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第13話 剛田対住民三人
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♦︎剛田・視点♦︎
「ん?」
十字路を直進して、一本道を進んでいると、左側の森の中に赤い何かが見えた。
気づかないフリをして通り過ぎると、サイドミラーに僅かに人の姿が映った。
「俺はここで降りる。あとは任せた」
「え?」
車を急停止させると、あとは薬師寺に任せて、森に飛び込んだ。
「ほー、思ったよりも速いな。よく鍛えている」
背の高い雑草を掻き分けて逃げる、黒人の男の背中を追いかける。
野生動物を追いかけている気分だ。身体能力が平均よりも明らかに高い。
「ん? 誰かいるな……」
物陰から熱い視線で見られれば、男なら分かる。
逃げる男以外に、樹木に隠れて俺を見ている奴が二人はいる。
追いかけるのをやめて立ち止まると、コソコソ隠れている奴らに呼びかけた。
「出て来い! 男なら戦え、俺は丸腰だ。それでも怖いか、この腰抜けどもが!」
視線を感じる二つの方向に両腕を伸ばして指差した。
腕をひっくり返して、人差し指を前後に二回曲げて、出て来いと誘う。
鍛え上げた肉体だけで、正々堂々の決闘を俺を望んでいる。
「……本当に馬鹿一人みたいだな」
「ああ、誰も追いかけて来ない。馬鹿一人だけだ」
戦士が現れるのを待っていると、警戒するように白人の金髪の男二人が現れた。
二人が英語で喋っているが、俺は馬鹿じゃないから言葉は分かる。
「ようやく出てきたか。お前達はどれだけ強い? 俺に勝てる自信がないなら、知っている一番強い奴の所に案内しろ」
出て来た二人と、引き返して来た黒人に英語で話した。雑魚を倒しても意味がない。
三人は建物に使われる鉄筋の棒を鋭く削って、持ち手に布を巻いた武器を持っている。
見た感じ多少は鍛えているが、先を尖らせた鉄棒を持っている時点で弱者決定だ。
「完全に馬鹿だな。殺して焼肉にするか」
「待てよ! 助手席に女が乗っていた。半殺しにして女を捕まえよう」
「女なら移民で十分だ。生け捕りなんて面倒なこと出来るか」
「旅行者の女は滅多に来ない。捕まえれば最高の性奴隷になる!」
「馬鹿馬鹿しい。銃を持った女が欲しいなら一人で死んでろ」
白人二人は俺を殺す気らしいが、黒人野朗は薬師寺が欲しいようだ。
か弱い女を欲するとは、まずはコイツからだ。戦士の礼儀を教えてやる。
「そこの黒いの。女が欲しければ俺を倒してみろ。お前のような奴には不可能だがな」
黒人野朗を人差し指で差して、次に俺の胸の中心を指で差して、二回突いた。
薬師寺が欲しいなら、俺の心臓を突き刺した後だ。
「言ってくれるな。外生まれの坊ちゃんのくせに。錆びた金属で刺された経験はあるか?」
「いいや、ないな。当たらなければ刺さらないからな。刺せるなら試してみろ」
「……確かに馬鹿だ。さっさと教えてやるよ!」
チンピラが言いそうな台詞だ。まあ、普通のチンピラよりは腕は良さそうだ。
黒人野朗は鉄棒を勢いよく振り払うと、俺に向かってきた。
何人か殺した経験がありそうだ。緊張している気配を感じない。
「だはぁ、ぐぱあ!」
まあ、雑魚なのは変わらない。
左腹を狙った、右手による一突きを躱して、右拳を右手首にぶち込んだ。
手から離れた鉄棒が地面に落ちる前に、顔面に左拳を叩き込んだ。
鉄棒と黒人野朗の両方が地面に倒れた。
「峰打ちだ。病院で診てもらうんだな」
大の字に寝ている黒人野朗に言った。
鼻と前歯がへし折れているが、命に別状はないだろう。
「次はどっちがやる? 二人いっぺんでもいいぞ」
「……最初からそのつもりだ。武器無しでやってやるよ」
「面白い。それでこそ男の勝負だ!」
白人二人が持っていた鉄棒を地面に突き刺した。島では娯楽が少ないようだ。
身体を鍛えて、島民同士で普段から殴り合いでもやっているのだろう。
俺が望む命懸けの戦いが楽しめそうだ。
「ぐぬぬぬぬ!」
白人二人が同時に俺に向かって来ると、そのまま強烈なタックル食らわせてきた。
両足で踏ん張って耐えると、二人は俺の腕を一本ずつ掴んだ。
両腕を使って、俺の片腕を折りたいようだ。
面白い。折れるものなら折ってもらおうか。
「うおおお! だあああ!」
「があっ、ぎゃあ、じゃああっ!」
右腕の拘束が緩すぎだ。力で引き抜くと、左腕を拘束している男を押しながら、顔面に右拳を連打する。
男がダウンして左腕の拘束が緩くなった。左腕を引き抜くと、右腕を引き抜かれた男が向かってきた。
左拳を握り締め、顔面を殴り飛ばして地面に撃沈させた。
「この程度か。ハズレを引いたな」
三人とも雑魚だった。ダラシなく地面に寝ている。
この辺の奴らはおそらく見張りだ。つまりは下っ端の仕事だ。
三人が着ている服を破いて、手足を縛った。
倒した相手をわざわざ殺す必要はない。
「よし、これでいいな。車に戻るとするか」
他に仲間がいれば助けるだろう。薬師寺の車に早く戻るとしよう。
このままだと食べ物なしで、野宿になる。野宿はいいが、食べ物なしは駄目だ。
「ん?」
十字路を直進して、一本道を進んでいると、左側の森の中に赤い何かが見えた。
気づかないフリをして通り過ぎると、サイドミラーに僅かに人の姿が映った。
「俺はここで降りる。あとは任せた」
「え?」
車を急停止させると、あとは薬師寺に任せて、森に飛び込んだ。
「ほー、思ったよりも速いな。よく鍛えている」
背の高い雑草を掻き分けて逃げる、黒人の男の背中を追いかける。
野生動物を追いかけている気分だ。身体能力が平均よりも明らかに高い。
「ん? 誰かいるな……」
物陰から熱い視線で見られれば、男なら分かる。
逃げる男以外に、樹木に隠れて俺を見ている奴が二人はいる。
追いかけるのをやめて立ち止まると、コソコソ隠れている奴らに呼びかけた。
「出て来い! 男なら戦え、俺は丸腰だ。それでも怖いか、この腰抜けどもが!」
視線を感じる二つの方向に両腕を伸ばして指差した。
腕をひっくり返して、人差し指を前後に二回曲げて、出て来いと誘う。
鍛え上げた肉体だけで、正々堂々の決闘を俺を望んでいる。
「……本当に馬鹿一人みたいだな」
「ああ、誰も追いかけて来ない。馬鹿一人だけだ」
戦士が現れるのを待っていると、警戒するように白人の金髪の男二人が現れた。
二人が英語で喋っているが、俺は馬鹿じゃないから言葉は分かる。
「ようやく出てきたか。お前達はどれだけ強い? 俺に勝てる自信がないなら、知っている一番強い奴の所に案内しろ」
出て来た二人と、引き返して来た黒人に英語で話した。雑魚を倒しても意味がない。
三人は建物に使われる鉄筋の棒を鋭く削って、持ち手に布を巻いた武器を持っている。
見た感じ多少は鍛えているが、先を尖らせた鉄棒を持っている時点で弱者決定だ。
「完全に馬鹿だな。殺して焼肉にするか」
「待てよ! 助手席に女が乗っていた。半殺しにして女を捕まえよう」
「女なら移民で十分だ。生け捕りなんて面倒なこと出来るか」
「旅行者の女は滅多に来ない。捕まえれば最高の性奴隷になる!」
「馬鹿馬鹿しい。銃を持った女が欲しいなら一人で死んでろ」
白人二人は俺を殺す気らしいが、黒人野朗は薬師寺が欲しいようだ。
か弱い女を欲するとは、まずはコイツからだ。戦士の礼儀を教えてやる。
「そこの黒いの。女が欲しければ俺を倒してみろ。お前のような奴には不可能だがな」
黒人野朗を人差し指で差して、次に俺の胸の中心を指で差して、二回突いた。
薬師寺が欲しいなら、俺の心臓を突き刺した後だ。
「言ってくれるな。外生まれの坊ちゃんのくせに。錆びた金属で刺された経験はあるか?」
「いいや、ないな。当たらなければ刺さらないからな。刺せるなら試してみろ」
「……確かに馬鹿だ。さっさと教えてやるよ!」
チンピラが言いそうな台詞だ。まあ、普通のチンピラよりは腕は良さそうだ。
黒人野朗は鉄棒を勢いよく振り払うと、俺に向かってきた。
何人か殺した経験がありそうだ。緊張している気配を感じない。
「だはぁ、ぐぱあ!」
まあ、雑魚なのは変わらない。
左腹を狙った、右手による一突きを躱して、右拳を右手首にぶち込んだ。
手から離れた鉄棒が地面に落ちる前に、顔面に左拳を叩き込んだ。
鉄棒と黒人野朗の両方が地面に倒れた。
「峰打ちだ。病院で診てもらうんだな」
大の字に寝ている黒人野朗に言った。
鼻と前歯がへし折れているが、命に別状はないだろう。
「次はどっちがやる? 二人いっぺんでもいいぞ」
「……最初からそのつもりだ。武器無しでやってやるよ」
「面白い。それでこそ男の勝負だ!」
白人二人が持っていた鉄棒を地面に突き刺した。島では娯楽が少ないようだ。
身体を鍛えて、島民同士で普段から殴り合いでもやっているのだろう。
俺が望む命懸けの戦いが楽しめそうだ。
「ぐぬぬぬぬ!」
白人二人が同時に俺に向かって来ると、そのまま強烈なタックル食らわせてきた。
両足で踏ん張って耐えると、二人は俺の腕を一本ずつ掴んだ。
両腕を使って、俺の片腕を折りたいようだ。
面白い。折れるものなら折ってもらおうか。
「うおおお! だあああ!」
「があっ、ぎゃあ、じゃああっ!」
右腕の拘束が緩すぎだ。力で引き抜くと、左腕を拘束している男を押しながら、顔面に右拳を連打する。
男がダウンして左腕の拘束が緩くなった。左腕を引き抜くと、右腕を引き抜かれた男が向かってきた。
左拳を握り締め、顔面を殴り飛ばして地面に撃沈させた。
「この程度か。ハズレを引いたな」
三人とも雑魚だった。ダラシなく地面に寝ている。
この辺の奴らはおそらく見張りだ。つまりは下っ端の仕事だ。
三人が着ている服を破いて、手足を縛った。
倒した相手をわざわざ殺す必要はない。
「よし、これでいいな。車に戻るとするか」
他に仲間がいれば助けるだろう。薬師寺の車に早く戻るとしよう。
このままだと食べ物なしで、野宿になる。野宿はいいが、食べ物なしは駄目だ。
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