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選ばれし者
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世界には致死率九十九.九パーセントのウイルスが蔓延している。だが俺はそのウイルスにかかっても死ぬことなく生き残っている。
なぜなら俺はこの物語の――主人公だからだ。
遡ること二年前、主人公を決定するための選挙が開催された。個性的な面々が立候補していたが、俺は支持率九十九.九パーセントという高記録を叩き出し、見事主人公に選ばれた。
それからというもの俺は“選ばれし者”となった。
合格率一パーセント以下という最難関の高校の試験を突破、幻のツチノコを発見、千年に一人の逸材としてテレビ出演、さらに誰にも落とされることがないと評判だった鉄壁のマドンナを口説き落としものにするなど幸運としか呼べない出来事が次々と降りかかるようになった。
これも主人公の特権である。主人公というのは相応にして少数派、誰にもできないことを容易く行なうことができる、それが“選ばれし者”主人公というものだ。
今から一年前、マッドサイエンティスト山神博士が死の間際、最悪のウイルス『デス』を世界にばら撒いた。世界の人口のおよそ半分は半年も経たずに死亡した。
俺はウイルスにかかるも主人公の特権によって生き延びることができた。最愛の恋人である彼女も、俺の恋人という位置にいるおかげでウイルスの魔の手から逃れている。
そして現在俺はいまや世界でも数少なくなった、ちゃんと機能している病院にいた。今朝飛び込んできたニュースが原因で、病院は大賑わい。
最悪のウイルス『デス』のワクチンが完成、そのニュースは日本だけでなく、世界中に配信された。このワクチンさえあれば、『デス』の被害も恐らく消滅に向かうだろうとのことだった。
俺には主人公の特権というどんなワクチンよりも強力な属性があったが、一応念のためワクチンを打ってもらうことにした。彼女もワクチン接種を受けに病院にやってきている。
ついに俺の番がやってきた。医師は緊張した様子で、俺の腕に注射器を刺した。チクリとした痛みが生じたが、特に問題はない。
俺は彼女に会うため、病室を出た。なぜだか頭が痛い。どうしてだろう? 足元がおぼつかない。ワクチンの副作用なのかもしれない。そう思って気にしないことにした。
しかし痛みはどんどん酷くなっていく。彼女の姿が目に映った。
それが――最後だった。
――ワクチン投与後の生存率九十九.九パーセント。死因“選ばれ死”
なぜなら俺はこの物語の――主人公だからだ。
遡ること二年前、主人公を決定するための選挙が開催された。個性的な面々が立候補していたが、俺は支持率九十九.九パーセントという高記録を叩き出し、見事主人公に選ばれた。
それからというもの俺は“選ばれし者”となった。
合格率一パーセント以下という最難関の高校の試験を突破、幻のツチノコを発見、千年に一人の逸材としてテレビ出演、さらに誰にも落とされることがないと評判だった鉄壁のマドンナを口説き落としものにするなど幸運としか呼べない出来事が次々と降りかかるようになった。
これも主人公の特権である。主人公というのは相応にして少数派、誰にもできないことを容易く行なうことができる、それが“選ばれし者”主人公というものだ。
今から一年前、マッドサイエンティスト山神博士が死の間際、最悪のウイルス『デス』を世界にばら撒いた。世界の人口のおよそ半分は半年も経たずに死亡した。
俺はウイルスにかかるも主人公の特権によって生き延びることができた。最愛の恋人である彼女も、俺の恋人という位置にいるおかげでウイルスの魔の手から逃れている。
そして現在俺はいまや世界でも数少なくなった、ちゃんと機能している病院にいた。今朝飛び込んできたニュースが原因で、病院は大賑わい。
最悪のウイルス『デス』のワクチンが完成、そのニュースは日本だけでなく、世界中に配信された。このワクチンさえあれば、『デス』の被害も恐らく消滅に向かうだろうとのことだった。
俺には主人公の特権というどんなワクチンよりも強力な属性があったが、一応念のためワクチンを打ってもらうことにした。彼女もワクチン接種を受けに病院にやってきている。
ついに俺の番がやってきた。医師は緊張した様子で、俺の腕に注射器を刺した。チクリとした痛みが生じたが、特に問題はない。
俺は彼女に会うため、病室を出た。なぜだか頭が痛い。どうしてだろう? 足元がおぼつかない。ワクチンの副作用なのかもしれない。そう思って気にしないことにした。
しかし痛みはどんどん酷くなっていく。彼女の姿が目に映った。
それが――最後だった。
――ワクチン投与後の生存率九十九.九パーセント。死因“選ばれ死”
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