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6日目
ルセフ三人兄妹
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「何十匹、いや、何百匹倒して来た?」
「600匹ぐらい——」
「よし、全部拾ってすぐに帰れ」
ルセフに聞かれて、カノンは素直に答えようとしたが、600匹で十分だった。
ルセフが地面の氷フライムを回収するように指差して、帰るように家の出口を素早く指差した。
まだ昼ご飯も食べてないのに、もう追い出されそうになっている。
「そんなこと言うなよ、凄いじゃないか。カノンちゃん、拾うの手伝うよ」
「ありがとうございます」
ウェインの許容範囲は3匹だ。600匹と聞いて、解体を教えるのをやめた。
茶色のアイテムポーチに、氷フライムを押し込んでいる。
だが、倒した数が600匹で、死体の数は1400匹だ。
人間が手伝える限界を軽々超えている。
「良かったら、パンがたくさんあるから、皆さんで食べてください」
「わぁ~♪ ありがとう、お姉ちゃん! 甘いの大好き!」
紙箱に入った大量のパンを見せると、シリカが喜んだ。
カノンは女の子同士で、仲良くなりたいみたいだが、昼ご飯前にそれはマズイ。
食事を用意している母親に怒られる。
「シリカ、知らない人から食べ物を貰うな。毒が入っていたらどうするんだ」
「はぁーい」
「大丈夫です。もぐもぐ……食べられますよ」
お土産に喜んだシリカをルセフが叱った。
叱られてシリカが少し不機嫌になったが、パンをカノンが毒見している。
パンに毒が入っていないのは、最初から全員知っている。
「ほら、もう昼飯だ。知らない人と話さずにお前達は家に入れ。そしてお前は帰れ」
「えぇー⁉︎ ニコラさんにお昼ご飯に招待されたから嫌です」
「俺も嫌なんだよ。昼飯なら、そのパンでも食べてろ」
ルセフは常識外スキルの非常識な人間を、家族に近づけさせたくない。
徹底的に追い返すと決めている。
大金貨をホイホイあげる人間と付き合うと、悪影響を受けるに決まっている。
ロクな子供にも、ロクな大人にもならない。
「別に昼飯ぐらいいいだろ。せっかく遊びに来たんだから」
「俺達は仕事中だ。暇人と遊んでいる暇はない。暇ならお前が解体教えながら、パンでも食べてやれよ」
「パンはアイテムポーチに貰うよ。昼飯はニコラさんの料理を食べるよ」
ウェインは一応はカノンを庇うけど、付き合うつもりはない。
優秀なスキル持ちの金持ちと、適度な距離感で軽く付き合いたいだけだ。
親戚の金持ちのおじさんに街で偶然会って、飯を奢って貰って、お小遣いを貰える感じだ。
それを二ヶ月に一回ぐらいでお願いしたい。
「あぁ、待ってください! レベル30まで上げたから、解体が終わったらダンジョンに行きましょうよ。今度は足手まといにはなりません。魔物もパパッと倒します!」
二人が家に入ろうとしたから、カノンは慌てて呼び止めた。
強くなったとアピールして、冒険者仲間に入れてもらう。
仲間と楽しく、素敵な冒険者生活を送りたい。
「解体で忙しいんだよ。レベル30になったなら教会に行ったのか?」
「いいえ、行ってません」
「だったら教会に行け。ジョブとスキルが強化される。早く行かないと教会が閉まるぞ」
「そうなんですね」
昼に閉まる教会はない。
「そうなんだよ。使えるスキルになったら、ダンジョンに連れて行ってやる。ほら、早く行って来い」
「分かりました。すぐに貰って来ます! お昼ご飯残しておいてくださいね!」
「ああ、待ってるぞぉー」
嘘ではないが、追い返すには都合がいい。
カノンは喜んでパトラッシュに乗ると、手を振るルセフに見送られた。
当然、カノンが戻る頃には昼ご飯は終わって、解体作業が始まっている。
仕事中だからダンジョンに行く暇はないと、断ることが出来る。
「600匹ぐらい——」
「よし、全部拾ってすぐに帰れ」
ルセフに聞かれて、カノンは素直に答えようとしたが、600匹で十分だった。
ルセフが地面の氷フライムを回収するように指差して、帰るように家の出口を素早く指差した。
まだ昼ご飯も食べてないのに、もう追い出されそうになっている。
「そんなこと言うなよ、凄いじゃないか。カノンちゃん、拾うの手伝うよ」
「ありがとうございます」
ウェインの許容範囲は3匹だ。600匹と聞いて、解体を教えるのをやめた。
茶色のアイテムポーチに、氷フライムを押し込んでいる。
だが、倒した数が600匹で、死体の数は1400匹だ。
人間が手伝える限界を軽々超えている。
「良かったら、パンがたくさんあるから、皆さんで食べてください」
「わぁ~♪ ありがとう、お姉ちゃん! 甘いの大好き!」
紙箱に入った大量のパンを見せると、シリカが喜んだ。
カノンは女の子同士で、仲良くなりたいみたいだが、昼ご飯前にそれはマズイ。
食事を用意している母親に怒られる。
「シリカ、知らない人から食べ物を貰うな。毒が入っていたらどうするんだ」
「はぁーい」
「大丈夫です。もぐもぐ……食べられますよ」
お土産に喜んだシリカをルセフが叱った。
叱られてシリカが少し不機嫌になったが、パンをカノンが毒見している。
パンに毒が入っていないのは、最初から全員知っている。
「ほら、もう昼飯だ。知らない人と話さずにお前達は家に入れ。そしてお前は帰れ」
「えぇー⁉︎ ニコラさんにお昼ご飯に招待されたから嫌です」
「俺も嫌なんだよ。昼飯なら、そのパンでも食べてろ」
ルセフは常識外スキルの非常識な人間を、家族に近づけさせたくない。
徹底的に追い返すと決めている。
大金貨をホイホイあげる人間と付き合うと、悪影響を受けるに決まっている。
ロクな子供にも、ロクな大人にもならない。
「別に昼飯ぐらいいいだろ。せっかく遊びに来たんだから」
「俺達は仕事中だ。暇人と遊んでいる暇はない。暇ならお前が解体教えながら、パンでも食べてやれよ」
「パンはアイテムポーチに貰うよ。昼飯はニコラさんの料理を食べるよ」
ウェインは一応はカノンを庇うけど、付き合うつもりはない。
優秀なスキル持ちの金持ちと、適度な距離感で軽く付き合いたいだけだ。
親戚の金持ちのおじさんに街で偶然会って、飯を奢って貰って、お小遣いを貰える感じだ。
それを二ヶ月に一回ぐらいでお願いしたい。
「あぁ、待ってください! レベル30まで上げたから、解体が終わったらダンジョンに行きましょうよ。今度は足手まといにはなりません。魔物もパパッと倒します!」
二人が家に入ろうとしたから、カノンは慌てて呼び止めた。
強くなったとアピールして、冒険者仲間に入れてもらう。
仲間と楽しく、素敵な冒険者生活を送りたい。
「解体で忙しいんだよ。レベル30になったなら教会に行ったのか?」
「いいえ、行ってません」
「だったら教会に行け。ジョブとスキルが強化される。早く行かないと教会が閉まるぞ」
「そうなんですね」
昼に閉まる教会はない。
「そうなんだよ。使えるスキルになったら、ダンジョンに連れて行ってやる。ほら、早く行って来い」
「分かりました。すぐに貰って来ます! お昼ご飯残しておいてくださいね!」
「ああ、待ってるぞぉー」
嘘ではないが、追い返すには都合がいい。
カノンは喜んでパトラッシュに乗ると、手を振るルセフに見送られた。
当然、カノンが戻る頃には昼ご飯は終わって、解体作業が始まっている。
仕事中だからダンジョンに行く暇はないと、断ることが出来る。
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