33 / 33
第33話 事件解決の報酬(第一章・終わり)
しおりを挟む
ただ事件に巻き込まれただけと判断されて、清、カイル、クレアは無事に釈放された。
野盗発見の特別報酬として、カイルは金貨2枚と銀貨7枚を受け取った。
野盗一人で銀貨1枚の計算らしい。森にいた人数を27人と報告したのでこうなった。
「あークソッ! 端た金寄越しやがって!」
確かに端た金だが、野盗から手に入れた馬二頭を貰えた。
カイルはイラついているが、クレアはほぼ捕まっていただけだ。
それだけで馬を貰えるなら、十分に凄い特別報酬だと言える。
まあ、残念な事にコルの町の騎士団入団は取り消しになってしまった。
また冒険者として仕事しないといけない。
「おい、キヨシ。何で知らないって言ったんだよ! 今からでも『僕の兄さんです』って言って来いよ! そしたら、金貨30枚ぐらい貰えるんだからよ!」
三人は暗い夜道を馬を引いて、フォルクの町の宿屋に向かっている。
カイルは清に無理難題を言っている。あれとこれが血縁だと言うのは無理がある。
どう見ても清が強のファンで、服装を真似ているようにしか見えない。
「こ、この帽子を預けるんだな。つ、次に会うのは高みなんだな」
「はぁ? 何言ってんだよ、こんな小汚ねえ帽子要らねえよ!」
清は麦わら帽子をカイルに渡して逃げようとしたが、それの使い所が違う。
感動的な別れのシーンをカイルは完全拒否した。
欲しいのは帽子ではなく、お金と名誉だ。
「ちょっと、カイル。キヨシも色々とあって疲れているんだから、今日はもう寝ましょう」
「ちぇっ、仕方ねえな。明日は逃げている野盗を捕まえに行くぞ。セインなら金貨10枚はするだろうからな」
「私は行かないよ。コルの町のジェシカが心配だから」
「それもそうだな。探す人数は多い方が良いし、先に会いに行ってやるか」
口だけ元気なカイルは放っておいていい。森に行く事は出来ても、捕まえる実力はない。
三人は宿屋で二部屋借りると、清は宿屋の食堂でバツキノコハンバーグを注文した。
「もぐもぐ……? キノコの味しかしないんだな」
やって来た餃子の具のようなハンバーグを食べてみたが、確かに期待して食べるようなものじゃなかった。
餃子のタレが欲しくなった。
【第一章・終わり】
野盗発見の特別報酬として、カイルは金貨2枚と銀貨7枚を受け取った。
野盗一人で銀貨1枚の計算らしい。森にいた人数を27人と報告したのでこうなった。
「あークソッ! 端た金寄越しやがって!」
確かに端た金だが、野盗から手に入れた馬二頭を貰えた。
カイルはイラついているが、クレアはほぼ捕まっていただけだ。
それだけで馬を貰えるなら、十分に凄い特別報酬だと言える。
まあ、残念な事にコルの町の騎士団入団は取り消しになってしまった。
また冒険者として仕事しないといけない。
「おい、キヨシ。何で知らないって言ったんだよ! 今からでも『僕の兄さんです』って言って来いよ! そしたら、金貨30枚ぐらい貰えるんだからよ!」
三人は暗い夜道を馬を引いて、フォルクの町の宿屋に向かっている。
カイルは清に無理難題を言っている。あれとこれが血縁だと言うのは無理がある。
どう見ても清が強のファンで、服装を真似ているようにしか見えない。
「こ、この帽子を預けるんだな。つ、次に会うのは高みなんだな」
「はぁ? 何言ってんだよ、こんな小汚ねえ帽子要らねえよ!」
清は麦わら帽子をカイルに渡して逃げようとしたが、それの使い所が違う。
感動的な別れのシーンをカイルは完全拒否した。
欲しいのは帽子ではなく、お金と名誉だ。
「ちょっと、カイル。キヨシも色々とあって疲れているんだから、今日はもう寝ましょう」
「ちぇっ、仕方ねえな。明日は逃げている野盗を捕まえに行くぞ。セインなら金貨10枚はするだろうからな」
「私は行かないよ。コルの町のジェシカが心配だから」
「それもそうだな。探す人数は多い方が良いし、先に会いに行ってやるか」
口だけ元気なカイルは放っておいていい。森に行く事は出来ても、捕まえる実力はない。
三人は宿屋で二部屋借りると、清は宿屋の食堂でバツキノコハンバーグを注文した。
「もぐもぐ……? キノコの味しかしないんだな」
やって来た餃子の具のようなハンバーグを食べてみたが、確かに期待して食べるようなものじゃなかった。
餃子のタレが欲しくなった。
【第一章・終わり】
0
お気に入りに追加
22
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
小さなわたしたちが1000倍サイズの超巨大エルフ少女たちから世界を取り返すまでのお話
穂鈴 えい
ファンタジー
この世界に住んでいる大多数の一般人たちは、身長1400メートルを超える山のように巨大な、少数のエルフたちのために働かされている。吐息だけでわたしたち一般市民をまとめて倒せてしまえるエルフたちに抵抗する術もなく、ただひたすらに彼女たちのために労働を続ける生活を強いられているのだ。
一般市民であるわたしは日中は重たい穀物を運び、エルフたちの食料を調達しなければならない。そして、日が暮れてからはわたしたちのことを管理している身長30メートルを越える巨大メイドの身の回りの世話をしなければならない。
そんな過酷な日々を続ける中で、マイペースな銀髪美少女のパメラに出会う。彼女は花園の手入れを担当していたのだが、そこの管理者のエフィという巨大な少女が怖くて命懸けでわたしのいる区域に逃げてきたらしい。毎日のように30倍サイズの巨大少女のエフィから踏みつけられたり、舐められたりしてすっかり弱り切っていたのだった。
再びエフィに連れ去られたパメラを助けるために成り行きでエルフたちを倒すため旅に出ることになった。当然1000倍サイズのエルフを倒すどころか、30倍サイズの管理者メイドのことすらまともに倒せず、今の労働場所から逃げ出すのも困難だった。挙句、抜け出そうとしたことがバレて、管理者メイドにあっさり吊るされてしまったのだった。
しかし、そんなわたしを助けてくれたのが、この世界で2番目に優秀な魔女のクラリッサだった。クラリッサは、この世界で一番優秀な魔女で、わたしの姉であるステラを探していて、ついでにわたしのことを助けてくれたのだった。一緒に旅をしていく仲間としてとんでもなく心強い仲間を得られたと思ったのだけれど、そんな彼女でも1000倍サイズのエルフと相対すると、圧倒的な力を感じさせられてしまうことに。
それでもわたしたちは、勝ち目のない戦いをするためにエルフたちの住む屋敷へと向かわなければならないのだった。そうして旅をしていく中で、エルフ達がこの世界を統治するようになった理由や、わたしやパメラの本当の力が明らかになっていき……。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜
KeyBow
ファンタジー
主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。
そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。
転生した先は侯爵家の子息。
妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。
女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。
ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。
理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。
メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。
しかしそう簡単な話ではない。
女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。
2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・
多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。
しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。
信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。
いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。
孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。
また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。
果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話
天野 星屑
ファンタジー
突如地上に出現したダンジョン。中では現代兵器が使用できず、ダンジョンに踏み込んだ人々は、ダンジョンに初めて入ることで発現する魔法などのスキルと、剣や弓といった原始的な武器で、ダンジョンの環境とモンスターに立ち向かい、その奥底を目指すことになった。
その出現からはや10年。ダンジョン探索者という職業が出現し、ダンジョンは身近な異世界となり。ダンジョン内の様子を外に配信する配信者達によってダンジョンへの過度なおそれも減った現在。
ダンジョン内で生活し、10年間一度も地上に帰っていなかった男が、とある事件から配信者達と関わり、己もダンジョン内の様子を配信することを決意する。
10年間のダンジョン生活。世界の誰よりも豊富な知識と。世界の誰よりも長けた戦闘技術によってダンジョンの様子を明らかにする男は、配信を通して、やがて、世界に大きな動きを生み出していくのだった。
*本作は、ダンジョン籠もりによって強くなった男が、配信を通して地上の人たちや他の配信者達と関わっていくことと、ダンジョン内での世界の描写を主としています
*配信とは言いますが、序盤はいわゆるキャンプ配信とかブッシュクラフト、旅動画みたいな感じが多いです。のちのち他の配信者と本格的に関わっていくときに、一般的なコラボ配信などをします
*主人公と他の探索者(配信者含む)の差は、後者が1~4まで到達しているのに対して、前者は100を越えていることから推察ください。
*主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる