上 下
16 / 33
あこぎな商売始めておる(神視点)

16話

しおりを挟む
「ほぉほぉほぉ」

 ふむ、ここまでは前に見たとおりじゃの。
 犬少年が冒険者ギルドに向かって走っておる。
 あとは魔石を買取りしてもらって、パン屋でパンを買うだけじゃな。

 およっ? パンとは、まさか、まだあのパン屋を使っておるのか!
 悪いことは言わん。もっとマシなパン屋に乗り換えんしゃい。

「おい、また来たぞ……」
「本当だな。一体どこにあるんだ……」

 冒険者ギルドの扉を開けて、犬少年が中に入ると、2人の冒険者が犬少年を見て話しておる。

「すみません、買取りお願いします」

 まあ、そんな視線も話も気にせずに、犬少年がカウンターに中魔石を置いておる。

「あら、また来たのね。一度に持って来てもいいのよ」
「あ、安全の為でしゅ」

 うむ、噛みおったな。神の前で。
 受付の女子に聞かれて、明らかに犬少年が動揺しておる。
 そりゃー、自分で稼いだ魔石じゃないから動揺するじゃろうな。

「フフッ。心配なら、お金を冒険者ギルドに預けることも出来るわよ。それとも、ここに預けるのも心配?」
「し、心配でしゅ」

 また噛みおったな。神の前で。
 どうやら予定外の対応は出来んみたいじゃ。
 多分、あの猫少女に聞かんと、自分では何も決められんのじゃ。
 まったくダラシない。女の尻に敷かれおって。
 男なら女の尻を追いかけて、引っ叩かんかい!
 
「フフッ。なら、仕方ないわね。心配じゃなくなったらいつでも言ってね。ちょっと待っててね」
「は、はい」

 まるで可愛い弟対応じゃな。さて、いくらになるか儂も楽しみじゃ。
 受付の女子が魔石の鑑定を始めておる。数値付きの棒で調べて、次に重さを確認しておる。
 決まった手順で、簡単そうじゃから儂でも出来そうじゃな。

「はい、お待たせ。買取り金額は全部で小銀貨10枚になるけど、いい?」
「はい、ありがとうございましゅ!」

 また噛みおったな。神の前で。
 ふむ、ポチッとな。……なるほど、銅貨1000枚で小銀貨1枚になるのか。
 それに硬貨は小・中・大とあるみたいじゃな。
 小銀貨10枚よりも中銀貨1枚の方が少ないじゃろうに、やはり多い方が嬉しいもんなのかもしれんの。

「おい、行くぞ……」
「ああ……」

 さて、次はパン屋じゃの。犬少年が小銀貨10枚を受け取って、冒険者ギルドを出ていった。
 その犬少年の跡を追って、2人の冒険者が出ていった。

 ふむ、あの顔は何か良からぬことを考えておるな。
 さしずめ、犬少年が持っている金を奪い取るつもりじゃろう。
 子供から金を奪い取るとは、大人の男がすることじゃないぞ。恥を知れ。

「すみません」

 まだ、このパン屋を使っておるのか。

「はい、いらっしゃ——ハッ‼︎」
「オッチャン。パン100個、10分以内ね」

 な、な、な、なんと⁉︎ パン100個じゃと⁉︎ 爆買いではないか!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

没落令嬢カノンの冒険者生活〜ジョブ『道具師』のスキルで道具を修復・レベルアップ・進化できるようになりました〜

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 事業に失敗した父親の借金の返済期限がやって来た。数十人の金貸し達が屋敷に入って来る。  屋敷に一人残された男爵令嬢の三女カノン・ネロエスト(17歳)は、ペットの大型犬パトラッシュと一緒に追い出された。  長い金髪を切られ、着ていた高価な服もボロ服に変えられた。  そんな行く当てのない彼女に金貸しの男が、たったの2500ギルド渡して、冒険者ギルドを紹介した。  不幸の始まりかと思ったが、教会でジョブ『道具師』を習得した事で、幸福な生活がすぐに始まってしまう。  そんな幸福な日常生活の物語。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

お疲れエルフの家出からはじまる癒されライフ

アキナヌカ
ファンタジー
僕はクアリタ・グランフォレという250歳ほどの若いエルフだ、僕の養い子であるハーフエルフのソアンが150歳になって成人したら、彼女は突然私と一緒に家出しようと言ってきた!!さぁ、これはお疲れエルフの家出からはじまる癒されライフ??かもしれない。 村で仕事に埋もれて疲れ切ったエルフが、養い子のハーフエルフの誘いにのって思い切って家出するお話です。家出をする彼の前には一体、何が待ち受けているのでしょうか。 いろいろと疲れた貴方に、いっぱい休んで癒されることは、決して悪いことではないはずなのです この作品はカクヨム、小説家になろう、pixiv、エブリスタにも投稿しています。 不定期投稿ですが、なるべく毎日投稿を目指しています。

屋根裏部屋の”聖女”は王太子に溺愛されます ~自称平民の公爵令嬢は、人と動物の身体と心を癒します~

さくらのあき
ファンタジー
 ※改稿しました。タイトルの変更と加筆、修正しました。    公爵令嬢として生まれたにも関わらず、母の死後、生活が一変し、屋根裏部屋で生活するという不遇に陥るアマリリス。  アマリリスは、先の見えない未来に悲観し、公爵家から出ていくことを決意する。森の中で仲間(動物)と生活しながら、”聖女”のように人や動物の心と身体を癒す。  公爵家に戻されることを恐れたアマリリスは、平民のメルを装う。一方、第一王子(王太子)のレオナードは、二年前にアマリリスを見初めていた。  レオナードとアマリリス(メル)は、森で出会う。森で会った平民メルを公爵令嬢アマリリスだと思ったレオナードは、アマリリス(メル)を婚約者にしたいが、アマリリスが平民メルを装ってるため本物のアマリリスか確証がもてず、もどかしい思いをする。  アマリリスは、自分が公爵令嬢だとバレたくないないため、レオナードと距離を取りたい。レオナードは、距離を縮めようとする。そんな中、アマリリスは、隣国の王子に拉致される。レオナードたちに助けてもらい、レオナードへの気持ちが変わってくる。アマリリスは、レオナードを慕っていることに気づく。  両片思いのレオナードとアマリリス(メル)は、周りの手助けもあり、気持ちが通じ合う。 聖女のように人と動物の心と身体を癒すアマリリスが、王太子レオナードに溺愛されながら、結ばれる物語です。

処理中です...