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異世界旅行編

魔界一の拷問回復術の使い手

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「野蛮な連中だ。捕虜を集団で暴行するとは」
「誰だ、お前‼︎ コイツらの仲間か‼︎」
「仲間ぁ~? まさか♪ 下手なリンチをしているから、俺が手本を見せてやるだけだ。俺は始まりの魔王ジェネシス。そして、魔界一の『拷問回復術』の使い手だ」

 風魔法で邪魔な住民を吹き飛ばすと、可哀想な敵兵士を治療してやった。
 やはり異世界。捕虜を暴行してはいけないという優しいルールはないようだ。

「何だ、お前! 馬鹿なのか!」
「馬鹿はお前だ」
「痛てい‼︎ 何すんだよ‼︎」

 俺の事を知らない生意気なガキが突っかかって来たが、住民に頭を叩かれた。

「この人は凄腕の回復術師で、もう何百人も町の住民を救っている俺達の命の恩人だ。申し訳ありません、街の子供が失礼しました」
「おい、嘘だろう⁉︎」
「そういう事だ。退け、そこの死にかけの子供も治してやる」

 これが好感度の力だ。覚えておけ、クソガキ。
 大人の住民達がしっかりと俺に頭を下げて感謝している。だったらやる事は一つだ。
 地面に倒れているガキに近づくと、剣を引き抜き回復魔法を使ってやった。

「『回復ヒール』」
「……うああ、あ、あれ? 痛くない⁇」
「ベルカム‼︎ この野朗、心配させやがって‼︎」
「痛てててって、あれ? 全然痛くない」

 死にかけていたガキが普通に起きた。
 そのガキの両肩を馬鹿ガキが掴んで力一杯揺らしている。
 痛くないのは当たり前だ。俺が治したんだからな。

(おい、クソガキ。これでお前も頭下げられるよな? 地面に土下座した状態でな♪)
 
 もちろん思うだけで言わない。好感度は下げたくないからな。
 さて、捕虜に戻るとするか。お前には女兵士が逃げた先を教えてもらう。
 素直に話せば痛い思いはしなくて済む。だが、話さないなら地獄だぞ。

「待たせたな。お前を生かしたのは訊きたい事があるからだ」
「ヘッ♪ だろうな。答えは任せろだ。さっさと尻出せよ。たっぷり可愛がってやるよ」
「フンッ。面白い奴だ♪ これからお前を拷問する。街を攻めた悪魔が逃げる場所、その他の重要情報も全て話してもらう。拷問されたくないなら——」
「やれよ♪ ぐだぐだ言ってねえでさっさとやれよ。指でも切り落とすか? 目玉でも抉り取るか? こっちはそういう目に遭うと分かって悪さしてんだ。覚悟は出来てんだよ! でもなあ、テメェが聞きたい事は何も話せねえぞ。コスン‼︎ テメェも女みたいに見っともなく叫んで話すんじゃねえぞ‼︎」
「ああ、分かってるよ‼︎ 悪魔と一緒に行動してりゃー、嫌でも恐怖に慣れちまうからな♪」

 悪魔に魂を売ったわりには良い覚悟だ。
 この俺と住民達を前に、黄土色の髪の兵士は強気に笑っている。
 歳は二十六ぐらいか。俺と大して変わらないのに随分と経験豊富なようだ。

「では、確かめさせてもらおうか♪」

 上着のポケットに手を入れると、剣を引き摺り出した。
 それが強気か虚勢か、お前の身体に訊いてやる。
 地面に足を伸ばして座っている兵士の胸を蹴り付けた。

「ぐがぁ!」

 そのまま胸に左足を乗せて地面に踏み付けると、望み通りに左手の指を切断してやった。

「ゔがあああああ‼︎」
「次は目玉を抉り取るんだったよな?」
「あああッッ‼︎ あがぁっ、があああああ‼︎」

 暴れ叫ぶ男の右目に左手の指を突っ込んだ。こんなのは巨大魚の目玉と同じだ。
 マグロの目玉を抉り取って焼いて食べる祭り『三崎マグロ祭り』で経験済みだ。
『マグロ食べさせてやるよ♪』でホイホイ付いて来た女も食べさせてもらった。
 どっちも美味かったなぁ~♪

「ホイっ! 右目ゲットだぜ! 次は左目だな♪」
「ゔがああああああ‼︎」

(何だろう、この気持ち? 俺、凄くドキドキしている⁉︎ 凄くドキドキしてる‼︎)

 どうやら俺には拷問で興奮する歪んだ性癖があるようだ。
『勃たぬなら 勃つまて待とう 男珍宝』の男珍宝がビンビンに勃っている。
 やっぱり新しい刺激ってのが大切なんだ。俺の男珍宝はマンネリしてたんだ。
 マンを練り練りするだけじゃ駄目なんだ。飽きちゃうんだ。

「『回復ヒール』——どうだ? 話したくなったか?」

 目玉も指も綺麗に治してやった。
 大汗かいて呼吸困難になっている兵士に拷問続行か聞いてみた。

「ぜぇぜぇ‼︎ ぜぇぜぇ‼︎ はっ、はははっ♪ これが拷問か? マッサージかと思ったぜ」

(そうこなくっちゃ~♡)

 兵士は狂った笑みで返事した。脳内アドレナリンが出まくっているようだ。
 その所為で正気か正気じゃないか分からないが、俺は正気だから安心して身を任せていいぞ。

「思ったよりもやるようだ。では、これはどうかな? 『地魔法・生贄の台座マントル・デスホール』」
「ぐぅ、あああああっっ‼︎」
「お前は尻が好きなようだ。だから、俺の長くて硬い剣を挿れてやる」

 兵士を地魔法で作り出した岩の十字架で拘束して、宙に持ち上げた。
 その十字架を操り、四つん這いの体勢にすると、頭と尻を出した状態で身体を四角い岩に閉じ込めた。
 その姿はまるで四角い土管で遊ぶ子供だが、これから始まるのはハードな遊びだ。
 ズボンを履いたままの兵士の尻に向かって、剣先を容赦なく突っ込んだ。

「ほおぎゃああああ‼︎ あああッッ‼︎ あー、ああーッッ‼︎ あぎゃああああ‼︎」
「ひぃぃ‼︎ 駄目だ、見てらんねえ!」
「どうだ、気持ち良いか?」

 尻穴に何度も血塗れの剣を素早く出し挿れする。兵士は何も答えずに絶叫を繰り返すだけだ。
 そんな哀れな姿に住民達が耐え切らずに視線を逸らした。おいおい、この程度で興醒めするなよ。
 本番はこれからだぜ。

「もういい、やめてくれぇー‼︎ 何でも話す‼︎ 何でも話すからやめてくれ‼︎」

 それなのにどいつもこいつも甘い奴らだ。もう一人の兵士が叫んで懇願してきた。
 さっき治療中に閃いた拷問術のお披露目がまだなのに、やめられる訳がない。

「慌てるなよ。次はお前の番だ。なあ、知ってるか? 身体の中に異物が残っている状態で治療すると、異物が肉に当たって痛みが発生するんだ。ちょうどこういう具合にな」
「ぐあああああ‼︎」

 剣先を胸の辺りまで突っ込んだ状態で回復魔法を使った。
 普通は死ぬような状態でも、この方法なら痛みを与え続ける事が出来る。
 もちろんこの程度の痛みなら、剣で尻穴刺した方が痛いに決まっている。
 だから、ひと工夫必要になる。剣を尻鞘から勢いよく引き抜いた。

「おぼぼぼぼおお‼︎」
「『錬金術・千歯剣せんばけん』——次はコイツを挿れる番だ」

 両刃の剣にノコギリのように小さな刃を大量に作り出した。
 そのギザギザ剣を尻鞘に勢いよく戻した。これからお前を解体ショーする。

「ずじゅぼおおおお‼︎」

 剣を適当に動かして、前後左右の肉壁を刻み進んでいく。
 胎内では木屑のように肉屑が飛び散っているはずだ。
 逝きまくり必至の最高の痛みを十分に楽しむんだな。

「もういい。やめてくれ」
「ん? どうしてだ? お前達の憎い仇だろ。この程度でも足りないんじゃないのか」

 誰かと思ったら、さっき激怒していた爺さんと兄貴を殺された若い男が後ろに立っていた。
 まさかとは思うが、コイツに同情しているのか。

「そうだが……正気を失った奴にやっても意味がない」
「ひゃび、ひゃび、びびぁび……」
「おや? 人間には刺激が強過ぎたようだ♪」

 俺とした事が尻ばかり見ていたから気付かなかった。
 顔を見ると、白目を剥いた状態で顔の至る所から体液を垂れ流して、意味不明な言葉を呟いていた。
 完全に精神が崩壊している奴の顔だ。肉体は治せても精神は無理みたいだな。
 その辺は魂と一緒か。

 仕方ない。
 胴体を切断して、女の死体の下半身とくっ付けて、千歯剣の二本挿れはもう一人の方に試すか。
 ああ、でも。狼の死体に頭をくっ付けて人面狼も面白そうだな。
 こりゃー困ったな。残り一人じゃ足りないな。他にもいないかな?

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