上 下
2 / 34

♤2

しおりを挟む
『普通の小学生男子がやる事といえば何でしょうか?私は分かりません。友達は1人もいませんでした。いや、居たのかもしれません。誰か特別な人を作りたくなかったのかもしれません。それとも特別な人は1人だけで十分だったのかもしれません。私は愛する女性が心の中にいるだけで十分に幸せでした。』



 名前も知らない彼女の事を目が勝手に追ってしまいます。廊下ですれ違う度に、体育の合同授業の時に、そう彼女の名前を知ったのも体育の授業の時でした。体操服の胸のゼッケンには彼女の名前が大きく書かれていました。彼女は小学校のバスケ部に所属していました。バスケ部に入った事で長かった髪を切ったのかもしれません。色白だった肌も少し日焼けしていました。清楚でお人形のようなイメージから、活発な女性へと私の中の彼女のイメージは大きく変わってしまいました。

 その当時の私は女性の事がとにかく知りたいという好奇心に蝕まれていました。母親の部屋に入った時でした。台所の引き出しの中にエッチな本と数本のビデオが隠されていました。エッチなマンガ本には、催眠術にかけられた可愛い女子高生が屋上から、校庭に向かってオシッコをするシーンがあったり、丸いブルブルと震える玩具をお尻の前の穴に入れて授業を受けるシーンが描かれていました。

 10歳の私はその女性達を気持ち悪いとは思わずに、とても綺麗で可愛いと思って見ていました。ビデオの方を見るまでは………。

 そのビデオは今なら分かりますが裏ビデオというものでした。完全に女性と男性の性器が見えるものでした。しかも、何故だか映っていたのは金髪の外国人女性でした。信じられない程の大きなオチンチンが女性の身体の中に入って行くのです。子供にはホラー映画と同じようなものです。すぐに停止ボタンを押すと見るのをやめてしまったのをよく覚えています。ビデオを見た後遺症で私はしばらくの間、吐き気を抑える事になってしまいました。やはり、18歳未満には刺激が強いという事なんでしょうね。

 私は残念ながら普通の小学生ではありませんでした。早朝に早起きしてクラスの誰よりも早く教室に1番乗りします。クラスの中で可愛いと思う女子は右手の指で数える程度です。彼女達の机に向かうと、机の横にぶら下がっている体操服袋から体操服を取り出して匂いを嗅ぎました。

 フッフ、期待したような甘い匂いも、汗の匂いもしません。ただの洗い立ての服の匂いです。それでも、オッパイが当たる部分や女性器が当たる部分の匂いを興奮して嗅いでいたのは事実です。とても悪い事をしているのに私の中の心臓は生きている実感を人生の中で一番感じていました。そして、愛する彼女の体操服にも私はそのような汚れた行為をする事になりました。

 私の舌が触れたブルマを愛する彼女が履いています。私の唇が触れたリコーダーを彼女が吹いています。私の中の愛が確かに彼女の中に少しずつ流れ込んで行くのを、私は幸せな気持ちで見守り続けました。それでも、まだまだ知りたいという欲求には足りませんでした。そんな私が次に手を出したのは夏のプールの授業でした。



 5年生の私はお昼休みの時間が終わるのを体育館の近くで待っていました。お昼休みが終わって、すぐに5時間目の体育の授業が始まります。体育館の隣にある女性用の更衣室では6年生の上級生が水着に着替えています。キャーキャーと楽しそうな声が聞こえなくなるまで待つと、私は誰も居なくなっただろう更衣室に向かいました。鍵がかかっていれば、すぐに引き返します。鍵がかかっていなければ中に入ります。音がしないようにゆっくりゆっくりと扉を横にスライドしてみました。ゆっくりと扉は左に移動して行きました。中には誰もいませんでした。

 少し温めの室内に入ると、6年生達がさっきまで着ていた服が木の棚に置かれていました。私はその棚の中から左側中段の棚に近づいて行きました。時間がありません。私の授業もすぐに始まります。ゆっくりと出来るだけ服が同じ場所から移動しないように、ソッと1枚ずつ持ち上げます。探していた物はすぐに見つかりました。白い木綿の下着でした。

 女性器が当たる部分の匂いを嗅ぎます。エッチな本の通りならば甘い匂いがするはずです。でも、そんな匂いはしませんでした。今度は舌を使って味がしないか確かめました。何度も何度も舐めた事で少し下着が濡れてしまいましたが、この暑さならばすぐに乾くはずです。私は急いで棚に下着を戻すと更衣室から出て行きました。あとあと考えると、他の棚も調べるべきでした。それでも、下着を持ち出すような馬鹿な事をしなかっただけマシだったと思います。

『根暗なストーカーから、とんでもないエロガキという印象に変わったでしょうか?それとも、根暗なストーカーに、エロガキが追加されてしまったでしょうか?フッフフ、大人になった私から見ても、とんでもない行動力です。ある意味、尊敬したいような、したくないようなそんな気持ちになります。そうですね。一度でも思いついてしまうと、私はその行動をやってみたいという衝動を抑える事が出来ない性格でした。そして、それを可能にする為の手段を考える時間は、家に帰れば沢山ありました。もしも、父親と母親が離婚しなければ、もしも、父親が養育費を少しでも払っていれば、もっと違った子供時代になったかもしれません。私がこうなってしまったのは全て』

 コホン!やれやれ、人の所為にしても意味はありませんね。スタート地点はどうやっても家庭によって差があります。恵まれた家庭環境ならば幸せになれるとは限りません。貧乏でも本人の努力次第で幸せになる事も可能です。それでも、思わずにはいられません。私が不幸なのは、母親や弟、そして、養育費を払わない父親の所為だと思わずにはいられないのです。貧乏というだけで着る服や持ち物は誰かの貰い物になります。お年玉もお小遣いもまともに貰った事がありません。母親からお小遣いを貰った事はどんなに思い出そうとしても、1、2回。それも合計で1万円以下だったと思います。私が自由にお金を使えるのはお正月のお年玉ぐらいでした。千円を1年間でどのように使うか考える方が難しいものでした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

醜女の檻 ~私の美少女監禁日記~

戸影絵麻
ホラー
私は醜い。 いじめられるのを通り越して、他人が避けて通るほど。 私の素顔をひと目見るなり、誰もが嘔吐するレベルなのだ。 呪われている、というしかない。 だから私の唯一の楽しみは、美しいものを穢すこと。 その時私はなんとも言いようのない、うっとりするような恍惚感を覚えるのだ…。 そんなある日、私の前にひとりの転校生が現れた。 笹原杏里。 スタイルも良く、顔立ちも私好みの美少女だ。 杏里の瑞々しい肢体を目の当たりにした瞬間、私は決意した。  次の獲物は、この娘にしよう。 こいつを私の”檻”に誘い込み、監禁して徹底的に嬲るのだ…。  ※これは以前書いたものの改訂版です。

――賽櫻神社へようこそ――

霜條
ホラー
賽櫻神社≪サイオウジンジャ≫へようこそ――。 参道へ入る前の場所に蝋燭があるので、そちらをどうかご持参下さい。 火はご用意がありますので、どうかご心配なく。 足元が悪いので、くれぐれも転ばぬようお気をつけて。 参拝するのは夜、暗い時間であればあるほどご利益があります。 あなた様が望む方はどのような人でしょうか。 どうか良縁に巡り合いますように。 『夜の神社に参拝すると運命の人と出会える』 そんな噂がネットのあちこちで広がった。 駆け出し配信者のタモツの提案で、イツキとケイジはその賽櫻神社へと車を出して行ってみる。 暗いだけでボロボロの神社にご利益なんてあるのだろうか。 半信半疑でいたが、その神社を後にすればケイジはある女性が何度も夢に現れることになる。 あの人は一体誰なのだろうか――。

冥恋アプリ

真霜ナオ
ホラー
大学一年生の樹(いつき)は、親友の幸司(こうじ)に誘われて「May恋(めいこい)」というマッチングアプリに登録させられた。 どうしても恋人を作りたい幸司の頼みで、友人紹介のポイントをゲットするためだった。 しかし、世間ではアプリ利用者の不審死が相次いでいる、というニュースが報道されている。 そんな中で、幸司と連絡が取れなくなってしまった樹は、彼の安否を確かめに自宅を訪れた。 そこで目にしたのは、明らかに異常な姿で亡くなっている幸司の姿だった。 アプリが関係していると踏んだ樹は、親友の死の真相を突き止めるために、事件についてを探り始める。 そんな中で、幼馴染みで想い人の柚梨(ゆずり)までもを、恐怖の渦中へと巻き込んでしまうこととなるのだった。 「第5回ホラー・ミステリー小説大賞」特別賞を受賞しました! 他サイト様にも投稿しています。

JOLENEジョリーン・鬼屋は人を許さない 『こわい』です。気を緩めると巻き込まれます。

尾駮アスマ(オブチアスマ おぶちあすま)
ホラー
ホラー・ミステリー+ファンタジー作品です。残酷描写ありです。苦手な方は御注意ください。 完全フィクション作品です。 実在する個人・団体等とは一切関係ありません。 あらすじ 趣味で怪談を集めていた主人公は、ある取材で怪しい物件での出来事を知る。 そして、その建物について探り始める。 怪異と共にその物件は関係者を追ってくる。 物件は周囲の人間たちを巻き込み始め 街を揺らし、やがて大きな事件に発展していく・・・ 事態を解決すべく「祭師」の一族が怨霊悪魔と対決することになる。 読みやすいように、わざと行間を開けて執筆しています。 もしよければお気に入り登録・投票・感想など、よろしくお願いいたします。 大変励みになります。 ありがとうございます。

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる
ホラー
本当に怖いのはありそうな恐怖。日常に潜むあり得る恐怖。 読者の日常に不安の種を植え付けます。 きっといつか不安の花は開く。

蠱毒な少年 -闇に咲く白い花-

こーいち
ホラー
その少年は孤独にして___蠱毒。 "それ"は、かの有名な口裂け女や人面犬のように、どこからともなく囁かれ始めた都市伝説。 名前、性別、国籍、出生...全てが謎に包まれた、摩訶不思議な少年。 その少年は神出鬼没にして、常に死の傍らに寄り添う。 闇に咲く白い花、人はそれを「蠱毒な少年」と呼んだ。 これは、その少年に関わった、関わってしまった人間たちの物語。 妻を愛する夫、探偵と女子高生、大病を患った少女。 様々な立場から描かれる、愛と憎しみの群像劇。 あなたは私を死なせる。 本作はプロローグを含め全4章、43話+αで構成されています。 一話2000字程を目安にしています。 お気軽に評価、ブックマークなどしていただけるとありがたいです。 よろしくお願いします。 本作は下記サイトにも投稿しています。 カクヨム様 https://kakuyomu.jp/works/1177354054891960986 ステキブンゲイ様 https://sutekibungei.com/novels/8cbf40af-70d9-4944-a274-413e6a34e1a6

10秒の運命ー閻魔帳ー

水田 みる
ホラー
 『10秒の運命』の黒巫女視点の番外編です。 上記作品のその後の話で完全なるネタバレなので、先に読むことをオススメします。 ※今回のジャンル枠はホラーに設定しています。 ※念の為にR15にしておきます。

【連作ホラー】幻影回忌 ーTrilogy of GHOSTー

至堂文斗
ホラー
――其れは、人類の進化のため。 歴史の裏で暗躍する組織が、再び降霊術の物語を呼び覚ます。 魂魄の操作。悍ましき禁忌の実験は、崇高な目的の下に数多の犠牲を生み出し。 決して止まることなく、次なる生贄を求め続ける。 さあ、再び【魂魄】の物語を始めましょう。 たった一つの、望まれた終焉に向けて。 来場者の皆様、長らくお待たせいたしました。 これより幻影三部作、開幕いたします――。 【幻影綺館】 「ねえ、”まぼろしさん”って知ってる?」 鈴音町の外れに佇む、黒影館。そこに幽霊が出るという噂を聞きつけた鈴音学園ミステリ研究部の部長、安藤蘭は、メンバーを募り探検に向かおうと企画する。 その企画に巻き込まれる形で、彼女を含め七人が館に集まった。 疑いつつも、心のどこかで”まぼろしさん”の存在を願うメンバーに、悲劇は降りかからんとしていた――。 【幻影鏡界】 「――一角荘へ行ってみますか?」 黒影館で起きた凄惨な事件は、桜井令士や生き残った者たちに、大きな傷を残した。そしてレイジには、大切な目的も生まれた。 そんな事件より数週間後、束の間の平穏が終わりを告げる。鈴音学園の廊下にある掲示板に貼り出されていたポスター。 それは、かつてGHOSTによって悲劇がもたらされた因縁の地、鏡ヶ原への招待状だった。 【幻影回忌】 「私は、今度こそ創造主になってみせよう」 黒影館と鏡ヶ原、二つの場所で繰り広げられた凄惨な事件。 その黒幕である****は、恐ろしい計画を実行に移そうとしていた。 ゴーレム計画と名付けられたそれは、世界のルールをも蹂躙するものに相違なかった。 事件の生き残りである桜井令士と蒼木時雨は、***の父親に連れられ、***の過去を知らされる。 そして、悲劇の連鎖を断つために、最後の戦いに挑む決意を固めるのだった。

処理中です...