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第42話 忍法:身代わりの術

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「これは使えないね」

 冒険者カードで黄緑色の石を調べてみた。
【ミスリル鉱石】と出たけど、使い道は置き物にしかならない。
 アイテムポーチの中に保管だ。

「うーん! 凄く寝たから調子が良いぞ! 行けそうな気がする!」

 ぐーんと背伸びすると、ポキポキと関節の骨を鳴らしていく。
 残りは3匹だ。今日中に全部倒してやる。

 剣と盾、鎧で完全武装すると、「召喚!」と唱えた。
 地面の魔法陣から、頭から足先までを黒い布服で隠したアサシンスライムが現れた。

「ニンニン! 拙者を呼び出したのはお主か?」
「《疾風突き!》」

 ドォス! 僕からすぐに離れないと、こうなります。
 魔剣の切っ先がアサシンスライムの胸の中心を貫いた。

 ドロン!

「えっ⁉︎ 木⁉︎」

 でも、アサシンスライムから白い煙が出て、丸太に変わってしまった。

「《忍法:身代わりの術!》不意打ち程度で拙者は倒せぬでござるよ!」

「はっ!」と声のした背後を素早く振り返ると、アサシンスライムが変な片足立ちポーズで立っていた。
 左手の人差し指を右手で握って、右手の人差し指を伸ばしている。

「《ファイアボール(炎の球)!》」

 片足立ちのアサシンスライムに炎の球を飛ばした。

「《忍法:火吹き!》——ブゥハアアア!」

 その炎の球をアサシンスライムが大きく息を吸って、炎の息を噴き出し消し去った。

「……うん、これは無理だね」

 剣も魔法も効かないなら倒せない。
 でも、そんなはずはない。きっと弱点はあるはずだ。

「よぉーし! どんどん行くぞ! 《疾風突き!》」

 とにかく攻撃あるのみだ。アサシンスライムに突撃した。
 ドォスと突き刺さったけど、ドロンと丸太に変わってしまう。
 さっきと一緒だ。

「ニンニン! 無駄でござる。我が忍刀のサビにしてくれる! 行け、十字手裏剣!」

 背後に現れたアサシンスライムが右手に細い剣を持って、左手で尖った黒い十字架を投げてきた。
 構えた盾にガンガン当たるだけで痛くはないけど、動きが読みにくい。
 刀使わずに十字架投げてくるだけだ。地面が十字架だらけになっている。

「あっ!」

 もしかして、この十字架使えるんじゃないのかな?
 先が尖った十字架を一枚拾うと、アサシンスライムに投げつけた。

「《スライム斬り!》」

 ヒューン、ドォス!

「ぐふっ!」

 刺さったぁー! 狙いは外れたけど、右肩に十字架が突き刺さった!

「おのれ、卑怯者め! 飛び道具を使うとは恥を知れ!」
「えぇー!」

 十字架を右肩から引き抜くと、アサシンスライムが地面に叩きつけた。
 このスライム、言ってることと、やってることがめちゃくちゃだ。
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