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透視能力の結末
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透には透視能力があった。能力は生まれつきのもので、幼い頃から女子の服を透視しては悦に浸っていた。
有機物無機物問わず、すべてを見通すことができる目。何者も何物も透の視線を阻むことはできない。
透視とはそういうものだ。この能力のおかげで透の人生は順風満帆だった。そう――この日までは。
「今日も最高だ。女子を見放題、なんて素晴らしい能力なんだ」
透は男の欲丸出しで、女子に熱い視線を送っている。
「おっ、あの子、可愛い」
一際目立つ緑の髪をなびかせながら、颯爽と歩く女性に透は目をつけた。後をバレないように追いかけ、さりげない足取りで隣に並ぶ。
女性は色の濃いサングラスをかけていた。もったいないと透は思う。
「何か用?」
透はビクリと肩を震わせた。女性は怪訝な目つきで、透を睨んでいる。
「えっと」
透は女性に目を奪われた。サングラスで隠れていて、なお美貌を漂わせる顔立ちにゴクリと喉がなる。
すべてを知りたい。透は透視能力を使った。サングラスの奥の目と視線が合う。
その瞬間、透の時は止まった。
「おい、大変だ! 人が倒れたぞ。誰か救急車を」
「息をしてないわ」
「ピクリとも動かないぞ」
人々の喧騒から、抜け出す影があった。人目を引く緑は逃げるようにその場を後にする。
――どうして? 私サングラスを外していないのに。なぜ彼は石化してしまったの?
有機物無機物問わず、すべてを見通すことができる目。何者も何物も透の視線を阻むことはできない。
透視とはそういうものだ。この能力のおかげで透の人生は順風満帆だった。そう――この日までは。
「今日も最高だ。女子を見放題、なんて素晴らしい能力なんだ」
透は男の欲丸出しで、女子に熱い視線を送っている。
「おっ、あの子、可愛い」
一際目立つ緑の髪をなびかせながら、颯爽と歩く女性に透は目をつけた。後をバレないように追いかけ、さりげない足取りで隣に並ぶ。
女性は色の濃いサングラスをかけていた。もったいないと透は思う。
「何か用?」
透はビクリと肩を震わせた。女性は怪訝な目つきで、透を睨んでいる。
「えっと」
透は女性に目を奪われた。サングラスで隠れていて、なお美貌を漂わせる顔立ちにゴクリと喉がなる。
すべてを知りたい。透は透視能力を使った。サングラスの奥の目と視線が合う。
その瞬間、透の時は止まった。
「おい、大変だ! 人が倒れたぞ。誰か救急車を」
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