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6日目

ジョブスキル強化

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 教会に到着したカノンはあることを思いついた。
 パトラッシュもレベル30だから、スキルを習得できるかもしれない。
 二人分の2000ギルドの寄付を渡して、祈りの間の前に立っている神父に頼んだ。

「あの、パトラッシュも神様に祈らせてもいいですか?」
「申し訳ありません。犬を祈りの間に入れることは禁じられています」

 神聖な部屋に犬を入れることは出来ない。
 神父に1000ギルド返されて断られた。普通の人はこれで諦めてくれる。

「これでお願いします」

 だけど、この少女は簡単には諦めない。寄付の値段を上げることにした。
 大金貨10枚を神父に渡して、もう一度お願いした。

「……今から五分間だけ、瞑想する為に目を閉じます。その間は何が起こっても、私には分かりません」
「はい?」

 神父が大金貨が乗った右手を閉じると、両目も閉じた。
 瞑想タイムがスタートしたみたいだ。今のうちに祈りの間に入ればいい。

「あの、入ってもいいんですか?」
「……」
「入りますよ? 入ってもいいんですか?」
「……」

 でも、この少女は察しが悪い。瞑想中の神父に何度も聞いている。
 仕方なく神父が頭を上下に動かして、黙って教えてあげた。
 それでやっと気づいてくれた。お礼を言って、祈りの間に入った。

「まずはパトラッシュですよ。神様にジョブを授けてください、とお願いしてください」
「ワン」

 祈りの間に入ると、パトラッシュは言われるままに神様に祈った。
 神様は人間にも犬にも平等だ。
 床に魔法陣が浮かび上がると、ジョブとスキルが青文字で書かれていく。

【ジョブ=見習い芸犬
 スキル1=スキル習得者からの訓練で、その者のスキルを覚えることが可能】

「うーん、1つだけですか。残念でしたね」
「クゥーン」

 カノンはパトラッシュの背中を叩いて同情しているけど、飼い主と同じ超レアスキルだ。
 頑張れば全てのスキルを習得することが出来る。

「神様、ジョブとスキルを強化してください」

 気を取り直して、今度はカノンが神様にお祈りした。
 消えた魔法陣が再び浮かび上がり、床にジョブとスキルが書かれていく。

【ジョブ=中堅道具師
 スキル1=道具の情報を見ることが可能
 スキル2=MPを消費して、壊れた道具の修復が可能
 スキル3=所有権のある持ち物に経験値を獲得させて、レベルアップさせることが可能
 スキル4=進化レベルに達した道具を、MPを消費して進化させることが可能
 スキル5=MPを消費して、所有権のある持ち物を解体可能
 スキル6=MPを消費して、道具の製作が可能(使用素材で大きさ、形、色、質を変更可能)】

 スキルが2つ増えて、見習いから一気に中堅まで昇格している。
 魔法陣の青文字が、カノンの中に吸収されると、無事にジョブとスキルが強化された。

「わぁ~♪ これで解体が出来ます。お手伝いが出来ますね!」

 カノンは喜んでいるが、スキル5をよく読んでいない。
 所有権のある物しか解体できない。
 他人の魔物の解体を手伝うなら、一度貰うか、買取るしかない。

 それをルセフがやらせるはずがない。兄妹二人の仕事が今日から無くなってしまう。
 カノンに解体を頼んで、楽して仕事を終わらせて、三人で街やダンジョンを遊び回る。
 そんなダメ人間になる道を、兄妹に進ませるわけがない。
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