊る練習をした。でも休んで負けたと思われるのは死ぬよりも嫌で学校に通った。多分先生たちも私がいじめられていることに気づいていなかったと思う。他にもっと酷いいじめを受けている子がいたからだ。私が無視されるとか仲間外れにされるというくらいのいじめなら、彼女は物を投げられたり大声で悪口を言われたりしていた。私は標的が彼女になっているとき酷く安堵して、でもそんな自分も嫌だった。だからせめてもの償いに、どんなに誰かから嫌われていても、私は彼女に話しかけられても無視はしなかった。だからといって友達になりたいわけでもなかった。一部の人から無視されている私を心配して声をかけてくれるクラスメイトも居た。だけど当時の私にはみんながみんな敵に見えて、正直一人になりたかった。私が落ち着けるのは小学校の時から仲良くしていた友達から来た手紙を読んでいる時だけだった。一人は孤独で、でも決して寂しかったわけじゃない。女の子たちは気まぐれで、半年前は無視していた私をまたグループに戻そうとしたりしていた。その代わりに他の子を無視していじめたり。その子はいつも元気で明るかったのに、無視されるようになってから自分の席でぽつんと居るようになった。その子は私のことを無視したグループの一人だった。私は彼女と帰り道が同じで、ある時こっそりごめんねと謝られた。別に大丈夫だよとその頃には言えるようになっていた。教室に話せるクラスメイトが少しずつ増えて、割かし男子以外とは誰とでも話せるようになった冬。それでもやっぱり私は一人になりたくて休みの時間ずっと学校内をぶらぶらしていた。後ろの席の、私をいじめいた一人にはいつもどこに行ってるのと探られたりした。私はほかの学年の友達に会いに行ってるよと返すと、それ以降さらに私は無視されることが少なくなった。三年生の卒業式の一週間くらい前に、幼なじみが教室に来た。彼とはよく家の前で遊び相手をしてもらった。一人っ子だった私にとってお兄ちゃんみたいな存在だった。彼は私に第二ボタンを渡してきた。高校行ったら困るでしょ、それになんで今?と聞いたら私が寂しそうだったからと言う。その時私はやっぱりお兄ちゃんだなあ~とぼんやり思った。彼を見送ってから私は学年がひとつ上がって、ほんの少しだけ周囲と打ち解けられるようになった。誰かと関わり合うことの奇跡を感じて、家族以外にも笑えるようになった。
今はもう幼なじみも結婚して子供も居る。私自身もそうだ。でもあの日私に手を差し伸べてくれたこと、私は一生忘れないんだと思う。
今はもう幼なじみも結婚して子供も居る。私自身もそうだ。でもあの日私に手を差し伸べてくれたこと、私は一生忘れないんだと思う。
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