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第53話

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「あうっ、うぅっ……ここは?」
「やっと起きたか? さっさと服を着て、その見にくい脂肪の塊を隠せ」
「にゃっ⁉︎ こ、こ、このド変態‼︎」
「何の事だ? ふぅー、さっさと服を着ろ……」

 岩棘を背もたれに、体育座りで寝かせていた女剣士がやっと起きた。
 僕の顔を見た瞬間に、驚いて露出した胸や下半身を隠しているけど、安心しろ。
 今は大賢者タイムだ。その気はまったくない。

 もう時刻は午後四時を過ぎている。
 僕の目は暗い森の中もある程度は見えるけど、暗闇の中で女剣士に逃げられると厄介だ。
 まあ、神フォンを使えば、どこへ逃げようと丸分かりなんだけどね。

「うぅっ、ぐっす、なんか、おっぱいと太ももにベタベタした白いのがついている。うぅっ、臭いよぉ~」
「……」

 それは僕のHPいローションだ。
 安心しろ。人体には悪影響はないし、パイズリとモモズリだけで、中には一ミリも一ミリリットルも侵入していない。鋼の自制心を持つ僕に感謝するんだな。

「ぶつぶつ言ってないで、さっさと早く服を着ろ」
「ぐっすん、もういいだろう。さっさと殺せよ! お前に死ぬまで凌辱されるぐらいなら、死んだ方がマシだ。お前が殺さないなら、自分で死んでやる!」

 涙を浮かべた女剣士が、岩棘の中から服をブンと投げつけてきた。

「フン。やれるものならば、やってみろ。俺は死霊魔法が使える。死体ならば、魔物だろうと人間だろうと思い通りに操れる。それも五感と精神と人格を残したままな」
「うぅっ、うぐっ、ぐっす……」

 僕の言葉を聞いて、右手の手のひらを口に押し当てていた女剣士は硬直した。
 口内に炎の渦巻き、ファイヤーロアを発射して自殺するつもりだったようだけど、今の大賢者タイムの僕には通用しない。

「諦めろ。お前も見ていただろう。俺が虎蜂三匹を操っていた姿を……俺は常に死体をストック貯蔵してある。虎蜂だけじゃない。お前が倒そうとしているワイルドボアもこの通りあるぞ」
「⁉︎」

 僕は神フォンからワイルドボアの死体八匹を取り出して、女剣士に見せた。
 女剣士は僅かに驚いた反応を見せたけど、この程度の反応なのは予想済みだ。
 おそらく、収納ボックスでも同じような事が出来るはずだ。
 魔物の死体を赤い板から取り出しても、驚かれない事は分かっている。

「さて、取り引きをしよう。いや、俺にとっては遊びだな。お前には俺を街に住まわせる為の手伝いをしてもらう。もしも、俺がダークエルフだとバレれば、お前の負けだ。街の住民は皆殺しにする。もちろん、ゲームを断っても、街の住民は皆殺しだ。俺の庭を荒らし回ったんだ。責任は取ってもらわないとな」
「……」

 さて、女剣士は無反応だけど、逃げ道は完全に塞いだはすだ。
 女剣士は自殺する事は出来ない。僕の提案を断る事も出来ない。でも、一つだけ厄介な事がある。
 僕の話を全て本当だと信じてくれても、街の住民と一緒になって僕を殺せば、問題が解決してしまう事だ。

 死体を操れるならば、殺される前に僕を殺せばいい。
 街の住民を殺すつもりならば、住民全員で、殺される前に僕を殺せばいい。
 解決策が一つ残っているのだ。それに気づかれたら、この作戦は失敗に終わってしまう。

「……分かった。でも、一つ教えて。何で街に住みたいの? この森に住んでいるなら、街に住まなくてもいいでしょう」
「フッ。言っただろう……ゲームだと。俺はお前の苦悩する姿を見たいんだ。すぐ間近でな」
「くっ、最低なクソ魔物め!」
「フッ。口の利き方が悪い女だ。だが、安心しろ。何もお前が損をするばかりじゃない。お前の冒険者としての仕事を手伝ってやる。まずはこのワイルドボアをお前にやろう。今日の仕事で必要だったのだろう?」
「うぅっ……」

 地面に体育座り中の女剣士が、獰猛な小型犬のような愛らしい茶色い瞳で睨んでくる。
 世の中は飴と鞭で回っている。
 そして、自分に利益がある事ならば、意外と人は、悪い事だと知っていても、その悪い飴ちゃんに飛びついてしまう。
 守れない正義と確かな利益、あとは、この女剣士がどちらを選ぶか次第だ。

「ううっ~~、分かった。分かったよ! 街には連れて行く。でも、条件がある。私は魔物と一緒に居たくない。住む場所は自分で探してよ!」
「ああ、もちろんそのつもりだ。女の世話に、フッ、しかも小娘の世話になるつもりはない。俺の力でお前を街一番の冒険者にしてやろう」

 僕は投げつけられた服を、女剣士に投げ返した。取り引き成立のようだ。
 あとは街に辿り着く前に、この作戦の一番の問題点を解決しないといけない。
 つまり僕を倒せば、全て万事解決という問題点だ。
 スキルを使うつもりはなかったけど、どう考えても僕一人では手が足りない。
 魔物を数匹友達にして、女剣士と街の住民達の監視をさせないといけない。

「よし、服を着たな。行くぞ」
「ちょっと、私の収納ボックス返してよ。それに武器と防具も返してよ」

 女剣士が服を着終わったので、早速、街に出発しようとした。
 でも、女剣士がちょいちょいと指で、僕に剣と胸当てを「返してよ」と、図々しく要求してきた。
 自分の立場がまったく分かっていない。
 僕は善良的なダークエルフだから、服を着せているんだ。
 普通は捕虜の女は全裸確定だという事を知らないらしい。

「そのつもりはない。お前は黙って見ていればいい。文句があるのならば、装備だけじゃなくて、服も脱がすぞ」
「嫌! 返してよ! 私は魔物を倒しに来ただけじゃなくて、レベルも上げに来たんだよ! 街一番の冒険者にしてくれるなら、レベル上げも手伝ってよ!」
「ちっ……」

 余計な一言を言ってしまった。本当に図々しい女だ。さらに要求してきた。
 それに女剣士にレベルを上げられたら、それこそ、面倒な事になる。
 でも、断るべきか、断らないべきか……これは意外と厄介な選択かもしれない。
 レベル上げを断ったら、僕が女剣士が強くなる事を恐れている感じに見える。
 絶対的な強者が、多少のレベルアップも許さないなんて、少しおかしいだろう。でも……。

「今は駄目だ。街に着いてから返してやる」
「嫌! 返してよ! この嘘吐き! 私が武器を持つのが怖いんでしょう!」
「フッ。怖いだと? 武器と防具を返さないのは邪魔だからだ……」
「ちょ、ちょっと、何するつもり、あわわわわわわ~~~‼︎」

 僕は両手を突き出して、女剣士に接近していく。まったく学習能力がないらしい。
 僕を怒らせると、どうなるか……それは身を持って体験したばかりのはずだ。
 女剣士は逃げ場のない岩棘の中で、迫り来る僕の魔の手に怯えている。
 だけど、口で分からないのならば、身体で分からせるしかないじゃないか。
 ムニッムニッ、ムニュン♡ 

「はふっ、あうっ、んんっ、やあっ……」
「言っただろう。邪魔になるって……」

 ムニッムニッ♡ 僕は両手でおっぱいを揉み揉みしながら、隙を見つけて、黒革のジャケットのチャックを下ろした。
 そして、スルスルと迷彩柄のスポーツブラに手を滑り込ませて、柔らかな、お椀型おっぱいの直接マッサージを開始した。

「うわっ、ああっ、やだぁ、んんっ……」
「本当か? 本当は俺にもっとして欲しいんじゃないのか?」

 興奮してきた僕は岩棘の囲いに再び侵入すると、女剣士の身体を弄り回した。
 女剣士の顔は最上級の不快さと嫌悪感を訴えているけど、この場所、つまりは最高裁判所の判事は僕だ。
 何もしても、僕は当然無罪だ。そして、被告人の女剣士は罰を受けないといけない。
 世の中、悪い事をしたら罰を受けるのは当然の決まりだ。
 僕を侮辱した罰を、しっかりと身体で償ってもらわないといけない。

「違う、そんなんじゃない、ひぐっ! あひっ!」
「どうやら、身体の方は正直者のようだ。そんなに剣が欲しいなら、俺の剣をたっぷりを与えてやる。剣が欲しいんだろう? んっ? んっ?」

 固くなったおっぱいの先端を乱暴にグリグリしながら、さらに女剣士の腰にも、もっこりはんをグリグリ、グイグイしてあげた。
 そんなに剣が欲しいなら、僕の伝説級の性剣せいけんを貸してあげるしかない。

「嫌! 嫌! そんなの要らない! 剣なんて要らない! うぇぇぇん! うぅっ、ぐっす、変態、最低、死んじゃえ! ひっく、ぐっす……」
「うっ……じゃあ、行くぞ」

 ガァン~~~‼︎ この女剣士は事もあろうに、僕の伝説級の性剣を拒絶しやがった。
 女剣士は地面にペタンと座り込むと、大泣きして拒絶しまくっている。流石の僕もその姿にドン引きだ。
 別に本気じゃなかったし、遊びだったし、冗談に決まっている。
 そして、シュンと性剣も、あまりのショックに力を失ってしまった。
 大丈夫だ。いつかきっと性剣を抜いてくれる人が現れるから……さあ、街を目指そう。
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