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第三章:魔人編
第97話 悪の黒幕
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「望み通りに殺し合いをしてやるよ‼︎」
いつもよりも重い大剣を振り回すと、逃げるオヤジ達の背中を追いかけた。
お前達は見逃してやるけど、向かってくる四人は一人も見逃さない。
ボコボコのバラバラのボキボキにしてやる。
「死ねえ!」
ドガガガッッ‼︎
両足の裏に魔力を圧縮して集めながら走り、地面を右足で踏みつけた瞬間に解放した。
そして、扇状に広がった黒い岩杭を左足を踏みつけると同時に、四人に向かって全弾発射した。
「ただの見掛け倒しだな」
「確かにその通りだ。上に避ければいいが、それが狙いだろう。直進するぞ」
「ああ、楽勝だ!」
数千発の黒岩の矢に向かって、アレンとロビンは回避を選んで、ヴァンとガイの二人は全力で突っ込んできた。
愚かな選択だと言いたいが、二人とも高速で剣を振り回し、槍を突き出し、黒岩の矢を破壊していく。
まあ、そのぐらいはやってもらわないと困る。
「次はこれだ」
ドガガガッッ‼︎
二人が黒岩の矢を突破したタイミングで、周囲の地面から黒岩の壁を大量に突き出した。
攻撃用ではなく、ロビンの矢にいちいち邪魔されるのがムカつくだけだ。
「おい、お前。お前、元隊長だろ? 身内の恥は消させてもらう!」
「俺の顔を覚えていたとは嬉しいね!」
遠くからでも、目が良いロビンには俺の顔が見えていたようだ。
一直線に向かってくる槍使いに対して、大剣を薙ぎ払った。
その攻撃をガイは俺に向かって飛び上がって回避した——
「ハッ! 遅すぎ!」
「お前がな」
そして、そのままゴーレムの胸に槍を突き刺そうとしている。
だが、俺の左腕の丸盾を忘れている。宙を飛んでくる虫に向かって、丸盾をぶちかました。
ガン‼︎
「ぐぅ……!」
殴り飛ばされた槍使いが、黒岩の壁に飛んでいく。
槍の赤い柄で丸盾をガードしていたが、ダメージはあるだろう。
黒壁に派手に激突するのを見届けたいが、もう一人いるのを忘れてない。
「それが本当の実力か?」
「知らねよ」
両刃の剣を抜いた赤髪の黒服男に聞かれたが、そんなのは知らない。
俺が知っているのは、お前達よりも強くなったという事だけだ。
左足の膝から黒い弾丸を容赦なく発射した。
ギィン!
「遅い攻撃だな」
「一発ならな」
頭を狙った一発は簡単に剣で弾かれた。まあいい。
飛び道具はロビンの矢の速さを見慣れているなら、遅く感じるのだろう。
だが、ガイは殴り飛ばせた。つまりは弾けない攻撃は受けるしかないという事だ。
「いっ、痛ぅ! ゴーレムの15~20倍の力がある。止めきれなかった」
そんな殴り飛ばされたガイが平気な感じで戻ってきた。
黒壁を一枚突き破っているのに元気な奴だ。
「40階にいるんだ。遊んでいたら死ぬぞ」
「ハァッ! 遊ぶに決まっている。俺一人でやるから邪魔するなよ」
「邪魔するつもりはないが、俺より早く倒せないなら、邪魔した事になるだろうな」
「ほぉー、じゃあ早い者勝ちか。いいぜ! この不細工な棺桶から元隊長を引き摺り出してやるよ!」
二対一……いや、三対一か。
ロビンの弓なら直線じゃなくて、曲線で上から攻撃すればいいだけだ。
俺を殺さないように、優しくゴーレムの中から引き摺り出して、話でも聞きたいのだろう。
生け捕りとは余裕があるが、それだけ自信があるという事か。
そういえば、あの腰抜けの銀髪野朗はどこに消えやがった。
黒壁の裏に隠れているじゃないのか?
「気をつけろよ。身体のどこからでも弾丸を発射して、棘を生やすそうだ」
「そんなのアレンから聞いてるよ。だけどなぁ……近づかないと倒せないんだぜ!」
ヴァンの忠告を無視して、ガイがダァンと一気に踏み出して攻撃してきた。
右脇を狙った槍の一突きだが、躱す必要はない。
左側にいるヴァンの方が左手の盾を狙って、剣を地面を滑らせている。
コイツらの攻撃方法は、全部切り裂く、全部貫くという単純明快なものだ。
ゴーレムの身体を破壊したいならさせてやる。
服の下の身体に黒岩を纏って、左腰の鞘から剣を抜くと、ガイに向かって構えた。
俺は同じ失敗は二度はしない。ゴーレムが持っているのは、ただの黒岩の大剣だ。
「ハァッ‼︎」
「ぐぅ……!」
ギィン‼︎ 槍が突き刺さると同時に、槍を持つガイの右腕を剣で切りつけた。
だが、硬い手応えと金属音が響いた。服の下に手甲でも着けている。
「チッ」
腕を切断できれば最高だったが、このままでも構わない。
突き刺さった槍を抜けないように岩で押さえ込むと、ゴーレムから飛び出した。
「ハァッ、フゥッ!」
「——ッ‼︎」
両手で握った剣を素早く振り回して、槍を抜けずに逃げたガイを黒壁に追い詰めていく。
振り払い、斬り上げ、蹴り上げる。剣術と体術で槍を手元に戻す時間は与えない。
「やるな、元隊長! だけど、剣ならヴァンの方が上だ。この程度じゃ俺は倒せないぜ!」
「くっ……!」
俺の攻撃を笑みを浮かべて躱し続けた、ガイの右手に赤い柄の槍が現れた。
振り上げようとした剣が、ガンと矛先で受け止められた。
「交代だ。しっかりと防いでくれよ!」
「ぐっ!」
形勢が逆転した。ガイの猛攻が始まった。
デタラメに槍を両手で振り回して、槍先や石突き、柄で俺の手足を中心に強打していく。
地味でイラつく攻撃だが、俺の生け捕りが目標なんだろう。致命傷は避けている。
そして、ヴァンの方はブラックゴーレムの手足を剣の一振りで切断している。
リエラの剣並みに切れ味がある。どこにも逃すつもりはないようだ。
「ぐっ、うぐっ!」
だが、残念だったな。
俺は地面に倒れて、泣きながら降参するつもりはない。
どうせ泣くなら、命乞いの方を選ばさせてもらう。
「フフッ。この身体の持ち主を殺すつもりか?」
「はぁ? 何言ってんだ?」
大きく後方に回避すると、両手を広げて攻撃の意思がないと見せた。
ガイは警戒しているが、話を聞くつもりはあるようだ。
まあ、最初から話をするのが目的なら、攻撃はしないだろう。
「分からぬか? 我が操っているこの身体の持ち主の事だ。知り合いなんじゃないのか?」
「操っているだと? どういう意味だ?」
「クククッ。この男が我の操り人形だという事だ。いや、生きているから人形ではないな。操り人間か?」
声色を変えて、悪の黒幕のような感じで話していく。
俺はこの黒幕に身体を乗っ取られた、哀れな冒険者という設定だ。
これで少しは攻撃しにくくなっただろう。
「へぇー。どうする、ヴァン?」
「そういう事情だったか。道理で強くなったわけだ。だが、元に戻す方法がないなら殺すしかない。さっきもシトラスの風の防壁が間に合わなければ、ホールド達八人が死んでいた」
「なるほどな。だったら、嫌な役は俺が引き受けてやるよ! 悪いな、元隊長。死んでもらうぜ」
ヴァンとガイが話し合った結果、逆に殺しやすくなってしまったようだ。
生け捕りから、完全に殺す方向に変更になった。
「気の早い連中だな。元に戻す方法ならあるぞ。我がコイツの身体から抜ければいいだけだ。ほら、こうやってな……」
だが、そう簡単に殺されるつもりはない。
力が抜けたようにガクンと意識を失うと、ガイとヴァンの二人に見せた。
「うぐっ、痛い、痛い、ヴァン、ガイ、助けてくれ……コイツが俺を無理矢理、うがぁー!」
「おい、どうした⁉︎」
左手を伸ばして、黒幕から普通の声で助けを求めたが、すぐに頭を押さえて苦しみ出した。
「……ふぅー、誰がそこまで喋っていいと言った? この人間風情のゴミ屑の分際で」
「おい、今の声は元隊長か? 何しやがった?」
「いつも通りに躾のなってない家畜に罰を与えただけだ。お前達にも絶望と苦痛を与えてやろうか?」
ガイの方は良い反応をしてくれるのに、ヴァンの方は無反応を決め込んでいる。
そもそも二対一だから、勝てないに決まっている。
一対一ならブラックゴーレムに乗っていれば倒せていた。
だが、状況がヤバイと分かって、少し冷静になってきた。
倒して逃げるから、倒さず逃げるに切り替えないといけない。
くだらない演技で時間稼ぎは出来ている。
あとは周囲の黒壁を中心に向けて飛ば……
「きゃああああ‼︎」
「——ッ‼︎」
突然の悲鳴にビクッと反応してしまった。明らかに女の悲鳴だった。
「副隊長ぉー! 言われた通りに子供を捕まえてきましたよぉー! おい、さっさと歩け!」
「痛いです! 逃げないから離してください!」
「嘘吐くな! さっき逃げただろう!」
俺の黒壁の所為で見えないが、声だけで状況は分かった。
姿を消していた卑怯者のアレンが、メルを捕獲したようだ。
子供を人質にするなんて、人間のする事じゃない。
いつもよりも重い大剣を振り回すと、逃げるオヤジ達の背中を追いかけた。
お前達は見逃してやるけど、向かってくる四人は一人も見逃さない。
ボコボコのバラバラのボキボキにしてやる。
「死ねえ!」
ドガガガッッ‼︎
両足の裏に魔力を圧縮して集めながら走り、地面を右足で踏みつけた瞬間に解放した。
そして、扇状に広がった黒い岩杭を左足を踏みつけると同時に、四人に向かって全弾発射した。
「ただの見掛け倒しだな」
「確かにその通りだ。上に避ければいいが、それが狙いだろう。直進するぞ」
「ああ、楽勝だ!」
数千発の黒岩の矢に向かって、アレンとロビンは回避を選んで、ヴァンとガイの二人は全力で突っ込んできた。
愚かな選択だと言いたいが、二人とも高速で剣を振り回し、槍を突き出し、黒岩の矢を破壊していく。
まあ、そのぐらいはやってもらわないと困る。
「次はこれだ」
ドガガガッッ‼︎
二人が黒岩の矢を突破したタイミングで、周囲の地面から黒岩の壁を大量に突き出した。
攻撃用ではなく、ロビンの矢にいちいち邪魔されるのがムカつくだけだ。
「おい、お前。お前、元隊長だろ? 身内の恥は消させてもらう!」
「俺の顔を覚えていたとは嬉しいね!」
遠くからでも、目が良いロビンには俺の顔が見えていたようだ。
一直線に向かってくる槍使いに対して、大剣を薙ぎ払った。
その攻撃をガイは俺に向かって飛び上がって回避した——
「ハッ! 遅すぎ!」
「お前がな」
そして、そのままゴーレムの胸に槍を突き刺そうとしている。
だが、俺の左腕の丸盾を忘れている。宙を飛んでくる虫に向かって、丸盾をぶちかました。
ガン‼︎
「ぐぅ……!」
殴り飛ばされた槍使いが、黒岩の壁に飛んでいく。
槍の赤い柄で丸盾をガードしていたが、ダメージはあるだろう。
黒壁に派手に激突するのを見届けたいが、もう一人いるのを忘れてない。
「それが本当の実力か?」
「知らねよ」
両刃の剣を抜いた赤髪の黒服男に聞かれたが、そんなのは知らない。
俺が知っているのは、お前達よりも強くなったという事だけだ。
左足の膝から黒い弾丸を容赦なく発射した。
ギィン!
「遅い攻撃だな」
「一発ならな」
頭を狙った一発は簡単に剣で弾かれた。まあいい。
飛び道具はロビンの矢の速さを見慣れているなら、遅く感じるのだろう。
だが、ガイは殴り飛ばせた。つまりは弾けない攻撃は受けるしかないという事だ。
「いっ、痛ぅ! ゴーレムの15~20倍の力がある。止めきれなかった」
そんな殴り飛ばされたガイが平気な感じで戻ってきた。
黒壁を一枚突き破っているのに元気な奴だ。
「40階にいるんだ。遊んでいたら死ぬぞ」
「ハァッ! 遊ぶに決まっている。俺一人でやるから邪魔するなよ」
「邪魔するつもりはないが、俺より早く倒せないなら、邪魔した事になるだろうな」
「ほぉー、じゃあ早い者勝ちか。いいぜ! この不細工な棺桶から元隊長を引き摺り出してやるよ!」
二対一……いや、三対一か。
ロビンの弓なら直線じゃなくて、曲線で上から攻撃すればいいだけだ。
俺を殺さないように、優しくゴーレムの中から引き摺り出して、話でも聞きたいのだろう。
生け捕りとは余裕があるが、それだけ自信があるという事か。
そういえば、あの腰抜けの銀髪野朗はどこに消えやがった。
黒壁の裏に隠れているじゃないのか?
「気をつけろよ。身体のどこからでも弾丸を発射して、棘を生やすそうだ」
「そんなのアレンから聞いてるよ。だけどなぁ……近づかないと倒せないんだぜ!」
ヴァンの忠告を無視して、ガイがダァンと一気に踏み出して攻撃してきた。
右脇を狙った槍の一突きだが、躱す必要はない。
左側にいるヴァンの方が左手の盾を狙って、剣を地面を滑らせている。
コイツらの攻撃方法は、全部切り裂く、全部貫くという単純明快なものだ。
ゴーレムの身体を破壊したいならさせてやる。
服の下の身体に黒岩を纏って、左腰の鞘から剣を抜くと、ガイに向かって構えた。
俺は同じ失敗は二度はしない。ゴーレムが持っているのは、ただの黒岩の大剣だ。
「ハァッ‼︎」
「ぐぅ……!」
ギィン‼︎ 槍が突き刺さると同時に、槍を持つガイの右腕を剣で切りつけた。
だが、硬い手応えと金属音が響いた。服の下に手甲でも着けている。
「チッ」
腕を切断できれば最高だったが、このままでも構わない。
突き刺さった槍を抜けないように岩で押さえ込むと、ゴーレムから飛び出した。
「ハァッ、フゥッ!」
「——ッ‼︎」
両手で握った剣を素早く振り回して、槍を抜けずに逃げたガイを黒壁に追い詰めていく。
振り払い、斬り上げ、蹴り上げる。剣術と体術で槍を手元に戻す時間は与えない。
「やるな、元隊長! だけど、剣ならヴァンの方が上だ。この程度じゃ俺は倒せないぜ!」
「くっ……!」
俺の攻撃を笑みを浮かべて躱し続けた、ガイの右手に赤い柄の槍が現れた。
振り上げようとした剣が、ガンと矛先で受け止められた。
「交代だ。しっかりと防いでくれよ!」
「ぐっ!」
形勢が逆転した。ガイの猛攻が始まった。
デタラメに槍を両手で振り回して、槍先や石突き、柄で俺の手足を中心に強打していく。
地味でイラつく攻撃だが、俺の生け捕りが目標なんだろう。致命傷は避けている。
そして、ヴァンの方はブラックゴーレムの手足を剣の一振りで切断している。
リエラの剣並みに切れ味がある。どこにも逃すつもりはないようだ。
「ぐっ、うぐっ!」
だが、残念だったな。
俺は地面に倒れて、泣きながら降参するつもりはない。
どうせ泣くなら、命乞いの方を選ばさせてもらう。
「フフッ。この身体の持ち主を殺すつもりか?」
「はぁ? 何言ってんだ?」
大きく後方に回避すると、両手を広げて攻撃の意思がないと見せた。
ガイは警戒しているが、話を聞くつもりはあるようだ。
まあ、最初から話をするのが目的なら、攻撃はしないだろう。
「分からぬか? 我が操っているこの身体の持ち主の事だ。知り合いなんじゃないのか?」
「操っているだと? どういう意味だ?」
「クククッ。この男が我の操り人形だという事だ。いや、生きているから人形ではないな。操り人間か?」
声色を変えて、悪の黒幕のような感じで話していく。
俺はこの黒幕に身体を乗っ取られた、哀れな冒険者という設定だ。
これで少しは攻撃しにくくなっただろう。
「へぇー。どうする、ヴァン?」
「そういう事情だったか。道理で強くなったわけだ。だが、元に戻す方法がないなら殺すしかない。さっきもシトラスの風の防壁が間に合わなければ、ホールド達八人が死んでいた」
「なるほどな。だったら、嫌な役は俺が引き受けてやるよ! 悪いな、元隊長。死んでもらうぜ」
ヴァンとガイが話し合った結果、逆に殺しやすくなってしまったようだ。
生け捕りから、完全に殺す方向に変更になった。
「気の早い連中だな。元に戻す方法ならあるぞ。我がコイツの身体から抜ければいいだけだ。ほら、こうやってな……」
だが、そう簡単に殺されるつもりはない。
力が抜けたようにガクンと意識を失うと、ガイとヴァンの二人に見せた。
「うぐっ、痛い、痛い、ヴァン、ガイ、助けてくれ……コイツが俺を無理矢理、うがぁー!」
「おい、どうした⁉︎」
左手を伸ばして、黒幕から普通の声で助けを求めたが、すぐに頭を押さえて苦しみ出した。
「……ふぅー、誰がそこまで喋っていいと言った? この人間風情のゴミ屑の分際で」
「おい、今の声は元隊長か? 何しやがった?」
「いつも通りに躾のなってない家畜に罰を与えただけだ。お前達にも絶望と苦痛を与えてやろうか?」
ガイの方は良い反応をしてくれるのに、ヴァンの方は無反応を決め込んでいる。
そもそも二対一だから、勝てないに決まっている。
一対一ならブラックゴーレムに乗っていれば倒せていた。
だが、状況がヤバイと分かって、少し冷静になってきた。
倒して逃げるから、倒さず逃げるに切り替えないといけない。
くだらない演技で時間稼ぎは出来ている。
あとは周囲の黒壁を中心に向けて飛ば……
「きゃああああ‼︎」
「——ッ‼︎」
突然の悲鳴にビクッと反応してしまった。明らかに女の悲鳴だった。
「副隊長ぉー! 言われた通りに子供を捕まえてきましたよぉー! おい、さっさと歩け!」
「痛いです! 逃げないから離してください!」
「嘘吐くな! さっき逃げただろう!」
俺の黒壁の所為で見えないが、声だけで状況は分かった。
姿を消していた卑怯者のアレンが、メルを捕獲したようだ。
子供を人質にするなんて、人間のする事じゃない。
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