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第65話 闇の弱点

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「ハァハァ! ハァハァ!」

 あれ? でも、待てよ?
 雷の槍が吸い込まれたのに、何で僕は吸い込まれなかったんだろう?

 走って逃げ回っていたけど、何か重要なことに気づいたかもしれない。
 最初に落とし穴に落ちた時、身体の下半分しか吸い込まれなかった。
 何か理由がある……あっ! 両手に光の魔剣を持っていたからだ!
 やっぱり闇属性に光属性の剣は有効だったんだ!

「よぉーし!」

 落とし穴に吸い込まれないと分かれば、落とし穴はもう怖くない。
 黒い槍にさえ気をつければ、何とかなるかもしれない。
 アイテムポーチから光の剣を右手に戻すと、クルッと回れ右した。
 ここからが本当の反撃開始だ。

「……瞳に光が戻ったか。再び闇に戻るか……《イン・ザ・ダーク(闇の中)!》」

 僕の周囲を囲むように、前後左右、上空に黒い球が移動した。
 完全包囲の状態で、ダークスライムの容赦ない攻撃が一斉に飛び出した!

「《リフレクトシールド(光の盾)!》」

 計八本の黒い槍に対して、背中に一枚の光の盾を出現させた。
 光の盾は一枚しか出せない。前と左右は目で見て避けてやる。

「よおッ! ほぉにや!」

 目で見て避ける! 目で見て避ける! 集中集中集中だ!
 おかしな動きで避けまくりだ。黒槍が飛んできた瞬間に動かないと間に合わない。
 ダイヤの兜の隙間から、しっかりと黒球を確認する。

 黒槍を出すには黒穴にならないといけないみたいだ。
 黒球は動くけど、黒穴は動かない。攻撃する時は必ず黒穴になる。
 落ち着いて見ると、攻撃パターンが分かってきた。
 黒球の動きは不規則で全然分からないけど、分からないのは考えない!

「にゃあ⁉︎」

 進路を塞ぐように、目の前に黒い穴が六個、三角形に積み上がった。
 残り二個の黒い球が左右に移動した。
 これだと前にも後ろにも、上にも左右にも逃げられない。

「し、し、死……」

 考えたら駄目だ! どこにも逃げられないなら進めばいい。
 光の剣二本を高さを変えて身体の右側に構えると、同時に右から左に思いっきり振り抜いた。

「《スライム斬り!》——はぅっ!」
 
 でも、二本の剣が黒穴に触れた瞬間に止まってしまった。
 磁石みたいにお互いが反発して、触れ合おうとしない。

「《シャドウランス(影の槍)!》」
「にゃああ!」

 ちょっとだけ考えちゃった!
 急いで背中を守ってくれていた光の盾を前に移動した。
 前から六本の黒槍が飛んできて……光の盾の前で停止した。

「えっ? ぐひゃあ!」

 反発したのかな? とかまた考えちゃった。
 その隙に左右から黒槍が、左側の脇腹と右側の頭を突き刺した。
 身体がグニャとおかしな、くの字に曲げられた。
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