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最終章 愛と憎悪の結末
『勝者と敗者』
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ドォガーン!ボゥボゥ!パァキィーン!バチバチ!
地・火・氷・雷と様々な魔法をエルフに向けて、撃ち続けます。叫び声を聞きながら、自身のレベルが上がっていくのを感じます。
90…91…92…と同族殺しは経験値が高いのか、それとも殺しているエルフのレベルが高いのが理由かは分かりませんが、彼女のレベルはついに、101…102…103と生物の限界を突破しました。
(やはり私は選ばれた存在!私こそがエルフを、いや世界を管理する存在!)
「この作り物の偽エルフづぅ!」
里の長老達を皆殺しにすると、残った若いエルフの中から優秀な者を選び出します。剣や魔法、知識や技術を評価して残すべき者を選びました。選ばれなかったエルフは追放処分されましたが、そっちの方が幸せだったでしょう。
選ばれたエルフだけが里に残って、彼女の弟子となって、その力を磨き上げていきました。
これはこれで幸せな日々でしたが、数十年を過ぎると、レベル50~60で成長が止まるエルフが続出し始めました。
あまりの弱さに呆れ果てた彼女ですが、やっと二人の若い女性エルフがレベル70を超えました。
(ここは一つ、試しに同族殺しでもさせようかしら?上手くいけば一気にレベルが上がるし、駄目でも死んですぐなら、魂を取り出せるから材料になるわね!)
若い二人の女性が舞台に上がります。
「剣は得意じゃないのに……」
「私だって最初から得意じゃないわよ!勝った方がレイア様の一番弟子になれるんだから、頑張んないと!」
(長老達を殺した女の一番弟子とか、正気じゃないわね。勝ったら一生あいつの奴隷として生きるだけじゃない!)
「行くわよ!やぁあ~」
ガァン!カカァン!
(適当に相手して負けよう。でもバレたら面倒だし……)
「ちょっと、ア~ちゃん!考え事してないで集中しなさいよ!」
ブゥン、ブゥンと剣を振り回すライラの攻撃を大袈裟に回避します。一見隙だらけの大振りな攻撃ですが、もしかすると、なかなか反撃しないアリエルの攻撃を誘っていたのかもしれません。
・
・
・
「ねぇ、ライラ。私一つだけあなたに謝りたい事があるの聞いてくれる?あなたの旦那と寝たんだけど、あなたを亡くして寂しかったのか獣のように」
ブチッ!という音が聞こえたと思ったら、やっと反撃してきました。
エルフらしいといえば、そうかもしれませんが、生涯の伴侶は一人だけだとライラは決めていました。
子育ての相手には最高の男を選んだつもりです。その男が留守中に自分を殺した500歳を超える女と楽しんでいたのです!許せません。
ガァン!ガァン!ガァン!
「このぉ~~、私の事を散々ロリコンの変態呼ばわりしたくせに、よくも、よくもぉ~!」
「私は命令されて仕方なく寝たけど、あんたは進んでやってたでしょう。変態と同じにしないでよ!」
怒りで曖昧だった記憶が蘇っているようです。あまり思い出したくない記憶のようですが、徐々に剣撃が重く鋭いものに変わっていきます。
(もっと怒らせれば、もっと昔のライラの強さも近づけさせれば……)
右、左、突き、回し蹴り!ライラの動きを予測して上手く躱します。何度も見た動きです。あの時と同じようにいつかやって来る隙をただ待つだけです。
(二回突きからの、左胴に構えての居合斬り!普通は後ろに回避だけど、ライラは受け止められると、力で押し切ろうとして、僅かに隙を見せる!ここよ!)
ガァン!シャー、ドォスン!
アリエルは剣でライラの攻撃を受け止めると、そのまま剣を滑らせて、顔面に右肘を喰らわせました。
「ぶっふぅ!んん~?ちょっ!」
「チェックメイト!はっはっ。やっぱり弱いわね!」
アリエルはライラの首元にピッタリと剣を当てると勝利宣言しました。流石にまだまだ勘が働いていなかったようです。
「くぅっっ~、悔しい~!」
「やっぱり私の方が強かったみたいね!残念だけど実力だから仕方ない事なの、ごめんなさいね!」
悔しがるライラに、何とか笑いを堪えて余裕を持って話そうとしましたが、変わり果てた今のライラの姿を見て、急に熱が冷めていきました。
元々は金色の髪のライラでしたが、一度目の儀式で人間のような茶色の髪を持つ人形に魂を入れ替えられてしまいました。
二度目の儀式で今のデレラに入れ替えられました。
(ライラだけど、もうライラじゃない。弱くなったライラに勝っても意味はない。あの日が本物のライラとは戦える最後の機会だったのに……)
ペタペタペタペタ。
「ふぅわぁ~、なんて退屈な芝居なんだろうね。エルフの物語はいちいち綺麗に作ろうとし過ぎなんだよ。そうだろ、元はドワーフだったゴブリンよ?」
どうやら、角ゴブリンが警告していた時間を過ぎていたようです。アリエル達を操る黒幕がやって来ました。
「そうだな美しさを美徳とするエルフ達の呪いで、醜いゴブリンに変えられた我らだが、魔王に協力すればその呪いは解かれると喜んで協力したよ!様々な生物と融合して力を手に入れたが、まだまだ大陸中に苦しんでいる同胞が散らばっているんだ!エルフは皆殺しにしたいさ!」
神ゴブリンは憎々しげに新たに現れたエルフを睨みつけます。この作り物のエルフの父親と母親の所為で、エルフとドワーフの戦争が始まりました。理由は種の存続の確保でした。
エルフとドワーフから生まれた子供は全ての点において、優れたハイブリッド(雑種)として成長します。
純血を古くから守る両種は、優れた雑種の誕生に危機感しかありませんでした。いつしか、禁忌として両種の交わりを禁止しました。
それをドワーフの雄が破ってしまったと、エルフの里は攻撃を開始しました。ドワーフはエルフの雌が誘惑したと、反撃します。やがて、野蛮なドワーフは倒されて戦争は終結したとエルフは発表しましたが、戦争終結後に暗い穴蔵から新種の醜い魔物が現れ始めたとちょっとした騒ぎになりました。
次回もあります。作者の一人『まだまだ、やれるはず!諦めるには早過ぎる!全国の作者が頑張ってラストスパートを仕掛けているのだから!』
地・火・氷・雷と様々な魔法をエルフに向けて、撃ち続けます。叫び声を聞きながら、自身のレベルが上がっていくのを感じます。
90…91…92…と同族殺しは経験値が高いのか、それとも殺しているエルフのレベルが高いのが理由かは分かりませんが、彼女のレベルはついに、101…102…103と生物の限界を突破しました。
(やはり私は選ばれた存在!私こそがエルフを、いや世界を管理する存在!)
「この作り物の偽エルフづぅ!」
里の長老達を皆殺しにすると、残った若いエルフの中から優秀な者を選び出します。剣や魔法、知識や技術を評価して残すべき者を選びました。選ばれなかったエルフは追放処分されましたが、そっちの方が幸せだったでしょう。
選ばれたエルフだけが里に残って、彼女の弟子となって、その力を磨き上げていきました。
これはこれで幸せな日々でしたが、数十年を過ぎると、レベル50~60で成長が止まるエルフが続出し始めました。
あまりの弱さに呆れ果てた彼女ですが、やっと二人の若い女性エルフがレベル70を超えました。
(ここは一つ、試しに同族殺しでもさせようかしら?上手くいけば一気にレベルが上がるし、駄目でも死んですぐなら、魂を取り出せるから材料になるわね!)
若い二人の女性が舞台に上がります。
「剣は得意じゃないのに……」
「私だって最初から得意じゃないわよ!勝った方がレイア様の一番弟子になれるんだから、頑張んないと!」
(長老達を殺した女の一番弟子とか、正気じゃないわね。勝ったら一生あいつの奴隷として生きるだけじゃない!)
「行くわよ!やぁあ~」
ガァン!カカァン!
(適当に相手して負けよう。でもバレたら面倒だし……)
「ちょっと、ア~ちゃん!考え事してないで集中しなさいよ!」
ブゥン、ブゥンと剣を振り回すライラの攻撃を大袈裟に回避します。一見隙だらけの大振りな攻撃ですが、もしかすると、なかなか反撃しないアリエルの攻撃を誘っていたのかもしれません。
・
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「ねぇ、ライラ。私一つだけあなたに謝りたい事があるの聞いてくれる?あなたの旦那と寝たんだけど、あなたを亡くして寂しかったのか獣のように」
ブチッ!という音が聞こえたと思ったら、やっと反撃してきました。
エルフらしいといえば、そうかもしれませんが、生涯の伴侶は一人だけだとライラは決めていました。
子育ての相手には最高の男を選んだつもりです。その男が留守中に自分を殺した500歳を超える女と楽しんでいたのです!許せません。
ガァン!ガァン!ガァン!
「このぉ~~、私の事を散々ロリコンの変態呼ばわりしたくせに、よくも、よくもぉ~!」
「私は命令されて仕方なく寝たけど、あんたは進んでやってたでしょう。変態と同じにしないでよ!」
怒りで曖昧だった記憶が蘇っているようです。あまり思い出したくない記憶のようですが、徐々に剣撃が重く鋭いものに変わっていきます。
(もっと怒らせれば、もっと昔のライラの強さも近づけさせれば……)
右、左、突き、回し蹴り!ライラの動きを予測して上手く躱します。何度も見た動きです。あの時と同じようにいつかやって来る隙をただ待つだけです。
(二回突きからの、左胴に構えての居合斬り!普通は後ろに回避だけど、ライラは受け止められると、力で押し切ろうとして、僅かに隙を見せる!ここよ!)
ガァン!シャー、ドォスン!
アリエルは剣でライラの攻撃を受け止めると、そのまま剣を滑らせて、顔面に右肘を喰らわせました。
「ぶっふぅ!んん~?ちょっ!」
「チェックメイト!はっはっ。やっぱり弱いわね!」
アリエルはライラの首元にピッタリと剣を当てると勝利宣言しました。流石にまだまだ勘が働いていなかったようです。
「くぅっっ~、悔しい~!」
「やっぱり私の方が強かったみたいね!残念だけど実力だから仕方ない事なの、ごめんなさいね!」
悔しがるライラに、何とか笑いを堪えて余裕を持って話そうとしましたが、変わり果てた今のライラの姿を見て、急に熱が冷めていきました。
元々は金色の髪のライラでしたが、一度目の儀式で人間のような茶色の髪を持つ人形に魂を入れ替えられてしまいました。
二度目の儀式で今のデレラに入れ替えられました。
(ライラだけど、もうライラじゃない。弱くなったライラに勝っても意味はない。あの日が本物のライラとは戦える最後の機会だったのに……)
ペタペタペタペタ。
「ふぅわぁ~、なんて退屈な芝居なんだろうね。エルフの物語はいちいち綺麗に作ろうとし過ぎなんだよ。そうだろ、元はドワーフだったゴブリンよ?」
どうやら、角ゴブリンが警告していた時間を過ぎていたようです。アリエル達を操る黒幕がやって来ました。
「そうだな美しさを美徳とするエルフ達の呪いで、醜いゴブリンに変えられた我らだが、魔王に協力すればその呪いは解かれると喜んで協力したよ!様々な生物と融合して力を手に入れたが、まだまだ大陸中に苦しんでいる同胞が散らばっているんだ!エルフは皆殺しにしたいさ!」
神ゴブリンは憎々しげに新たに現れたエルフを睨みつけます。この作り物のエルフの父親と母親の所為で、エルフとドワーフの戦争が始まりました。理由は種の存続の確保でした。
エルフとドワーフから生まれた子供は全ての点において、優れたハイブリッド(雑種)として成長します。
純血を古くから守る両種は、優れた雑種の誕生に危機感しかありませんでした。いつしか、禁忌として両種の交わりを禁止しました。
それをドワーフの雄が破ってしまったと、エルフの里は攻撃を開始しました。ドワーフはエルフの雌が誘惑したと、反撃します。やがて、野蛮なドワーフは倒されて戦争は終結したとエルフは発表しましたが、戦争終結後に暗い穴蔵から新種の醜い魔物が現れ始めたとちょっとした騒ぎになりました。
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