上 下
87 / 98
第3章

第87話⑦ピンチポイント②

しおりを挟む
 ふぅ。一旦落ち着こう。
 呪いなら自分で解ける。教会にも薬屋にも行く必要がない。
 とりあえず、エルシア様に気づかれないようにアンチカースを使ってみた。

「……あのイチゴミルクめ‼︎」

 ふぅふぅ。駄目だ、感情的に襲う前に一旦落ち着こう。
 呪い解いたら簡単に魅了も解けてしまった。
 頭に一気に怒りの感情が沸き起こり、後ろの荷台を振り向いた。
 性奴隷のくせに主人の方を性の付かない奴隷にしやがった。
 今すぐに愛馬を止めて、荷台の中の性奴隷の腹をパンパンに膨らませたい。

 でも、それは駄目だ。また魅了される危険がある。
 そもそもあの時からおかしかった。
 キスはイチゴ、おっぱいはミルク、ダンジョンは蜂蜜だ。
 妹もリラもヨハネもダンジョンは蜂蜜味だった。ついでに母乳も出るようになる。
 蜂蜜味は特別じゃなくて、女の子なら皆んな普通に蜂蜜味だ。
 きっと、あの時に魅了されていた。体液に魅了効果があるに違いない。

 つまりエッチしたら魅了させるという事だ。
 だったら仕方ない。次が最後の場所だと言っていた。
 このまま魅了されたフリを続けて、何を企んでいるのか突き止めてやる。

「ねえ、暇だから影出して」
「はい、喜んで!」

 家までの帰り道、エルシアが再び影俺を要求してきた。
 俺としては間接的にエッチできて、魅了対策にもなるから望むところだ。
 家に帰ったら我慢していた分、三人にたっぷりご奉仕してもらう。
 俺と同じように我慢していたなら、きっと大喜び間違いなしだ。
 
「ふぅ。着いたぁ~」

 長い旅路を終えて、俺の家に帰ってきた。
 エルシアには荷台に隠れてもらって、二、三日は家でのんびりしたい。
 馬小屋に馬車を止めると、俺の帰りを待っていたのか五人の女の子がやって来た。

「お兄ちゃん! そんなに蹴られるのが好きなの!」
「よーし、お前のタマタマで玉蹴りしてやる。しっかり反省してもらうからな」

 俺のダンジョン帰りに妹とリラがかなり怒っている。
 そんな趣味はないと否定したいけど、蹴り方次第で考えてしまう。
 優しく気持ち良く蹴ってくれるなら、是非やってほしい。

「極秘の仕事だと言っただろ。それに次の場所にはお前達にも来てもらう。次は【死霊廃城】だ」

 でも、今は魅了中だ。エルシアの前で変態っぽい真似は出来ない。
 そんなものには興味はないと、クールに強気に拒否した。

「死霊廃城とはまた……」
「知っているのか?」

 キリッとした金髪メイド・クロウリアが知っている顔をした。
 どんな場所なのか聞いてみた。

「S級ダンジョンです。ライオネル様が昔そこで修業していたそうです。出現するモンスターは【死霊系】なので、聖騎士にとっては良い修業場所だったと聞いています」
「なるほど。S級の死霊ダンジョンか」

 死霊系モンスターは聖属性が弱点だ。
 僧侶が使う回復術も聖属性なので、俺も相性が良い。
 本来攻撃力のない、回復術のウルトラヒールで倒せると思う。

 まあ、死霊系は倒しても素材を落とさないので有名だ。
 本当に修業相手にしかならない。
 エルシアの目的地がここじゃないなら、一生行かないダンジョンだ。

「うっ、死霊系って……私だけ役立たずじゃん」

 あっ、忘れていた。完全脳筋武闘家のリラにとって死霊は天敵だ。
 殴っても身体を通り抜けてしますから、逆に一方的にやられてしまう。
 行っても役立たずになると落ち込んでいる。

「確かにそうですね。魔法は効きますが、純粋な物理攻撃は無意味ですから」
「仕方ないなぁ~。聖騎士の私が二人分頑張るしかないか!」
「お嬢様、私は反対です。危険な場所に行くのはその男一人で充分です」

 リラと違って妹とヨハネが行く気満々なのに、クロウリアが反対してきた。

「黙りなさい。子供じゃないんだから、危険なのは分かっています。お父様も行った場所なら、私も行くべき場所です。私は今の私の強さに満足していません」
「申し訳ありません。でしたら、私達もお連れください。多少の戦力にはなるはずです」

 でも、ヨハネに怒られると、すぐに賛成に切り替えた。
 しかも、付いて来ると言い出した。

「そうね、そうしましょう。今のLVはどのぐらいあるの?」
「私は63、メルシーは58です」

 高っ。どっちも数カ月前の俺の倍だ。

「どっちも弱いわね。付いて来るなら、ついでに鍛えた方がいいわよ」
「申し訳ありません。そうさせていただきます」

 まさかの戦闘メイドだった。
 LVが高いのも気になるけど、一番気になるのは黒髪メイドのメルシーだ。
 まさか知り合いに研究所で働いている【メルシー・アンアン】はいないだろうな。
 もしも知り合いなら、俺を嵌めた罰として、お前をあんあんさせる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

処理中です...