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第68話 国宝:スラルーペ

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 ……老眼鏡かな?
 眼鏡をかけた王様が僕をジッと見ている。

「国宝:スラルーペ、その者が倒したスライムの数が分かる神秘の眼鏡だ。お前の罪を見させてもらう」

 えっ? 僕、何も悪いことしてないよ?

「10、100、1000……10000⁉︎ 信じられん⁉︎ まだ上がるのか⁉︎」
「この悪魔の使いめ! 我らスライム族を絶滅させるつもりか!」
「79541⁉︎ 万死に値する!」

 パァリン! 王様が眼鏡を外して握り潰しちゃった。国宝なのにいいのかな?
 それに何だか皆んな怒っている気がする。
 白い礼服を着た、金髪の男スライムが僕を悪魔だと言った。
 これ悪魔装備で、僕は悪魔じゃないです。

「あのぉ……これ装備ですよ」
「そんなもん見りゃ分かるわ! この殺スラ鬼が! お前の対しての苦情が山ほど来ておる! 覚悟は出来ているだろうな!」
「えっ? 覚悟?」

 悪魔の角を外してみたけど、これじゃないみたい。王様が激怒して、立派な剣を向けてきた。
 それに続いて、白い礼服の男スライムと、黒髪の青い服と紫のマントの男スライムも剣を向けてきた。
 もしかして僕……5人がかりでボロぞうきんにされちゃうの?

「勇者様! そんな極悪非道な人間許したら駄目です! 《スラソング(能力強化)!》 らららら~♪」
「ありがとう、僕のプリンセス。お陰で百スラ力だ!」
「まあ、勇者様ったら!」

 やっぱりそうみたい。
 黒髪のスライムがブレイバースライムで、白い礼服がスライムプリンスみたいだ。
 プリンセスの歌声は綺麗だけど、スライム百匹の力が加わっても、全然強くなってないと思うよ。

「行くぞ、殺スラ鬼!」
「うわぁ!」

 ああ、話し合いは駄目みたい! 勇者が剣を振り上げると、高く跳んで向かって来た。
 失礼だと思うけど、地面の光の魔剣を急いで拾うと、交差させて勇者の剣を受け止めた。

 ガキィン!

「ぬぐっ! この聖剣スライムカリバーを受け止めるとは、ただの殺スラ鬼ではないな!」

 あぐぐぐっ! スライム100匹なのに凄い力だ! 
 白銀の剣を押し返すだけで精一杯で、一歩も動けない。

「勇者よ、油断するでないぞ。その者は数々の卑怯な手でスライムを倒してきた卑怯者じゃ。次は我が王剣スライムカイザーを受けてみよ! 喰らえ、《卑剣フラッシュ!》」
「にゃぎああああ!」

 卑怯なのどっち! 王様の剣が凄い光を放って、僕の両目を見えなくした。
「ぐふう!」とその隙に、多分、勇者様が僕のお腹を蹴り飛ばした。
 勇者なら正々堂々と戦ってよね!

「うぅぅぅ……見えないよぉー」
「今うちじゃ! ボコボコにするぞ!」

 何とか立ち上がったけど、目が痛くて何も見えない。
 複数の足音が近づいてくる。これだと剣で狙えない。
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