上 下
53 / 122
第5章・シナリオ遂行編。

第53話・答えの出ない悩み。

しおりを挟む
「これなら行けるかもしれない。オラ達4人は未発見のダンジョンの探索隊として未来で活躍するのなら、今からやっても問題ないべぇ。」

 特定のアイテムを組み合わせて新しいアイテムを作る技術もありますが、それは敵が持っている専用の機械がないと作れません。現状では入手出来ないので、現実的に可能なのは未知のダンジョン発見ぐらいです。

「今探索している古代遺跡の名前は正式には『地下迷宮』というんだな。王都から東に『隠れ小島』があるんだども、出現するモンスターは雑魚ばかりで、落とすアイテムも普通だべぇ。」

 パラパラと本の中から新情報を集めていますが、有力な情報はなかなか見つかりません。現在可能な事で王都に貢献出来る事があるとしたら、金鉱石の入手ぐらいでしょう。

 レベル56の竜系モンスターだけが金鉱石を落とすようだべぇが、間違いなく返り討ちに遭うだけだべぇ。新ダンジョンの多くが元々立ち入り禁止にされていただけの場所だから、報告しても意味はなさそうなんだな。

「ふぅ~~。流石に疲れたべぇ。王都に足りないもので、王様が欲しがるものなんてあるんだべぇか?レア物の武器と防具なら欲しがると思うけど、簡単には手に入らないだろうし。」

 エッサは忘れているようですが、王様が装備する防具でもランク5の性能です。地下迷宮の19階でボスを倒すと入手出来る貴重な指輪でランク8です。つまりは19階より上の階でも、ランク6~7ぐらいの装備を入手する事は出来るのです。

「そういえば、地下迷宮の探索を達成したら王様付きの探索部隊になれるらしいけろ、それに何の意味があるんだべぇ?本以上の活躍を見せれば、もしかしたら、オラも救世主の1人に選ばれる可能性もあるかもしれねぇけろ、あの旅は凄く大変なんだべぇ。そんな旅には参加したくないんだべぇ。」

 エッサは部屋のベッドの上でゴロゴロしながら、考え込んでいました。

『コンコン。』と今度は優しく扉を叩く音が聞こえて来ました。返事をすると、パジャマに着替えたエミィが入って来ました。

「エッサ、ちょっと話したい事があるんだけど、いま大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だべぇ。話ってなんだべぇ?」

 緊張しているのか、エミィの身体は僅かに震えています。一体どうしたのでしょうか。

「まずは王都に連れて来てくれてありがとうね。村のみんなに自慢する事が出来るわ。それで、話っていうのは私達、付き合っているんだよね?エッサから毎月手紙が届いていたけど、愛してるとか、好きだとか、そんな言葉は一度も書いてなかったわ。本当に私はエッサの恋人でいいの?」

 エミィ………、まずはその大量の手紙はオラが書いてないべぇ。多分、シナリオ担当が書いただけなんだべぇ。でも、エミィがオラの恋人になりたいのなら、オラも男の覚悟を見せないといけないんだべぇ。

「そうだべぇ。エミィはオラの恋人だべぇ。それに将来的には結婚も考えているべぇ。2人の子供も欲しいべぇ。エミィ、愛しているんだな。」

「嬉しい!私もエッサの事が好き。」

 嬉しさのあまり、エミィはエッサに抱きつきました。夜に年頃の男女が2人きりでいると、間違いが起こってしまうかもしれません。でも、2年間近くも村と王都の離れた場所で寂しい思いをしていたエミィの気持ちは止まりようがありません。今まで抑えていた気持ちの全てをエッサの唇にぶつけました。

「ちゅう。ちゃう。」とエミィはキスが止まらないようです。それだけで済むとは思いません。

 エッサも抵抗せずにエミィの好きなようにさせています。流れに任せるか、それとも拒絶するか、まだ決心がついていない様子です。

 もう我慢出来ないべぇ!こうなったら、覚悟を決めてエミィと結婚するしかねぇべぇ。でも、本当にエミィでいいんだべぇか?オラの活躍次第では、村の雑草のエミィなんかと結婚せずに、女神様のような綺麗なディアナ様と結婚出来る可能性もあるんだべぇよ。まだ、結婚は早いかもしれねぇべぇ。

 エッサはエミィと恋人になる事を決めました。けれども、一時的な恋人関係のようです。まだまだ、妥協したくはないようです。それでも、恋人同士のように一つのベッドの上で朝まで過ごす事になりました。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最強の聖女は恋を知らない

三ツ矢
ファンタジー
救世主として異世界に召喚されたので、チートに頼らずコツコツとステ上げをしてきたマヤ。しかし、国を救うためには運命の相手候補との愛を育まなければならないとか聞いてません!運命の相手候補たちは四人の美少年。腹黒王子に冷徹眼鏡、卑屈な獣人と狡猾な後輩。性格も好感度も最低状態。残された期限は一年!?四人のイケメンたちに愛されながらも、マヤは国を、世界を、大切な人を守るため異世界を奔走する。 この物語は、いずれ最強の聖女となる倉木真弥が本当の恋に落ちるまでの物語である。 小説家になろうにの作品を改稿しております

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

謎の能力【壁】で始まる異世界スローライフ~40才独身男のちょっとエッチな異世界開拓記! ついでに世界も救っとけ!~

骨折さん
ファンタジー
 なんか良く分からない理由で異世界に呼び出された独身サラリーマン、前川 来人。  どうやら神でも予見し得なかった理由で死んでしまったらしい。  そういった者は強い力を持つはずだと来人を異世界に呼んだ神は言った。  世界を救えと来人に言った……のだが、来人に与えられた能力は壁を生み出す力のみだった。 「聖剣とか成長促進とかがよかったんですが……」  来人がいるのは魔族領と呼ばれる危険な平原。危険な獣や人間の敵である魔物もいるだろう。  このままでは命が危ない! チート【壁】を利用して生き残ることが出来るのか!?  壁だぜ!? 無理なんじゃない!?  これは前川 来人が【壁】という力のみを使い、サバイバルからのスローライフ、そして助けた可愛い女の子達(色々と拗らせちゃってるけど)とイチャイチャしたり、村を作ったりしつつ、いつの間にか世界を救うことになったちょっとエッチな男の物語である! ※☆がついているエピソードはちょっとエッチです。R15の範囲内で書いてありますが、苦手な方はご注意下さい。 ※カクヨムでは公開停止になってしまいました。大変お騒がせいたしました。

通称偽聖女は便利屋を始めました ~ただし国家存亡の危機は謹んでお断りします~

フルーツパフェ
ファンタジー
 エレスト神聖国の聖女、ミカディラが没した。  前聖女の転生者としてセシル=エレスティーノがその任を引き継ぐも、政治家達の陰謀により、偽聖女の濡れ衣を着せられて生前でありながら聖女の座を剥奪されてしまう。  死罪を免れたセシルは辺境の村で便利屋を開業することに。  先代より受け継がれた魔力と叡智を使って、治療から未来予知、技術指導まで何でこなす第二の人生が始まった。  弱い立場の人々を救いながらも、彼女は言う。 ――基本は何でもしますが、国家存亡の危機だけはお断りします。それは後任(本物の聖女)に任せますから

やつはとんでもないものを盗んでいきました。それは相手の一番大事なものです。

名無し
ファンタジー
平凡な支援役である真壁は、頑張り屋だが控えめな性格もあり、いつしかパーティーカーストの最底辺にいた。それでも耐えていたある日、仲間たちから深く傷つけられて失意のうちにパーティーを脱退する。すっかり自信を失い、やがて乞食になった彼は自殺を考えるものの、そこで出会った怪しい女性から、対象にとって一番大事なものを盗めるというS級アイテムを渡され、一気に人生を逆転させていく。

視力0.01の転生重弩使い 『なんも見えんけど多分味方じゃないからヨシッ!』

ふつうのにーちゃん
ファンタジー
転生者グレイボーンは、前世でシュールな死に方をしてしまったがあまりに神に気に入られ、【重弩使い】のギフトを与えられた。 しかしその神は実のところ、人の運命を弄ぶ邪神だった。 確かに重弩使いとして破格の才能を持って生まれたが、彼は『10cm先までしかまともに見えない』という、台無しのハンデを抱えていた。 それから時が流れ、彼が15歳を迎えると、父が死病を患い、男と蒸発した母が帰ってきた。 異父兄妹のリチェルと共に。 彼はリチェルを嫌うが、結局は母の代わりに面倒を見ることになった。 ところがしばらくしたある日、リチェルが失踪してしまう。 妹に愛情を懐き始めていたグレイボーンは深い衝撃を受けた。 だが皮肉にもその衝撃がきっかけとなり、彼は前世の記憶を取り戻すことになる。 決意したグレイボーンは、父から規格外の重弩《アーバレスト》を受け継いだ。 彼はそれを抱えて、リチェルが入り込んだという魔物の領域に踏み込む。 リチェルを救い、これからは良い兄となるために。 「たぶん人じゃないヨシッッ!!」 当たれば一撃必殺。 ただし、彼の目には、それが魔物か人かはわからない。 勘で必殺の弩を放つ超危険人物にして、空気の読めないシスコン兄の誕生だった。 毎日2~3話投稿。なろうとカクヨムでも公開しています。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

【完結】底辺冒険者の相続 〜昔、助けたお爺さんが、実はS級冒険者で、その遺言で七つの伝説級最強アイテムを相続しました〜

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 試験雇用中の冒険者パーティー【ブレイブソード】のリーダーに呼び出されたウィルは、クビを宣言されてしまう。その理由は同じ三ヶ月の試験雇用を受けていたコナーを雇うと決めたからだった。  ウィルは冒険者になって一年と一ヶ月、対してコナーは冒険者になって一ヶ月のド新人である。納得の出来ないウィルはコナーと一対一の決闘を申し込む。  その後、なんやかんやとあって、ウィルはシェフィールドの町を出て、実家の農家を継ぐ為に乗り合い馬車に乗ることになった。道中、魔物と遭遇するも、なんやかんやとあって、無事に生まれ故郷のサークス村に到着した。  無事に到着した村で農家として、再出発しようと考えるウィルの前に、両親は半年前にウィル宛てに届いた一通の手紙を渡してきた。  手紙内容は数年前にウィルが落とし物を探すのを手伝った、お爺さんが亡くなったことを知らせるものだった。そして、そのお爺さんの遺言でウィルに渡したい物があるから屋敷があるアポンタインの町に来て欲しいというものだった。  屋敷に到着したウィルだったが、彼はそこでお爺さんがS級冒険者だったことを知らされる。そんな驚く彼の前に、伝説級最強アイテムが次々と並べられていく。 【聖龍剣・死喰】【邪龍剣・命喰】【無限収納袋】【透明マント】【神速ブーツ】【賢者の壺】【神眼の指輪】  だが、ウィルはもう冒険者を辞めるつもりでいた。そんな彼の前に、お爺さんの孫娘であり、S級冒険者であるアシュリーが現れ、遺産の相続を放棄するように要求してきた。

処理中です...