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番外編 剣士様の筆おろし
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「テメェ、何がおかしい……っ!」
怒りでたぎった瞳をアーロンが向けるが、それをドゥーガルドは鼻で笑って吹き飛ばした。
「……いや。散々人を童貞だの何だの馬鹿にしていたお前がそんな状態になるとはと思ってな。しかしこれで決まったな」
「何がだよ」
険しく眉間に皺を寄せるアーロンから、ドゥーガルドは俺をひょいと抱き抱えて奪った。
「……不全になったお前にソウシは抱けない。つまりソウシは俺のものだ」
とても数時間前まで童貞だった男とは思えない不適な笑みを浮かべてドゥーガルドは言い放った。
「いやいやいや! なにその短絡的思考!? つーか、なんで選択肢がアーロンとドゥーガルドしかないんだよ!」
「……ソウシ、まさか他の男に抱かれたいのか?」
「なんで選択肢が男オンリーなんだよ!」
狂ってやがる!
「え? お前まさかあの小せぇチンコで女を抱く気でいるのか? あはは、ありえねぇ~」
露骨にナイーブな部分を馬鹿にされ俺はキッと目尻をつり上げアーロンの方を振り返った。
「う、うるさい! このインポ野郎!」
「はぁ!? ふざけんなっ! てめぇのせいだろうが! さっさと呪いを解け!」
「だから呪いなんかかけてねぇって言ってんだろ!」
「じゃあ何でこの俺が勃たないんだよ!」
「知るか!」
全く、これじゃあ埒があかない。
ハァと大きくため息を吐くと、唐突にアーロンが俺の体をドゥーガルドから引き剥がした。
ドゥーガルドの眉間に不穏な皺が寄る。
「……アーロン、何をする。ソウシに気安く触るな」
「うるせぇ、一回しただけでデカい面すんな。とりあえず、原因解明のためこいつと今からヤる。邪魔すんな」
「……絶対させない」
怒りの波動を放つドゥーガルドが俺の腕を掴んで取り返そうとしたが、アーロンも力を緩めない。
二人の間でバチバチと火花が飛び散る。
「だから邪魔すんなって言ってんだろうが! この根暗ナイト気取り!」
「……邪魔なのはお前だ。ソウシを離せ。ソウシは今から俺と愛を育むんだ」
「勝手に夢の中で育んでろ! それで一人夢精しとけ、このむっつりロマンチスト! こいつは今から俺が種付けすんだよ!」
ギャアギャアと互いに悪態をつきながら俺の体を引っ張り合う奴らの間で、俺は呆然となっていた。
女の子のよさを分かってもらうために娼館に送り込んだというのに、なんでこいつら俺への執着をこじらせてんだ……?
一体どこで道を間違えたのか……。
俺は涙の滲む溜め息をこぼした。
騒ぎを聞きつけてチェルノが止めに来てくれたのは、もうしばらくしてのことだった。
怒りでたぎった瞳をアーロンが向けるが、それをドゥーガルドは鼻で笑って吹き飛ばした。
「……いや。散々人を童貞だの何だの馬鹿にしていたお前がそんな状態になるとはと思ってな。しかしこれで決まったな」
「何がだよ」
険しく眉間に皺を寄せるアーロンから、ドゥーガルドは俺をひょいと抱き抱えて奪った。
「……不全になったお前にソウシは抱けない。つまりソウシは俺のものだ」
とても数時間前まで童貞だった男とは思えない不適な笑みを浮かべてドゥーガルドは言い放った。
「いやいやいや! なにその短絡的思考!? つーか、なんで選択肢がアーロンとドゥーガルドしかないんだよ!」
「……ソウシ、まさか他の男に抱かれたいのか?」
「なんで選択肢が男オンリーなんだよ!」
狂ってやがる!
「え? お前まさかあの小せぇチンコで女を抱く気でいるのか? あはは、ありえねぇ~」
露骨にナイーブな部分を馬鹿にされ俺はキッと目尻をつり上げアーロンの方を振り返った。
「う、うるさい! このインポ野郎!」
「はぁ!? ふざけんなっ! てめぇのせいだろうが! さっさと呪いを解け!」
「だから呪いなんかかけてねぇって言ってんだろ!」
「じゃあ何でこの俺が勃たないんだよ!」
「知るか!」
全く、これじゃあ埒があかない。
ハァと大きくため息を吐くと、唐突にアーロンが俺の体をドゥーガルドから引き剥がした。
ドゥーガルドの眉間に不穏な皺が寄る。
「……アーロン、何をする。ソウシに気安く触るな」
「うるせぇ、一回しただけでデカい面すんな。とりあえず、原因解明のためこいつと今からヤる。邪魔すんな」
「……絶対させない」
怒りの波動を放つドゥーガルドが俺の腕を掴んで取り返そうとしたが、アーロンも力を緩めない。
二人の間でバチバチと火花が飛び散る。
「だから邪魔すんなって言ってんだろうが! この根暗ナイト気取り!」
「……邪魔なのはお前だ。ソウシを離せ。ソウシは今から俺と愛を育むんだ」
「勝手に夢の中で育んでろ! それで一人夢精しとけ、このむっつりロマンチスト! こいつは今から俺が種付けすんだよ!」
ギャアギャアと互いに悪態をつきながら俺の体を引っ張り合う奴らの間で、俺は呆然となっていた。
女の子のよさを分かってもらうために娼館に送り込んだというのに、なんでこいつら俺への執着をこじらせてんだ……?
一体どこで道を間違えたのか……。
俺は涙の滲む溜め息をこぼした。
騒ぎを聞きつけてチェルノが止めに来てくれたのは、もうしばらくしてのことだった。
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