2 / 25
新たなる挑戦
新たなる挑戦
しおりを挟む俺より軽い足取りでオッサンは俺のボールを奪う。
奪われたボールは俺の背中の後ろのゴールに軽く入れられる。
嘘だろ?フットワークじゃ誰にも負けたことの無い俺があんなオッサンに……。
「おう、もう一回やるか?それとも、俺が攻めるか?」
「もう一回だ!さっきは油断しただけだ!怪我するかもしれないが覚悟しろよ!」
俺はそういうとオッサンはニヤっと笑った。
くそ!なめやがって!
俺はオッサンの足を思い切りキックしてやろうとさらに加速して突っ込んだ。
オッサンはニヤニヤしてボーっと立っている。
オッサンがボールを奪いにきた!俺は横にステップしオッサンをかわすとそのままオッサンの足を刈り込んでやった!
オッサンは俺の横を通り過ぎると思うとそのままボールを奪い軽々とゴールした。
「おいおい本気か?マジで頼むぜ。あくびが出てくるわ。次は俺の番だ。いくぞ」
さっきはやられたが次はそうはいかない。絶対に止めてやる!
俺もボクシングじゃ、華麗なステップで定評があったんだ。
オッサンがドリブルしながら走ってくる。なんだ?スキだらけじゃねえーか。
オッサンは俺に向かって走ってくる。
俺は両腕を広げてオッサンの突進を防ぐ準備をした。
オッサンが左右に揺さぶりながら走って来る。
気がつくと俺は抜かれていた。
いつの間に抜いたんだ?わからなかった……。
「ん?なんだ終わりか?終わるなら終わりでいいぞ?」
俺は言葉にならなかった。あんな俺より倍も年上のオッサンに簡単にあしらわれるなんて…….。
「よし!終わりだな。俺の勝ちだ。どうだ少しはスッキリしたか?昼間っから辛気臭い顔してるけどよ。なんだ。ぼんやりして。まあいいわ。じゃあな」
オッサンがそう言って立ち去ろうとする。俺は立ち去ろうとするオッサンに走りより、頭を下げた。
「待ってください!正直なめてました!俺の負けです!サッカーをやらせてください!」
俺はそういうとオッサンに頭を下げたまま、くちびるをかみしめた。血の味がする。負けた味か……,。
「おいおい、お前、サッカーシロウトだろ?シロウトがやれるほど、サッカーは甘くないぜ。悪いことは言わん。帰れ」
「男の約束は絶対です。この通りです。俺は負けました。サッカーやらせてください!」
オッサンは鼻くそをほじくり、指でペンペンとするとニヤッと笑って
「ずいぶん男らしいこと言うじゃねえか。いい身体してるな。なんかやってたのか?」
「はい、ボクシングやってました!それが……事故で右腕の筋を切ってボクシングができなくなってしまって。俺はスポーツで頂点とりたいんです!」
俺がそういうと今度は耳に指を突っ込んで耳くそを取り、指をペンペンしている。
「ボクシングか。どうりでいい身体してると思ったぜ。そうかボクシングができなくなって、ふてくされていたのか。でもよ、3対0で俺の勝ち、サッカーじゃボロ勝ちだぜ。しかもお前は途中棄権。そんな根性でできるのか?」
「俺やります。お願いします。サッカーやらせてください!」
俺がそういうと今度は頭をカリカリかいて何やら難しい顔をして、突然ニカッとすると
「よし、怪我が完全に治ったら来い。とりあえずは入団テスト期間だ。ジャージは貸してやる。スパイクか、スパイクはまだ半人前にもならん奴にはいらん。動きやすいシューズで来い」
そういうと踵を返しておっさんは後ろを向いたまま手を振って、また元の場所に戻って行った。
俺はサッカーがやりたい訳じゃない。あんなオッサンに負けたのがシャクなんだ。
必ず、うまくなって倍にして返してやるぜ。
俺が尻尾を巻いて逃げると思うよ、オッサン。
サッカーなんか好きじゃねえが、負けは必ず返すのが俺の主義だ。
俺は痛む手を押さえながら、グラウンドを後にした。
腕の痛みより、心が痛む。覚悟しろよ!オッサン!
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~
しんいち
キャラ文芸
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。
のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。
彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。
そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。
しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。
その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。
友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる