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番外編 剣士様の筆おろし
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魔法がある世界では呪いも普通にあるのかもしれないが、魔力も何もない俺にそんなものが使えるはずがない。
変な言いがかりはよしてほしい。
どうせ完全に自分が悪い出来事を俺に責任転嫁しようとしているのだろう。
そうはいくかと、下から睨み上げる。
「言っとくけど俺は呪いなんか使えねぇからな」
「はぁ!? ふざけんな! 何見え透いた嘘ついてんだよ!」
俺の頭に押しつけている拳骨がさらにゴリゴリと回転速度を増す。
「いてててて! ちょ、ちょっと待て! このままこれ続けたらマジで頭が燃えるって!」
「じゃあさっさと呪いときやがれ」
「だから俺は呪いとかマジで知らな……っ、いてててて!」
頭に穴がほげそうなほどの痛みと、本当のことを言っているのに信じてもらえず暴力を強いられる理不尽さに泣きそうだ。
「ふざけんなよ……! 俺をこんな体にしておいて!」
「はぁ!?」
訳が分からず涙目で見上げると、アーロンは視線を逸らして苦々しげに舌打ちを漏らした。
そして今までの威勢の良さはどこに行ったのか、ボソボソと小声で言った。
「……いんだよ」
「え?」
「~~~っ、だからっ、お前のせいで勃たなくなったんだよ!」
「はぁぁぁぁ!?」
なんだその俺には一ミクロンも関係のないカミングアウトは。
「お前の下半身の不調なんかしるか! なんで俺のせいなんだよ!」
というか、こんなゲス野郎のモノが不全になったのは、世の女性にはありがたいことじゃないか。
きっと天罰が下ったに違いない。
もしくは今までひどいことしてきた奴らからの呪いか。
それならやっぱり俺のせいにするのはひどい言いがかりだ。
「だからお前が呪いかけたんだろ!」
「なんでそうなる!? 俺は呪いなんかかけられねぇよ!」
「しらばっくれんな! じゃあなんで俺がイキそうになる時にお前の顔が頭によぎるんだよ!」
「はぁ?」
俺はとんでもない発言に目を白黒させた。
そんな俺など無視してアーロンは荒い口調で続けた。
「せっかく可愛い女の子とヤッてんのに、肝心なところでお前のブッサイクな顔が浮かぶんだよ! そしたらなんか分かんねぇけど、その後可愛い女の子の顔を見ても全然勃たねぇんだよっ! どうしてくれんだ!」
半ば狂乱というくらい困惑した様子のアーロンだが、こっちだって困惑している。
どうしてくれんだと言われても……。
え? これって俺が悪いのか?
「……フッ」
すると、今まで静観していたドゥーガルドが口元を手で覆いながら笑い声を漏らした。
最初は肩をふるわせてくつくつと笑っていただけだったが、次第に笑い声が大きくなりついには腹を抱えて笑いだした。
変な言いがかりはよしてほしい。
どうせ完全に自分が悪い出来事を俺に責任転嫁しようとしているのだろう。
そうはいくかと、下から睨み上げる。
「言っとくけど俺は呪いなんか使えねぇからな」
「はぁ!? ふざけんな! 何見え透いた嘘ついてんだよ!」
俺の頭に押しつけている拳骨がさらにゴリゴリと回転速度を増す。
「いてててて! ちょ、ちょっと待て! このままこれ続けたらマジで頭が燃えるって!」
「じゃあさっさと呪いときやがれ」
「だから俺は呪いとかマジで知らな……っ、いてててて!」
頭に穴がほげそうなほどの痛みと、本当のことを言っているのに信じてもらえず暴力を強いられる理不尽さに泣きそうだ。
「ふざけんなよ……! 俺をこんな体にしておいて!」
「はぁ!?」
訳が分からず涙目で見上げると、アーロンは視線を逸らして苦々しげに舌打ちを漏らした。
そして今までの威勢の良さはどこに行ったのか、ボソボソと小声で言った。
「……いんだよ」
「え?」
「~~~っ、だからっ、お前のせいで勃たなくなったんだよ!」
「はぁぁぁぁ!?」
なんだその俺には一ミクロンも関係のないカミングアウトは。
「お前の下半身の不調なんかしるか! なんで俺のせいなんだよ!」
というか、こんなゲス野郎のモノが不全になったのは、世の女性にはありがたいことじゃないか。
きっと天罰が下ったに違いない。
もしくは今までひどいことしてきた奴らからの呪いか。
それならやっぱり俺のせいにするのはひどい言いがかりだ。
「だからお前が呪いかけたんだろ!」
「なんでそうなる!? 俺は呪いなんかかけられねぇよ!」
「しらばっくれんな! じゃあなんで俺がイキそうになる時にお前の顔が頭によぎるんだよ!」
「はぁ?」
俺はとんでもない発言に目を白黒させた。
そんな俺など無視してアーロンは荒い口調で続けた。
「せっかく可愛い女の子とヤッてんのに、肝心なところでお前のブッサイクな顔が浮かぶんだよ! そしたらなんか分かんねぇけど、その後可愛い女の子の顔を見ても全然勃たねぇんだよっ! どうしてくれんだ!」
半ば狂乱というくらい困惑した様子のアーロンだが、こっちだって困惑している。
どうしてくれんだと言われても……。
え? これって俺が悪いのか?
「……フッ」
すると、今まで静観していたドゥーガルドが口元を手で覆いながら笑い声を漏らした。
最初は肩をふるわせてくつくつと笑っていただけだったが、次第に笑い声が大きくなりついには腹を抱えて笑いだした。
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