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新たな始まり
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「ねぇ、この服可愛いと思わないかい?」
「僕に美的センスを求めるのはナンセンスですよ」
男は表情をキリッとさせた。
「何一つうまくないからね。だからそのドヤ顔止めて」
女は呆れた顔で男を見つめる。
「僕のジョークを理解できないとは。先が思いやられますね」
「私に飽きた?」
「……いいえ。残念なことに僕はあなたに恋焦がれているんですよ」
「残念ってどういう意味だい?」
「……すみません。今のあなたには分からないことでした」
「つくづく君は変な男だ。まぁ、いいさ。私はこの服が気に入った」
女はじっと男を見つめる。見つめる。見つめ続ける。
「分かりましたよ。買えばいいんでしょう」
「さすが私の惚れた男だ。分かっているじゃないか」
女はニコリと笑顔を浮かべる。男も釣られるように笑う。
――確かに僕は変な男だ。殺されかけて、なおあなたを愛しているのですから。でも今のあなたは知らない。知らなくていいことだ。
「何がおかしいんだい?」
「いいえ。ただ……」
「やっと巡り合えたと思っただけです」
「僕に美的センスを求めるのはナンセンスですよ」
男は表情をキリッとさせた。
「何一つうまくないからね。だからそのドヤ顔止めて」
女は呆れた顔で男を見つめる。
「僕のジョークを理解できないとは。先が思いやられますね」
「私に飽きた?」
「……いいえ。残念なことに僕はあなたに恋焦がれているんですよ」
「残念ってどういう意味だい?」
「……すみません。今のあなたには分からないことでした」
「つくづく君は変な男だ。まぁ、いいさ。私はこの服が気に入った」
女はじっと男を見つめる。見つめる。見つめ続ける。
「分かりましたよ。買えばいいんでしょう」
「さすが私の惚れた男だ。分かっているじゃないか」
女はニコリと笑顔を浮かべる。男も釣られるように笑う。
――確かに僕は変な男だ。殺されかけて、なおあなたを愛しているのですから。でも今のあなたは知らない。知らなくていいことだ。
「何がおかしいんだい?」
「いいえ。ただ……」
「やっと巡り合えたと思っただけです」
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