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僕の人生に良いことはなかった(犬獣人視点)
第12話 死ぬ時まで友達だよ
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豪武麟倒しはアンガスに任せて、シャムに報告に1階に戻った。
「なるほどねぇ……でも、まだ行かない方がいいかも。冒険者ギルドに強い奴がたくさんいるなら、そこにモンスターが集まるはずよ。そんな所に行くのは危険でしょ」
報告を終えると、シャムが反対してきた。
確かに危ないかもしれないけど、危ないことをしないと、野菜も魔石も手に入らない。
「じゃあ、いつならいいの?」
「そんなのモンスターと人が戦って、両方とも少なくなってからよ」
……それだと凄いスキルは手に入らないよ?
でも、口答えするとアンガスみたいにされてしまう。
「早く行かないと野菜もお肉も取られちゃうの。道に落ちているお金は拾った者勝ちなの」
修羅威無消して休憩中のロップが、パンをハムハム食べながら言ってきた。
あのカゴの中のパンは全部ロップの物になったみたいだ。
「う~ん、そうなのよねぇ~。誰か死んでもいい奴いないかしら?」
「僕は駄目だよ! 僕死んだら、ダンジョン使えなくなるよ!」
「そうなのよねぇ~。それさえなければ行かせるのに」
良かった。本当に良かった。ダンジョン持っていなかったら、アンガスになっていた。
ごめん、アンガス! 僕の代わりに外に行って来て。
「嫌なんだも嫌なんだも嫌なんだもぉ~~~!」
決定事項を地下1階に教えていくと、アンガスが地面に倒れて、子供みたいに我儘を言い出した。
「だって、一番強いのはアンガスなんだから、ここはアンガスが行かないと」
ここは褒めて行かせるしかない。
「さっき見てたよね! 見てたよね!」
そしたら、信じられないという顔で僕を見てきた。
「途中から目を閉じていたから見てないよ。ほら、早く行かないとシャムが来るよ」
だけど、都合が悪いことは見て見ぬふりしないと僕が行かせられる。
ごめん、アンガス。僕の為に軽く死んだつもりで頑張ってきて。
「ちょっと思いついたんだけど、あんたも行きなさい」
「えっ?」
来るとは言ったけど、こんなこと言いに来るとは思わなかった。
地下1階にやって来たシャムが僕に死ねと言ってきた。
「ほら、ダンジョンの扉って、あんたが出し入れした所から動かないでしょ。欲しい物があっても、ここまで牛一人で運ぶのは大変でしょ。だったら、その方が良いと思うのよね」
「……」
「テリヤ、一緒に頑張るんだも♪」
「……」
凄い笑顔だ。死に共が出来て嬉しそうだ。
地面でジダバタしていたアンガスが立ち上がって、ポンと優しく、僕の肩に手を乗せた。
これ、絶対にもう逃げられないやつだ。肩に乗せている手が凄い力で肩を掴んでいる。
凄い笑顔なのに、絶対に逃さないという気持ちがヒシヒシ伝わってくる。
「なるほどねぇ……でも、まだ行かない方がいいかも。冒険者ギルドに強い奴がたくさんいるなら、そこにモンスターが集まるはずよ。そんな所に行くのは危険でしょ」
報告を終えると、シャムが反対してきた。
確かに危ないかもしれないけど、危ないことをしないと、野菜も魔石も手に入らない。
「じゃあ、いつならいいの?」
「そんなのモンスターと人が戦って、両方とも少なくなってからよ」
……それだと凄いスキルは手に入らないよ?
でも、口答えするとアンガスみたいにされてしまう。
「早く行かないと野菜もお肉も取られちゃうの。道に落ちているお金は拾った者勝ちなの」
修羅威無消して休憩中のロップが、パンをハムハム食べながら言ってきた。
あのカゴの中のパンは全部ロップの物になったみたいだ。
「う~ん、そうなのよねぇ~。誰か死んでもいい奴いないかしら?」
「僕は駄目だよ! 僕死んだら、ダンジョン使えなくなるよ!」
「そうなのよねぇ~。それさえなければ行かせるのに」
良かった。本当に良かった。ダンジョン持っていなかったら、アンガスになっていた。
ごめん、アンガス! 僕の代わりに外に行って来て。
「嫌なんだも嫌なんだも嫌なんだもぉ~~~!」
決定事項を地下1階に教えていくと、アンガスが地面に倒れて、子供みたいに我儘を言い出した。
「だって、一番強いのはアンガスなんだから、ここはアンガスが行かないと」
ここは褒めて行かせるしかない。
「さっき見てたよね! 見てたよね!」
そしたら、信じられないという顔で僕を見てきた。
「途中から目を閉じていたから見てないよ。ほら、早く行かないとシャムが来るよ」
だけど、都合が悪いことは見て見ぬふりしないと僕が行かせられる。
ごめん、アンガス。僕の為に軽く死んだつもりで頑張ってきて。
「ちょっと思いついたんだけど、あんたも行きなさい」
「えっ?」
来るとは言ったけど、こんなこと言いに来るとは思わなかった。
地下1階にやって来たシャムが僕に死ねと言ってきた。
「ほら、ダンジョンの扉って、あんたが出し入れした所から動かないでしょ。欲しい物があっても、ここまで牛一人で運ぶのは大変でしょ。だったら、その方が良いと思うのよね」
「……」
「テリヤ、一緒に頑張るんだも♪」
「……」
凄い笑顔だ。死に共が出来て嬉しそうだ。
地面でジダバタしていたアンガスが立ち上がって、ポンと優しく、僕の肩に手を乗せた。
これ、絶対にもう逃げられないやつだ。肩に乗せている手が凄い力で肩を掴んでいる。
凄い笑顔なのに、絶対に逃さないという気持ちがヒシヒシ伝わってくる。
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