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第4話
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「路地裏に逃げ込んだぞ! 追え追え!」
「絶対に逃すな! 逃すんじゃないぞ!」
四次元鞄に詰め込んだ荷物を持って、路地裏を騎士団員から歩いて逃げ回る。
こうなるとは思っていたけど、予想よりも手配が早くて驚いた。
借りていた家は見事に荒らされていた。
犬にベッドの匂いを嗅がせて、男の騎士団員達が下品な笑みでタンスの下着を嗅いでいた。
絶対に覚えなくていい匂いだと思う。
今は犬も含めて全員、床に笑えない状態で倒れている。
服も下着もキチンと全部回収したし、変態達には罰を与えておいた。
こうなると分かっていたら、近所の婆さんの下着を盗んでタンスに放り込んでおくんだった。
「こっちにいたぞ! 女のくせになんて逃げ足が速いんだ!」
「ガウッ! ガウッ!」
騎士団員と犬が必死に走って追いかけてくるけど、私は歩いて逃げているだけだ。
両足には青緑色の革靴『歩王の靴』を履いている。
これは昔『歩く』という呪われたスキルを授かって、歩くしか出来なくなった男が必死にスキルを鍛えて、目に見える直線距離を一歩で瞬間移動できるようになったという……まあ、その男が履いていた靴で呪われた靴だ。履くだけで同じ事が出来るようになる。
でも、壁は通り抜けられないので、建物の中や建物の多い町中で使うのはちょっと難しいぞ。
「オエエエエエッッ……も、もう無理だ!」
全力疾走で早くも騎士団員が倒れてしまった。私はまだまだ余裕だ。
さて、なぜ私がこんなに国宝に詳しいかというと宝物庫に説明書があったからだ。
王子に誘われて宝物庫の国宝を見に行ったんだけど、その後に肉体関係を迫られて、第35聖女だという噂話も聞いてしまった。もう見るだけでは終われない。
路地裏で調教したばかりの白黒猫とたっぷり調教した猫達を使って、国宝を盗ませてもらった。
今まで傷つけた偽聖女達と私の分まで、私がたっぷり慰謝料を貰ってやることにした。
「そこまでだ、偽聖女! もう逃げ場はないぞ!」
前方の道を騎士団員が両手を広げて通せんぼしてきた。
これが兵士達の勝利宣言か決め台詞なのか知らないけど、私にとっては敗北宣言だ。
「なっ、消えた⁉︎」
歩王の靴で騎士団員の後方に瞬間移動すると、右手に持った『妖精王の魔法針』を兵士の首にプスッと刺した。
「はううううん!」
騎士団員が尻を浣腸されたみたいにピーンと背筋と両腕を伸ばすと、その体勢のまま地面に倒れた。
安心してください。あなたは下着の匂いを嗅いでないので、睡眠針にして刺してあげました。
「グゥグゥ……グゥグゥ……」
日頃の疲れを癒す為にゆっくりお休みください。倒れた騎士団員に聖女の祈りを捧げた。
妖精王の魔法針は先の尖った木の棒だ。その効果は生物に対して有効で——今みたいに安らかに眠らせることも、全身麻痺状態にして動けなくしてから、さらに全身に痒みを与える地獄を与えることも出来る、天使にも悪魔にもなる針だ。
説明書に書かれた主な使用方法は『睡眠』『麻痺』『毒』『肉体強化・弱化』『自然治癒力強化・弱化』と……戦闘のサポート重視の国宝だ。
国の危機を救うという重圧に睡眠不足になった聖女とその仲間の為に強制睡眠を与える快眠グッズなのだが、夜中に私の部屋に王子が忍び込んだ時に持っていた針もこれだ。
聖女と寝るという欲望で睡眠不足になっているのなら、王子は自分を一刺しすればいいと思ったのもこれだ。
「絶対に逃すな! 逃すんじゃないぞ!」
四次元鞄に詰め込んだ荷物を持って、路地裏を騎士団員から歩いて逃げ回る。
こうなるとは思っていたけど、予想よりも手配が早くて驚いた。
借りていた家は見事に荒らされていた。
犬にベッドの匂いを嗅がせて、男の騎士団員達が下品な笑みでタンスの下着を嗅いでいた。
絶対に覚えなくていい匂いだと思う。
今は犬も含めて全員、床に笑えない状態で倒れている。
服も下着もキチンと全部回収したし、変態達には罰を与えておいた。
こうなると分かっていたら、近所の婆さんの下着を盗んでタンスに放り込んでおくんだった。
「こっちにいたぞ! 女のくせになんて逃げ足が速いんだ!」
「ガウッ! ガウッ!」
騎士団員と犬が必死に走って追いかけてくるけど、私は歩いて逃げているだけだ。
両足には青緑色の革靴『歩王の靴』を履いている。
これは昔『歩く』という呪われたスキルを授かって、歩くしか出来なくなった男が必死にスキルを鍛えて、目に見える直線距離を一歩で瞬間移動できるようになったという……まあ、その男が履いていた靴で呪われた靴だ。履くだけで同じ事が出来るようになる。
でも、壁は通り抜けられないので、建物の中や建物の多い町中で使うのはちょっと難しいぞ。
「オエエエエエッッ……も、もう無理だ!」
全力疾走で早くも騎士団員が倒れてしまった。私はまだまだ余裕だ。
さて、なぜ私がこんなに国宝に詳しいかというと宝物庫に説明書があったからだ。
王子に誘われて宝物庫の国宝を見に行ったんだけど、その後に肉体関係を迫られて、第35聖女だという噂話も聞いてしまった。もう見るだけでは終われない。
路地裏で調教したばかりの白黒猫とたっぷり調教した猫達を使って、国宝を盗ませてもらった。
今まで傷つけた偽聖女達と私の分まで、私がたっぷり慰謝料を貰ってやることにした。
「そこまでだ、偽聖女! もう逃げ場はないぞ!」
前方の道を騎士団員が両手を広げて通せんぼしてきた。
これが兵士達の勝利宣言か決め台詞なのか知らないけど、私にとっては敗北宣言だ。
「なっ、消えた⁉︎」
歩王の靴で騎士団員の後方に瞬間移動すると、右手に持った『妖精王の魔法針』を兵士の首にプスッと刺した。
「はううううん!」
騎士団員が尻を浣腸されたみたいにピーンと背筋と両腕を伸ばすと、その体勢のまま地面に倒れた。
安心してください。あなたは下着の匂いを嗅いでないので、睡眠針にして刺してあげました。
「グゥグゥ……グゥグゥ……」
日頃の疲れを癒す為にゆっくりお休みください。倒れた騎士団員に聖女の祈りを捧げた。
妖精王の魔法針は先の尖った木の棒だ。その効果は生物に対して有効で——今みたいに安らかに眠らせることも、全身麻痺状態にして動けなくしてから、さらに全身に痒みを与える地獄を与えることも出来る、天使にも悪魔にもなる針だ。
説明書に書かれた主な使用方法は『睡眠』『麻痺』『毒』『肉体強化・弱化』『自然治癒力強化・弱化』と……戦闘のサポート重視の国宝だ。
国の危機を救うという重圧に睡眠不足になった聖女とその仲間の為に強制睡眠を与える快眠グッズなのだが、夜中に私の部屋に王子が忍び込んだ時に持っていた針もこれだ。
聖女と寝るという欲望で睡眠不足になっているのなら、王子は自分を一刺しすればいいと思ったのもこれだ。
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