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第8.5章・ざまぁ編(エッサの場合)。
第107話・エッサ編完結。
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「ちょっと奥さん!そこは男の命です。あぁ~、隣の奥さんまで!」
(オラは絶対に負けないべぇ。こんな色仕掛けに負けるような男じゃないべぇ。全員かかって来るんだべぇ!)
もうほとんどエッサは負けていますが、まだ粘るつもりです。そこまでしても得られるものは一時的な幸福感だけです。鼻の下をダラシなく伸ばした腐った村人代表のエッサに、隠れていたエミィが大胆にも近づいて行きました。
「エッサ、久し振りね。これで私の事を許して欲しの。エッサが許してくれるなら、他の女の子も用意出来るわよ。」
「この白下着め!よくもオラの前に出て来られるべぇな。オラにこんな事をしてタダで済むと思うなべぇよ!」
(どうして、そんなに強気なのかしら?もうパンツ1枚じゃないの。説得力ゼロよ。この腐ったジャガイモ野郎!)
エミィが登場しても、エッサは構わずに谷間に注がれたフルーツ牛乳をガブ飲みし続けます。でも、その中身には麻痺と睡眠効果がある即効性の薬がたっぷり入っています。ちょっとずつ、エッサは身体に違和感を感じるようになって行きました。
「おい、泥棒女。オラの子供を妊娠しているのは知っているべぇよ。この事を王様が知ったら、絞首刑だべぇな。その貧相な胸の谷間でオラにお酌したらどうなんだべぇな?」
(いやいや、ここはフルーツ牛乳じゃなくてだな。フルーツ母乳で誠心誠意の謝罪をするのが人の道なんだな。うんだぁ。どれどれ、オラが乳搾りを手伝ってやるべぇ。)
ぐぅへへへへ!とエッサは下衆な笑い声を上げながら、汚らしい両手をエミィのおっぱいに近づけて行きました。
『パァーシン!』
「ぐぅべぇ?!この尻軽、オラに何するんだべぇか!王様に言いつけて死刑にしてやるべぇよ!」
「ハァ~~、もういいわ。我慢の限界……街のみんなは帰ってもいいわよ。あとは私達がこの変態を退治します。」
下着の美女達が玉座の間から急いで出て行くと、代わりにゾロゾロと隠れていた武装した兵士達とエッサの顔見知り達が何人も出て来ました。
「なんだべぇ?もしかして、オラを殺すつもりだべぇか?1、2、3…………ハァ~~~、たったの30人だべぇか?オラも舐められたものだべぇなぁ~。なあ、ロックタ?なんでオラの鎧と両手剣を持ってるんだべぇ?黙ってないで、早く返すべぇ。」
『名前・ロックタ。職業・ミルド国王双剣士。称号・元奴隷国王。王殺し。プレイヤーキラー。レベル112。HP8425。MP2320。攻撃力585。魔力595。敏捷690。』
「この田舎者め!世が誰だか分からぬのか?このミルド王国国王ロックターヌ1世を知らんとは、この愚か者のド変態の縞パン野郎め。畑の肥やしにしてやるぞ。」
「何言ってんだべぇ?何がロックターヌだべぇ!ヤベェー薬でも使ってるべぇか?」
ロックタは巫山戯ているわけでも、ヤベェー薬も使っていません。正真正銘のミルド王国の新国王になっています。前のセントワーズ三世はロックタに殺されてしまいました。
「ねぇ、あなた。あの変態を早く退治して寝室で楽しい事しましょう。」
「コラ~、はしたない!人が見てるじゃないか。」
いきなりエッサの目の前で下着姿のエミィと王冠を被ったロックタがイチャつき始めました。周りは見て見ぬ振りをしていますが、どうやら2人の関係を知らない者はいないようです。エッサ以外は………。
「このド淫乱の尻軽女め!ロックタはまだ15歳の未成年だべぇよ!それにロックタもロックタだべぇ。エミィはオラの伴侶だべぇよ!人妻に手を出すなんて人間のする事じゃないべぇ!犬畜生にも劣る人間の屑だべぇ。2人とも恥を知るんだべぇ!」
エッサが怒るのも仕方ありません。ロックタとエミィは戦闘訓練と称して、夜な夜な遅くまで密会していました。いつの間にか2人は男女の関係になっていたようです。
「男の嫉妬は醜いわよ。自分の顔を鏡で見た事あるの?あんたの顔なんか39点なのよ。私が好きで付き合っていた訳ないでしょう!このお腹の子供もアンタじゃなくて、ロックタの子なのよ!」
39点の男と45点の女ならば、どっちも大した事ありませんが、やっぱり点数の高い方が偉いのです。
「………嘘だべぇ。オラ、スポンサーのオバちゃんに聞いたべぇ。間違いなくオラの子供だべぇ!」
縞パン、エッサが確信を持って否定します。エミィの子供は自分の子供だと信じています。そんな、エッサの足元にエミィに奪われていた本が転がって来ました。
「私の言葉が信じられなくても、その本の事は信用しているわよね?本で調べてみたら、誰の子供か分かるんじゃないの。」
(いや、そんなはずはないべぇ。間違いなくオラの子供だべぇ。みんなでオラを揶揄っているだけだべぇ。うんだぁ。そうなんだな!)
エッサは恐る恐る本を拾うと、パラパラと手慣れた手つきでページをめくり始めました。そして、エミィとロックタが可愛い女の子と仲良く3人で手を繋いでいる姿絵を発見してしまいました。
「ロックターーー!ロックターーー!お前ら全員皆殺しにしてやるべぇ!天空より降り注ぐ輝く流星よ!創世の時を」
『ヒューン、ドォス!』
「ぐぅべぇ!」
残念ながら詠唱の途中で邪魔されました。脳天に刺さった銀の矢がすぐに消えていきました。残ったのは懐かしい痛みだけです。
「よーし!命中!」
(また、お前だべぇか!オラの邪魔ばかりしやがって、ロックタ以上にムカつく女だべぇ!)
武器も防具もない状況で、エッサが頼れるのは魔法だけです。でも、やっぱり邪魔されました。
「エッサ~、ねぇ、何で生きてるの?私、確かに殺したよね?もしかして、殺したの豚だったかな?」
「オラだべぇ!防具を着た豚がいる訳ないべぇよ!舐めてると、オメェーの服全部脱がせて、雌豚にして飼ってやるべぇよ!」
それはそれでいいかもしれないと、エッサは少し思ってしまいました。けれども、豚として飼われるのはエッサの方でした。30対1ではどう頑張っても勝てません。
エッサの両手剣を装備した事でロックタの攻撃力は2000を超えました。防具はダメージを70%も減らしてくれます。その他の兵士達もランク13、14のエッサの予備の防具を装備しているので、一撃で倒す事も不可能でした。
「ハァハァ、ハァハァ、おかしいべぇ?レベル204のオラが何で負けそうなんだべぇ?また、隠れて誰かがオラの邪魔をしているんだべぇか!」
いいえ、違います。今回はプロデューサーは何もしていません。パンツ1枚の麻痺状態で、レベル100以上の30人と戦っているからです。飲んでも脱ぐなです!
エッサの奮闘虚しく、エッサは牢獄に連れて行かれました。この空間はアイテムも魔法も使えません。レベルも封印されるように作られていました。そして………。
◆
『ザァク、ザァク、ザァク、ザァク。』
「いやぁ~~、今日も真っ暗だべぇ。」
エッサは先祖代々伝わる鍬で、土の入った桶を耕していました。まるで1人餅つきです。暗い牢獄の中で毎日毎日、意味の分からない辛い労働を強いられていました。
「おい、204。手を休めるな!飯抜きになりたいのか!」
「ヒィーー、申し訳ございませんだべぇ!今すぐに始めますだぁ~!」
少しでも休むと看守に怒られます。最初の3日間は反抗していたエッサですが、空腹には勝てませんでした。今では従順な犬になってしまいました。
『ザァク、ザァク、ザァク、ザァク。』
(チャンスを待つんだべぇ。いつの日か復讐するんだべぇ。)
残念ながら、エッサの夢が叶う日はやって来ませんでした。エッサが死んだ後も、牢獄の中からザァク、ザァクという土を耕す音だけが聞こえ続けました。王都七不思議の一つ『牢獄の幽霊村人』がこうして誕生したそうです。
【ざまぁ編・エッサの場合・完結。】
(オラは絶対に負けないべぇ。こんな色仕掛けに負けるような男じゃないべぇ。全員かかって来るんだべぇ!)
もうほとんどエッサは負けていますが、まだ粘るつもりです。そこまでしても得られるものは一時的な幸福感だけです。鼻の下をダラシなく伸ばした腐った村人代表のエッサに、隠れていたエミィが大胆にも近づいて行きました。
「エッサ、久し振りね。これで私の事を許して欲しの。エッサが許してくれるなら、他の女の子も用意出来るわよ。」
「この白下着め!よくもオラの前に出て来られるべぇな。オラにこんな事をしてタダで済むと思うなべぇよ!」
(どうして、そんなに強気なのかしら?もうパンツ1枚じゃないの。説得力ゼロよ。この腐ったジャガイモ野郎!)
エミィが登場しても、エッサは構わずに谷間に注がれたフルーツ牛乳をガブ飲みし続けます。でも、その中身には麻痺と睡眠効果がある即効性の薬がたっぷり入っています。ちょっとずつ、エッサは身体に違和感を感じるようになって行きました。
「おい、泥棒女。オラの子供を妊娠しているのは知っているべぇよ。この事を王様が知ったら、絞首刑だべぇな。その貧相な胸の谷間でオラにお酌したらどうなんだべぇな?」
(いやいや、ここはフルーツ牛乳じゃなくてだな。フルーツ母乳で誠心誠意の謝罪をするのが人の道なんだな。うんだぁ。どれどれ、オラが乳搾りを手伝ってやるべぇ。)
ぐぅへへへへ!とエッサは下衆な笑い声を上げながら、汚らしい両手をエミィのおっぱいに近づけて行きました。
『パァーシン!』
「ぐぅべぇ?!この尻軽、オラに何するんだべぇか!王様に言いつけて死刑にしてやるべぇよ!」
「ハァ~~、もういいわ。我慢の限界……街のみんなは帰ってもいいわよ。あとは私達がこの変態を退治します。」
下着の美女達が玉座の間から急いで出て行くと、代わりにゾロゾロと隠れていた武装した兵士達とエッサの顔見知り達が何人も出て来ました。
「なんだべぇ?もしかして、オラを殺すつもりだべぇか?1、2、3…………ハァ~~~、たったの30人だべぇか?オラも舐められたものだべぇなぁ~。なあ、ロックタ?なんでオラの鎧と両手剣を持ってるんだべぇ?黙ってないで、早く返すべぇ。」
『名前・ロックタ。職業・ミルド国王双剣士。称号・元奴隷国王。王殺し。プレイヤーキラー。レベル112。HP8425。MP2320。攻撃力585。魔力595。敏捷690。』
「この田舎者め!世が誰だか分からぬのか?このミルド王国国王ロックターヌ1世を知らんとは、この愚か者のド変態の縞パン野郎め。畑の肥やしにしてやるぞ。」
「何言ってんだべぇ?何がロックターヌだべぇ!ヤベェー薬でも使ってるべぇか?」
ロックタは巫山戯ているわけでも、ヤベェー薬も使っていません。正真正銘のミルド王国の新国王になっています。前のセントワーズ三世はロックタに殺されてしまいました。
「ねぇ、あなた。あの変態を早く退治して寝室で楽しい事しましょう。」
「コラ~、はしたない!人が見てるじゃないか。」
いきなりエッサの目の前で下着姿のエミィと王冠を被ったロックタがイチャつき始めました。周りは見て見ぬ振りをしていますが、どうやら2人の関係を知らない者はいないようです。エッサ以外は………。
「このド淫乱の尻軽女め!ロックタはまだ15歳の未成年だべぇよ!それにロックタもロックタだべぇ。エミィはオラの伴侶だべぇよ!人妻に手を出すなんて人間のする事じゃないべぇ!犬畜生にも劣る人間の屑だべぇ。2人とも恥を知るんだべぇ!」
エッサが怒るのも仕方ありません。ロックタとエミィは戦闘訓練と称して、夜な夜な遅くまで密会していました。いつの間にか2人は男女の関係になっていたようです。
「男の嫉妬は醜いわよ。自分の顔を鏡で見た事あるの?あんたの顔なんか39点なのよ。私が好きで付き合っていた訳ないでしょう!このお腹の子供もアンタじゃなくて、ロックタの子なのよ!」
39点の男と45点の女ならば、どっちも大した事ありませんが、やっぱり点数の高い方が偉いのです。
「………嘘だべぇ。オラ、スポンサーのオバちゃんに聞いたべぇ。間違いなくオラの子供だべぇ!」
縞パン、エッサが確信を持って否定します。エミィの子供は自分の子供だと信じています。そんな、エッサの足元にエミィに奪われていた本が転がって来ました。
「私の言葉が信じられなくても、その本の事は信用しているわよね?本で調べてみたら、誰の子供か分かるんじゃないの。」
(いや、そんなはずはないべぇ。間違いなくオラの子供だべぇ。みんなでオラを揶揄っているだけだべぇ。うんだぁ。そうなんだな!)
エッサは恐る恐る本を拾うと、パラパラと手慣れた手つきでページをめくり始めました。そして、エミィとロックタが可愛い女の子と仲良く3人で手を繋いでいる姿絵を発見してしまいました。
「ロックターーー!ロックターーー!お前ら全員皆殺しにしてやるべぇ!天空より降り注ぐ輝く流星よ!創世の時を」
『ヒューン、ドォス!』
「ぐぅべぇ!」
残念ながら詠唱の途中で邪魔されました。脳天に刺さった銀の矢がすぐに消えていきました。残ったのは懐かしい痛みだけです。
「よーし!命中!」
(また、お前だべぇか!オラの邪魔ばかりしやがって、ロックタ以上にムカつく女だべぇ!)
武器も防具もない状況で、エッサが頼れるのは魔法だけです。でも、やっぱり邪魔されました。
「エッサ~、ねぇ、何で生きてるの?私、確かに殺したよね?もしかして、殺したの豚だったかな?」
「オラだべぇ!防具を着た豚がいる訳ないべぇよ!舐めてると、オメェーの服全部脱がせて、雌豚にして飼ってやるべぇよ!」
それはそれでいいかもしれないと、エッサは少し思ってしまいました。けれども、豚として飼われるのはエッサの方でした。30対1ではどう頑張っても勝てません。
エッサの両手剣を装備した事でロックタの攻撃力は2000を超えました。防具はダメージを70%も減らしてくれます。その他の兵士達もランク13、14のエッサの予備の防具を装備しているので、一撃で倒す事も不可能でした。
「ハァハァ、ハァハァ、おかしいべぇ?レベル204のオラが何で負けそうなんだべぇ?また、隠れて誰かがオラの邪魔をしているんだべぇか!」
いいえ、違います。今回はプロデューサーは何もしていません。パンツ1枚の麻痺状態で、レベル100以上の30人と戦っているからです。飲んでも脱ぐなです!
エッサの奮闘虚しく、エッサは牢獄に連れて行かれました。この空間はアイテムも魔法も使えません。レベルも封印されるように作られていました。そして………。
◆
『ザァク、ザァク、ザァク、ザァク。』
「いやぁ~~、今日も真っ暗だべぇ。」
エッサは先祖代々伝わる鍬で、土の入った桶を耕していました。まるで1人餅つきです。暗い牢獄の中で毎日毎日、意味の分からない辛い労働を強いられていました。
「おい、204。手を休めるな!飯抜きになりたいのか!」
「ヒィーー、申し訳ございませんだべぇ!今すぐに始めますだぁ~!」
少しでも休むと看守に怒られます。最初の3日間は反抗していたエッサですが、空腹には勝てませんでした。今では従順な犬になってしまいました。
『ザァク、ザァク、ザァク、ザァク。』
(チャンスを待つんだべぇ。いつの日か復讐するんだべぇ。)
残念ながら、エッサの夢が叶う日はやって来ませんでした。エッサが死んだ後も、牢獄の中からザァク、ザァクという土を耕す音だけが聞こえ続けました。王都七不思議の一つ『牢獄の幽霊村人』がこうして誕生したそうです。
【ざまぁ編・エッサの場合・完結。】
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