60 / 112
第八章
第1話『二人の王子』
しおりを挟む
——ロムルス王国王城。
「兄上、どういうつもりですか? 追放された弟と母上を城に招くだけでも、国に混乱を起こすというのに、死んだはずのクロノスに王位継承権まで与えるなんて……」
腰まで届く金色の綺麗な髪を編み込んだ第二王子テミスが、僅かな苛立ちを見せながらも、椅子に座る第一王子エウロスに、雪解けの澄んだ小川を思わせるような声で聞いています。
第二王子のテミスは長い髪と華奢な身体付きから、後ろ姿だけだと、よく女性に間違われる程の美青年です。
けれども、実質的に国王代理として、ロムルス王国を治めているのはテミスです。
「俺がどういうつもりなのか、その賢い脳味噌ならば、俺に聞かなくても答えが出ているんじゃないのか?」
エウロスは自分の頭をコツコツと笑いながら叩いて、テミスに向かって、逆に聞き返しています。
「それが分からないから聞いているんですよ。馬鹿が天才を理解できないように、天才は馬鹿の考えが理解できないんです」
「おいおい。これでも、それなりに頭が切れる方なんだぞ。その言い方はないだろう?」
テミスの冷たい答えにも、エウロスはいつものように笑っています。
仲が悪くも良くもない兄弟が、長年一緒にいる理由は、お互いが必要だからです。
エウロスの武力とテミスの知力があってこそ、私腹を肥やすだけの管理職や兵士の大量解雇が実現できました。
その結果、国民が納めていた税金が20%→5%に大きく変化しました。
人口は減りましたが、国民の収入は安定したものに変化しました。
まあ、治安を維持する為に、犯罪行為を行なった者を容赦なく死刑にしたり、年齢六十歳を超えた者は不要だと、容赦なく国外追放にするというヤバイ国法も作られましたが、住めば都です。
国外から言われるような酷い国ではありません。国民達はそれなりに幸せに暮らしています。
「はぁ……いい加減に巫山戯ていないで、少しは真面目に答えたらどうなんですか? 一体、どういうつもりなんですか?」
テミスの苛立ちに反応するように、部屋の室温が少しずつ下がっていきます。
一般人相手ならば、十分な威嚇にもなりますが、剣聖エウロスには効果はないようです。
怒っているテミスの僅かな表情の変化を楽しんでいるぐらいです。
「そう怒る事じゃないだろう。駄目親父はとっくに処刑した。まあ、王妃とプリシラとフェイトの三人は、絶対に歓迎しないだろうがな。クッフフフ」
エウロスは城に残っている三人の王族の顔を思い出して、笑っています。
ウォルターと同じように、現王妃トリシャの子供二人も、使えないスキル持ちの烙印を押されています。
それでも、生きてた時の国王に追い出されなかったのは、現王妃のスキルに可能性があったからです。
それに元王妃の『育てる』と似たスキルを持つ若い女性は他にいませんでした。
「それが分かっているなら、何故、元王妃とクロノスを城に招くんですか? 殺し合いでもさせたいんですか?」
「殺し合いか……そこまでさせるつもりはないが、競い合いはしてもらうつもりだ。その結果次第では、ウォルターには第三王子として、国に戻ってもらう」
「……やはり私には、兄上の考えが理解できません。それに何の意味があるんですか? 落ちこぼれスキルの子供同士の優劣をハッキリさせて、元王妃と現王妃のどちらが優れているのか決めたいんですか?」
テミスは現王妃とその子供達が、元王妃とその子供の登場で、城から追い出されるかもしれないと、無用な危機感を覚えるのを警戒しています。
競い合いをさせる事で、現王妃と子供達を城から追い出す口実を作るのならば、理解は出来ます。
でも、エウロスには本当に競い合わせるだけの目的しかありません。
だからこそ、テミスはエウロスの考えがまったく理解できません。
「ああ、確かにそれもあるな。俺の中でも、駄目親父がクロノスを追放したのが、本当に正しかったのか今でも疑問に思っている。あいつの戦闘能力はそこまでなかったが、スキルの能力は俺とお前を超えていると思っている」
エウロスはウォルターの事を高く評価しています。
けれども、テミスはそうは思っていないようです。
「くだらない。空中と水中を泳げるだけ。指定したものを探す能力だけ。完全に個人的な能力が特化しただけの能力です。使える範囲が限定され過ぎていますよ」
「おいおい、お前がそれを言うのか? 魔法だけの特化型の癖に……」
「私にとって魔法は付属品です。この頭脳が最大の能力です」
自画自讃もいいところだと呆れているエウロスを無視して、テミスは自分の頭をコツコツと指で叩いて、誇らしげな顔にしています。
「頭脳ねぇ? そこまで上等な頭じゃないだろうに。まあいい。そんなお馬鹿なお前に、良い婚約者を紹介してやる。九歳のスカンドス王国の第一王女だ。未来と過去を見るスキルを持っている。お前が間違いを犯す前に止めてくれる賢い女だ。プリシラの千倍はマシな相手だろう?」
「九歳ですか。確かにプリシラよりは、良さそうに思えますが……」
テミスはしつこく誘惑して来る十三歳のプリシラを思い出して、少し気分が悪くなりました。
現王妃は娘のプリシラをテミスと結婚させようとしています。
現王妃は子供二人が、賢者を超える力を持つ事は一生出来ないと諦めています。
そして、超える事が出来ない壁ならば、壁の一部になる事を決めました。
「つまりは母上とクロノスはついでで、その王女と私を婚約させるのが目的ですか。他国の王族との関係は確かに必要ですが、相手側が了承するとは思えませんよ」
「それは問題ない。この薬が欲しければ、母様と王女を連れて来るように言った。それに来ないなら、こちらから会いに行くとも伝えている。必ず来るさ」
「そうですか。それならばいいんですけどね……」
エウロスの考えをテミスは一応は理解しました。けれども、狙いがそれだけとは思えません。
それでも、高齢の国民の追放先が手に入るのならば、これ以上の詮索は不要だと答えを出しました。
それに煩わしい結婚相手の問題が解決できるのは、朗報です。
美しいだけの近くの妹よりも、有能な遠くの妹を迎える事を望みました。
「兄上、どういうつもりですか? 追放された弟と母上を城に招くだけでも、国に混乱を起こすというのに、死んだはずのクロノスに王位継承権まで与えるなんて……」
腰まで届く金色の綺麗な髪を編み込んだ第二王子テミスが、僅かな苛立ちを見せながらも、椅子に座る第一王子エウロスに、雪解けの澄んだ小川を思わせるような声で聞いています。
第二王子のテミスは長い髪と華奢な身体付きから、後ろ姿だけだと、よく女性に間違われる程の美青年です。
けれども、実質的に国王代理として、ロムルス王国を治めているのはテミスです。
「俺がどういうつもりなのか、その賢い脳味噌ならば、俺に聞かなくても答えが出ているんじゃないのか?」
エウロスは自分の頭をコツコツと笑いながら叩いて、テミスに向かって、逆に聞き返しています。
「それが分からないから聞いているんですよ。馬鹿が天才を理解できないように、天才は馬鹿の考えが理解できないんです」
「おいおい。これでも、それなりに頭が切れる方なんだぞ。その言い方はないだろう?」
テミスの冷たい答えにも、エウロスはいつものように笑っています。
仲が悪くも良くもない兄弟が、長年一緒にいる理由は、お互いが必要だからです。
エウロスの武力とテミスの知力があってこそ、私腹を肥やすだけの管理職や兵士の大量解雇が実現できました。
その結果、国民が納めていた税金が20%→5%に大きく変化しました。
人口は減りましたが、国民の収入は安定したものに変化しました。
まあ、治安を維持する為に、犯罪行為を行なった者を容赦なく死刑にしたり、年齢六十歳を超えた者は不要だと、容赦なく国外追放にするというヤバイ国法も作られましたが、住めば都です。
国外から言われるような酷い国ではありません。国民達はそれなりに幸せに暮らしています。
「はぁ……いい加減に巫山戯ていないで、少しは真面目に答えたらどうなんですか? 一体、どういうつもりなんですか?」
テミスの苛立ちに反応するように、部屋の室温が少しずつ下がっていきます。
一般人相手ならば、十分な威嚇にもなりますが、剣聖エウロスには効果はないようです。
怒っているテミスの僅かな表情の変化を楽しんでいるぐらいです。
「そう怒る事じゃないだろう。駄目親父はとっくに処刑した。まあ、王妃とプリシラとフェイトの三人は、絶対に歓迎しないだろうがな。クッフフフ」
エウロスは城に残っている三人の王族の顔を思い出して、笑っています。
ウォルターと同じように、現王妃トリシャの子供二人も、使えないスキル持ちの烙印を押されています。
それでも、生きてた時の国王に追い出されなかったのは、現王妃のスキルに可能性があったからです。
それに元王妃の『育てる』と似たスキルを持つ若い女性は他にいませんでした。
「それが分かっているなら、何故、元王妃とクロノスを城に招くんですか? 殺し合いでもさせたいんですか?」
「殺し合いか……そこまでさせるつもりはないが、競い合いはしてもらうつもりだ。その結果次第では、ウォルターには第三王子として、国に戻ってもらう」
「……やはり私には、兄上の考えが理解できません。それに何の意味があるんですか? 落ちこぼれスキルの子供同士の優劣をハッキリさせて、元王妃と現王妃のどちらが優れているのか決めたいんですか?」
テミスは現王妃とその子供達が、元王妃とその子供の登場で、城から追い出されるかもしれないと、無用な危機感を覚えるのを警戒しています。
競い合いをさせる事で、現王妃と子供達を城から追い出す口実を作るのならば、理解は出来ます。
でも、エウロスには本当に競い合わせるだけの目的しかありません。
だからこそ、テミスはエウロスの考えがまったく理解できません。
「ああ、確かにそれもあるな。俺の中でも、駄目親父がクロノスを追放したのが、本当に正しかったのか今でも疑問に思っている。あいつの戦闘能力はそこまでなかったが、スキルの能力は俺とお前を超えていると思っている」
エウロスはウォルターの事を高く評価しています。
けれども、テミスはそうは思っていないようです。
「くだらない。空中と水中を泳げるだけ。指定したものを探す能力だけ。完全に個人的な能力が特化しただけの能力です。使える範囲が限定され過ぎていますよ」
「おいおい、お前がそれを言うのか? 魔法だけの特化型の癖に……」
「私にとって魔法は付属品です。この頭脳が最大の能力です」
自画自讃もいいところだと呆れているエウロスを無視して、テミスは自分の頭をコツコツと指で叩いて、誇らしげな顔にしています。
「頭脳ねぇ? そこまで上等な頭じゃないだろうに。まあいい。そんなお馬鹿なお前に、良い婚約者を紹介してやる。九歳のスカンドス王国の第一王女だ。未来と過去を見るスキルを持っている。お前が間違いを犯す前に止めてくれる賢い女だ。プリシラの千倍はマシな相手だろう?」
「九歳ですか。確かにプリシラよりは、良さそうに思えますが……」
テミスはしつこく誘惑して来る十三歳のプリシラを思い出して、少し気分が悪くなりました。
現王妃は娘のプリシラをテミスと結婚させようとしています。
現王妃は子供二人が、賢者を超える力を持つ事は一生出来ないと諦めています。
そして、超える事が出来ない壁ならば、壁の一部になる事を決めました。
「つまりは母上とクロノスはついでで、その王女と私を婚約させるのが目的ですか。他国の王族との関係は確かに必要ですが、相手側が了承するとは思えませんよ」
「それは問題ない。この薬が欲しければ、母様と王女を連れて来るように言った。それに来ないなら、こちらから会いに行くとも伝えている。必ず来るさ」
「そうですか。それならばいいんですけどね……」
エウロスの考えをテミスは一応は理解しました。けれども、狙いがそれだけとは思えません。
それでも、高齢の国民の追放先が手に入るのならば、これ以上の詮索は不要だと答えを出しました。
それに煩わしい結婚相手の問題が解決できるのは、朗報です。
美しいだけの近くの妹よりも、有能な遠くの妹を迎える事を望みました。
1
お気に入りに追加
340
あなたにおすすめの小説
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
スキル【自動回収】で人助け〜素直な少年は無自覚に人をたらし込む〜
ree
ファンタジー
主人公ー陽野 朝日は(ようの あさひ)は
かなり変わった境遇の持ち主だ。
自身の家族も故郷も何もかもを知らずに育ち、本だけが友達だった。
成人を目前にして初めて外に出た彼は今まで未知だった本の中の世界を夢見て冒険に出る。
沢山の人に頼り、頼られ、懐き、懐かれ…至る所で人をタラシ込み、自身の夢の為、人の為ひた走る。
【自動回収】という唯一無二のスキルで気づかず無双!?小さな世界から飛び出した無垢な少年は自分の為に我儘に異世界で人をタラシ込む?お話…
冒険?スローライフ?恋愛?
何が何だか分からないが取り敢えず懸命に生きてみます!
*ゲームで偶に目にする機能。
某有名ゲームタイトル(ゼ○ダの伝説、テイ○ズなどなど)をプレイ中、敵を倒したらそのドロップアイテムに近づくと勝手に回収されることがありませんか?
その機能を此処では【自動回収】と呼び、更に機能的になって主人公が扱います。
*設定上【自動回収】の出来る事の枠ゲームよりもとても広いですが、そこはご理解頂ければ幸いです。
※誤字脱字、設定ゆるめですが温かい目で見守って頂ければ幸いです。
※プロット完成済み。
※R15設定は念の為です。
ゆっくり目の更新だと思いますが、最後まで頑張ります!
悪役令嬢が最強!伝説の魔法使いが悪役令嬢に転生。いろいろやらかして追放されて贖罪をしながらのんびり。この悪役令嬢あまり懲りてないみたい。
島風
ファンタジー
異母妹への嫉妬に狂い罪を犯した令嬢クリスティーナ、牢の中で心からその罪を悔いていた。しかし、苦しむ彼女は前世で大陸最強の魔導士であった事を思い出す。
裁判を受け国外追放となった彼女は贖罪の旅を続けようとするが......まっ! いいよね? 昔の話は?......と思ったら、何だか色々とおかしな方向へ進んでいきます。
それにしても私を追放した王子様......何で魅了の魔法になんてかかってるんだろう?
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
水の中でも何処でももふもふ!! あたらしい世界はもふもふで溢れていました
ありぽん
ファンタジー
転生先は海の中? まさか!? 水の中でももふもふを堪能できるなんて!!
高橋碧(たかはしあおい)は、小説の設定で時々みる、ある状況に自分が直面することに。
何と神様の手違いで死んでしまったのだった。
神様のお詫びとして新しい世界へ送られ、新しい生活を送ることになった碧。しかし新しい世界へと転生すれば、またもや神様のせいでまずい状況に?
でも最悪な始まりをむかえた碧を、たくさんのもふもふ達がいやしてくれ。
もふもふパラダイスのこの世界で碧は、まったり? ゆっくり? もふもふを堪能できるのか。
【完結】底辺冒険者の相続 〜昔、助けたお爺さんが、実はS級冒険者で、その遺言で七つの伝説級最強アイテムを相続しました〜
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
試験雇用中の冒険者パーティー【ブレイブソード】のリーダーに呼び出されたウィルは、クビを宣言されてしまう。その理由は同じ三ヶ月の試験雇用を受けていたコナーを雇うと決めたからだった。
ウィルは冒険者になって一年と一ヶ月、対してコナーは冒険者になって一ヶ月のド新人である。納得の出来ないウィルはコナーと一対一の決闘を申し込む。
その後、なんやかんやとあって、ウィルはシェフィールドの町を出て、実家の農家を継ぐ為に乗り合い馬車に乗ることになった。道中、魔物と遭遇するも、なんやかんやとあって、無事に生まれ故郷のサークス村に到着した。
無事に到着した村で農家として、再出発しようと考えるウィルの前に、両親は半年前にウィル宛てに届いた一通の手紙を渡してきた。
手紙内容は数年前にウィルが落とし物を探すのを手伝った、お爺さんが亡くなったことを知らせるものだった。そして、そのお爺さんの遺言でウィルに渡したい物があるから屋敷があるアポンタインの町に来て欲しいというものだった。
屋敷に到着したウィルだったが、彼はそこでお爺さんがS級冒険者だったことを知らされる。そんな驚く彼の前に、伝説級最強アイテムが次々と並べられていく。
【聖龍剣・死喰】【邪龍剣・命喰】【無限収納袋】【透明マント】【神速ブーツ】【賢者の壺】【神眼の指輪】
だが、ウィルはもう冒険者を辞めるつもりでいた。そんな彼の前に、お爺さんの孫娘であり、S級冒険者であるアシュリーが現れ、遺産の相続を放棄するように要求してきた。
異世界隠密冒険記
リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。
人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。
ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。
黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。
その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。
冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。
現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。
改稿を始めました。
以前より読みやすくなっているはずです。
第一部完結しました。第二部完結しました。
【完結】元荷物持ちの最強ダンジョン配信譚 ~僕は探索者PTを追放されたことで真の力を取り戻し、美少女配信者を助けたことで神バズりしました〜
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
「おい、拳児。お前は今日限りクビだ。荷物を置いてさっさと俺たちの前から消え失せろ」
ある日、荷物持ちの拳児はリーダーの草薙数馬にそう言われ、C級探索者パーティー【疾風迅雷】からのクビを言い渡されてしまう。
拳児がクビにされた理由はPTの探索者ランクがB級に昇格し、ダンジョン内で専用カメラを使っての配信活動がダンジョン協会から認可されると草薙数馬が確信したからだ。
そうなると【疾風迅雷】は顔出しで探索配信活動をすることになるので、草薙数馬は身元不明で記憶喪失だった拳児の存在自体が自分たちの今後の活動に支障が出ると考えたのである。
もちろん、拳児はクビを撤回するように草薙数馬に懇願した。
だが草薙数馬と他のメンバーたちは聞く耳を持たず、それどころか日頃からの鬱憤を晴らすように拳児に暴力を働いてダンジョン内に置き去りにしてしまう。
しかし、このときの草薙数馬たちは知らなかった。
実は今まで自分たちが屈強な魔物を倒せていたのは、拳児の秘められた力のおかげだったことに。
そんな拳児は追放されたあとに秘められていた自分の真の力を取り戻し、しかもダンジョン協会の会長の孫でインフルエンサーのA級探索配信者の少女を助けたことで人生が一変。
上位探索者でも倒すのが困難なイレギュラーと呼ばれる魔物たちを打ち倒し、自身もダンジョン協会からのサポートを受けて配信活動を始めたことで空前絶後の神バズりをする。
一方の拳児をクビにして最悪な行いをした草薙数馬たちはB級探索配信者となったものの、これまで簡単に倒せていた低級の魔物も倒せなくなって初配信が大ゴケしてしまう。
やがて無名だった荷物持ちの拳児は世界中から絶賛されるほどの探索配信者となり、拳児をクビにして追放した草薙数馬たちは死ぬこと以上の地獄をみることになる。
これは現代ダンジョン配信界に激震が走った、伝説の英雄配信者の比類なき誕生譚――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる