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あこぎな商売始めておる(神視点)

19話

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「はぁー、何言っちゃってんだか。あんた達、みんなであの馬鹿2人ボコリなさい!」
「そ、そんなぁー、大人相手に無理だよ」
「はあ? たった2人でしょ! 1人を9人がかりでも倒せないってわけ!」

 呆れ顔で猫少女が子供9人に戦うように命令したが、子供達が拒否しておる。
 当たり前じゃな。2人共、武器と防具を身に付けておる。
 
「へぇー、誰がやるってんだよおー!」
「ひゃあああ!」

 何という奴じゃ! 怯える子供達に向かって、腰から剣を抜きおった。
 キラリと光る剣は恐ろしく切れそうじゃ。

「殺されてい奴は出て来いよ! 出て来ないなら、大人しく言うこと聞けや!」

 くっ、刃物をチラつかせて脅すとは、このチンピラめ!
 許されるのなら、儂の拳骨で一撃で懲らしめてやれるのに……
 くっ! 許せ、子供達よ! 神にも規則があるのじゃ!

 儂にはこの血に塗られた悲劇を、拳を握り締めて見届けることしか出来ぬ。
 じゃが、じゃが……それが儂に課せられた試練であり、罰なのじゃ。
 この下界を数百年も放置した罰だ。この罰、血の涙を流して耐えてみせよう!

「へっへへへ♪ よぉーし、賢い奴は長生きするぜ! おい、猫女? お前がここのボスか?」
「ち、違うわ! あの犬がボスよ!」
「ええっ⁉︎ 僕がボスだったの⁉︎」

 仲間割れが早いの。早くも猫少女が犬少年を売り渡しておる。
 まあ、魔石を換金していたのは犬少年じゃ。ダンジョンも犬少年が持ち主じゃ。
 嘘ではなか、嘘ではなかが、友達ならば命懸けでかばい合ってほしかった。

「やっぱりお前がボスか。パン屋のオヤジに頼まれたんだよ。生意気な野良犬がいるから、金を巻き上げてくれってな」
「嘘ぉ⁉︎ パン買ってあげていたのにどうして⁉︎」

 な、な、なんと⁉︎ あのパン屋が黒幕じゃったか!
 まさか我慢せずにチンピラを雇っていたとは……
 あのパン屋めえええ! 自分の手を汚さないとは、なんと汚い奴め!
 お前にもうパン屋の資格はない。その汚れた両手で作るパンからは罪の味しかせんぞ!

「まずは有り金全部だ。あとはそうだなぁ……可愛いペットがいるじゃねえか♪ 俺達が可愛がってやるよ♪」
「い、嫌なの……」

 くっ、この腐れ外道共が。冒険者2人が邪な笑みで兎少女に近づいていく。
 儂が与えたスキルがこんなことになるとは……くっ、許せ、ラビちゃんよ。

『スラッッ!』
「チッ、それにしても邪魔だな。おい、ガキ共! このスライム倒せ! 邪魔なんだよ!」
「はい、すぐにぃ!」
「……よし、今ねえ」

 んっ? どうやら絶望するのは早いみたいじゃな。
 ラビちゃんを守るように冒険者2人に修羅威無が群がっておる。
 その隙に猫少女が牛少年に忍び足で近づいておる。
 何かを企んでおるようじゃ。

 だったら、儂は信じて見届けるだけじゃ。
 頑張るんじゃぞ!
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