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第56話 合成は恐ろしい

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「……凄いの出来ちゃった」

【黄金の剣:黄金に輝く金の剣。ゴールドスライムの防御力を無視して攻撃できる】

 鉄の剣と金鉱石を食べさせたボックススライムを倒すと、黄金の剣を落とした。
 冒険者カードで調べたとおりなら、ゴールドスライムを簡単に倒せるみたいだ。

「ちょっとやってみようかな?」

 黄金の剣を右手に持って、左手を地面に置いて「召喚!」と唱えた。
 魔法陣から金色に輝くゴールドスライムが現れた。

「ま、またお前かぁー!」

 前にレベル上げで倒しまくったから、ゴールドスライムが怯えている。
 今日倒すのは1回だけだから、すぐに終わるから大丈夫。
「やあッ!」と突撃して、剣を振り下ろした。

 スパァン!

「うぎゃああ!」

 凄い切れ味だ! ゴールドスライムの硬い身体がスライムみたいに簡単に切れた。
 メタル斬りも使ってないのにこの威力なら、使ったらどうなるんだろう?
「《メタル斬り!》」とすぐに使っちゃった。
 
 ズゥシャン!

「あああうちッッ!」

 黄金の剣が銀色の輝きを放ちながら、ゴールドスライムの身体を真横に切り裂いた。
 銀の閃光に切られて、ゴールドスライムが消えていく。

「す、凄すぎるよ、これ!」

 たったの二撃で倒しちゃった! 驚きの切れ味だ。
 もう、これ使ったら他の剣は使えなくなるよぉー。

「よぉーし! 次はプラチナの剣作っちゃうぞ!」
 
 こんなに簡単に倒せるようになるなら、プラチナの剣とダイヤモンドの剣も必要だ。

 あっ、でも、待てよ?

 ボックススライムを何も食べさせずに倒せば、簡単に倒せる材料を落とすかも?
 そしたら、2時間もかからずに倒せるようになるぞ!
 超凄い薬草も短時間で作れるかも!

「よぉーし! 予定変更だぁー!」

 何だか合成って楽しい。「召喚!」と唱えて、ボックススライムを呼び出した。

 ……
 …

「とほほ、何も落とさなかったよぉ」

 2時間かけて倒したのに、地面に何も落ちてなかった。
 欲張ったから、倒し損させられた。やっぱり真面目にやらないと駄目だね。

 …………
 ………
 ……
 …

「はっ! 僕、何やってんだろう!」

 落とし穴生活183日目。
 気がついたら、【ダイヤの剣】【ダイヤの盾】【ダイヤの鎧】の完全装備だ。
 キラキラ輝いて馬鹿みたいだ。合成って、なんて恐ろしいんだ。
 本来の目的を完全に忘れている。
 
「違う違う! 強いスライムと戦う準備してたのに、何でこうなるかなぁー?」

 フルーツミックスグミなんて、戦いには絶対に必要ないぞ。
 2時間かけずに、口の中にフルーツグミ全種類放り込めば、勝手にミックスされちゃうぞ。

「よぉーし! さっさと倒してやる!」

 もう準備万端だ。地面に左手を置いて、「召喚!」と唱えた。
 魔法陣から黒髪の黒い服を着た、赤い角と翼、尻尾が生えた、白い肌の人型のスライムが現れた。
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