『スライム』しか召喚できない召喚士LV1★☆☆☆☆☆☆が初ダンジョンで脱出不能のデストラップ『深過ぎる穴』に落ちました

第12話 カエル油と唐揚げ作戦

　フロッグスライムがピョンピョン跳ねて、「ゲコォ！」と長い舌を伸ばして攻撃してきた。
　このぐらいの攻撃なら、余裕だぞ。
　サッと避けて、「えいッ！」とフロッグスライムの口に剣を突き刺した。

「ゲコォー！」とやっぱり弱かった。
　剣に貫かれたフロッグスライムが消えて、地面に3つのアイテムが現れた。

【カエル肉】【カエル緑皮】【カエル油】

　冒険者カードで調べたけど、お肉以外は使えそうにない。
　でも、油で唐揚げが出来そうだ。もしかすると焼き肉よりも美味しいかも。
　これは集めておいてもいいかもね！

「召喚！　えいッ！」とフロッグスライムを呼び出して、倒し続けた。

「よぉーし！　これだけあれば、唐揚げ食べ放題だ！」

　透明な膜に包まれたカエル油をたくさん手に入れた。
　あとは鍋が必要だけど、あのスライムなら鍋が作れるかもしれない。
「召喚！」と唱えると、地面の魔法陣から銅色の金属の塊が現れた。

　すぐに「ブロッ！」と重くて硬そうなブロンズスライムが、体当たりしてきた。
　でも、こんな遅い攻撃なんか当たらない。
「よっ！」と避けると「えいッ！」と素早く剣で攻撃した。

「あうっ！」

　でも、ガキィン！　と剣が弾かれた。
　身体が鉄のように硬い。こんな硬いの切るなんて無理だよ。

「ブロッ！　ブロッ！」
「うわわわわッッ！」

　倒せないスライムの倒し方なんて分からないよぉー！
　ブロンズスライムがどこまで追いかけてくる。
　あんな体当たり喰らったら、骨ポキィだよ、骨ポキィ！
　剣も折れちゃうよぉ！

　攻撃を避けると硬い身体に触れて、「解除！」と唱えた。
　ブロンズスライムの身体に魔法陣が現れて、魔法陣の中に消えてくれた。

「ふぅー、助かったぁー！」

　剣と素手で倒せないなんて反則だよ。
　こうなったら魔法を覚えるしかない。
　お父さんも「見て覚えるんだ」と屋根修理の時に言っていた。
　マグマスライムの炎の球を何度も見れば、きっと覚えられるはずだ。

　駄目でもレベルアップできるし、レベルアップすれば、鉄も切れるかも。
　よぉーし！　そうと決まったら、召喚だ！

「マグッー！　マグッー！」

　いつも通りにマグマスライムが炎の球を飛ばしてきた。
　5発ぐらい避けたら、倒してやる。

「よっ！　よっ！」と真っ直ぐ飛んで来る炎の球を避けて、5発目を避けた。
　素早く接近して剣を振り上げると、「えいッ！」と振り下ろした。

「マグッ⁉︎」と炎の塊をズバッと一刀両断だ。
　やっぱりレベルアップで強くなっている。
　この調子なら、炎魔法を覚えられなくても大丈夫だよねぇ！