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第1話 ダンジョン探索

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「ハァハァ! ハァハァ! あと少し……」

 落とし穴生活189日目。
 ううん、違うね。落とし穴生活189日だ。

 壁を登り始めて、1日ちょっと……。
 ゴツゴツした天井の岩肌に、滑らかな四角い場所を見つけた。
 きっとあれが落とし穴の出入り口だと思う。

「やったぁ! 着いたぁー」

 こんなことなら、メタル斬りを覚えた時に試しておけばよかったよ。
 でも、鉄の剣だと、こんなに深く、岩の壁には刺さらなかったと思う。
 やっぱりレベル上げて、武器が良くなったから出来るようになったと思う。
 うんうん、きっと必要な189日だったんだぞ。

「《メタル斬り!》」

 滑らか四角を右手の剣でズバァズバァ斬ると、落とし穴の出入り口が壊れて落ちていった。
 開いた穴には半年前に見たかもしれん、C級ダンジョンの遺跡の天井が見えた。
 再び剣を突き刺して壁を登ると、開いた出口から無事に生還した。

 ……
 …

「あぁー、お肉食べたいよぉー」

 疲れたから、レンガの床にゴロンと寝転んだ。
 壁を登っている間は水しか飲んでいない。もうお腹ペコペコだ。
 何でもいいから食べたいけど、やっぱりアップルグミのウサギ焼きが食べたいなぁ。

「うーん、もうちょっと我慢しよ」

 でも、ラビットスライムは呼び出さないぞ。キングスライム家族にボコボコにされたばかりだ。
 食欲に負けて呼び出すなんて危険すぎる。ウサギじゃなくて、普通に王様が現れそうだ。

「よぉーし! このダンジョンにいるモンスターを食べちゃうぞ!」

 やっと冒険者らしく、ダンジョン探索スタートだ!
 安全第一、食欲第二で頑張るぞ! ダイヤ鎧を着て、右手に光の魔剣を装備した。
 天使と悪魔装備はお姫様に奪われちゃったけど、防御力はこの通りだ。
 強いモンスターに遭遇しても、きっと平気なんだぞ。

「えーっと、どっちに進めばいいんだろ? こっちかな?」

 落とし穴のある行き止まりの部屋から出ると、ちょっと広めの通路を進んでいく。
 前は迷子になっちゃったけど、今度は大丈夫だ。一度通った道はしっかり覚えているぞ。
 分かれ道はとにかく勘頼りだ。良さそうな道を選んで進んでいくぞ。

 ガチャン、ガチャン!

「ん?」

 通路の先の方から、金属がぶつかり合うような音が聞こえてきた。
 僕の方に近づいてきている。剣を正面に構えると、音の方に向かって歩いていく。

「あっ……」とガチャガチャ音を出している人を見つけた。
 銀色の全身鎧を着て、大きな斧と盾を持った人が通路を歩いている。
 僕と同じ冒険者みたいだ。こういう時は元気に挨拶だね。

「こんにちは! 僕、チロル……」
「ギィガアア!」
「はっ!」

 間違えた! 冒険者じゃなくて、鎧着たモンスターだ! 
 斧を突き出した状態で、僕に奇声を上げて突撃して来た。
「にゃあ!」と横に跳んで躱すと、硬そうな胴体に光の剣を振り抜いた。

「《メタル斬り!》」
「ヌガァッッ!」

 スパァンと一刀両断だ。外はカタカタ、中はスカスカだぞ。
 ナイトスライムと違って、中に青いプルプルは入ってなかった。
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