上 下
6 / 12

本望※

しおりを挟む
「俺のことが怖い? 幻滅した? ごめんなアリア。俺は悪い義兄さんだ。だけどこれが本当の俺なんだよ」

 そう言って私の両手首を掴んで頭上に上げさせると、自分が身に着けていたシャツを脱ぎ捨て、それを使って強引に手首を縛り付けた。
 それにより私は身動きが取れなくなる。

「んっ……これ、いや……」
「外したら逃げられてしまうからな。もう絶対に逃がさない。逃がしてやるものか」

 逃げるはずなどないのに。
 だって私もこの先の行為を望んでいるのだから。
 私の心はアンソニーにきつく縛り付けられて離れることはできない。

 彼は何かを誤解しているのだろうか。
 だが先ほどの口付けで与えられた刺激がまだ全身に残っている私は、正常な思考回路を持ち合わせてはいない。
 ぼうっとしながらそんな彼の姿を眺め続けた。

「ここ、すっかり女らしくなって……俺の後をついて回っていた時が懐かしいな」
「んんっ!」

 ツン、と胸の先端を指で押し込められ、そのまま摘まれると、自分のものとは思えない嬌声があがる。
 その甘すぎる声に恥ずかしくなると共に、私も女であったのだという事実を思い知らされた。

「そんな声を出して……その声を他の男の前であげるつもりなのか?」

 ギリリ、と悔しげな表情を浮かべると、アンソニーはそのまま私の膨らみを口に含んだ。
 ちゅうっと吸い上げては舌で押し込み、反対側は指でこねくり回される。
 初めて与えられる強すぎる刺激に、無意識のうちに腰が動き背中が反ってしまう。
 その先に何が待っているのかを知るのが怖くて彼の動きを止めたくなるが、両手を拘束されているため身をよじることしかできない。

「あ、やっ……だめ、お、にい……」
「アンソニー、だ」
「で、でも……んんっ!」

 なかなか名前で呼ぼうとしない私に痺れを切らしたのか、グリッと更に強めに胸の先端を摘み上げられた。
 ビリっと電流が走ったかのような強い感覚に、私は全身の力が抜けてしまう。

「気をやってしまったのか? ……ほら、早くアンソニーと」
「あ、アンソニー……」
「ああ、アリア……」
「んっ……ふうっ……」

 名を口にした途端、感極まったようなアンソニーに再び唇を塞がれてしまった。
 同時に二つの膨らみを両手で強く揉みしだかれ、呼吸する隙も与えないほどの口付けを落とされ続けた私は、意識が遠のきそうになる。

「アリア……」
「え、いたっ……いやっ、痛い!」
「俺のことだけ見ていて。まだ気を失うには早い」

 目を閉じそうになった私を襲ったのは鈍い痛み。
 見ればアンソニーが胸元を強く吸い上げ噛み付いたらしい。
 そこには赤く腫れた痕が残ってしまった。

「見てる……見てる、から……」
「これから俺の全てを受け入れるんだ。いいか、嫌だと言っても絶対にやめてあげられない」
「……やめてなんて……言わないわ」

 ——だって私もあなたと結ばれることをずっと願っていたんだもの。最高の思い出ね。

 私の反応が予想外であったのか、片眉を少し上げたアンソニー。
 だがすぐに元の表情を取り戻して再び私の体に触れ始めた。
いつのまにか脱がされていたドレスは床へと落とされており、私は一糸纏わぬ姿を彼の面前にさらしている。
 胸元から腹にかけて口付けを落としながら、アンソニーは私の足元へと移動して行った。
 そしてゆっくりと両足を開き、その間に顔を埋める。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

憐れな妻は龍の夫から逃れられない

向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。

騎士団長の幼なじみ

入海月子
恋愛
マールは伯爵令嬢。幼なじみの騎士団長のラディアンのことが好き。10歳上の彼はマールのことをかわいがってはくれるけど、異性とは考えてないようで、マールはいつまでも子ども扱い。 あれこれ誘惑してみるものの、笑ってかわされる。 ある日、マールに縁談が来て……。 歳の差、体格差、身分差を書いてみたかったのです。王道のつもりです。

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した

Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

処理中です...