オビュルタン王室の恋愛事情

〜プロローグ〜

プロローグ

　ここはオビュルタン王国。北に位置するこの王国は厳しい冬はあるものの、海洋資源や鉱物資源などの天然資源に恵まれた豊かな国である。

　そんなオビュルタン王国には5人の王子がいる。厳格な王と快活な王妃の下で跡目争いもなく、王子達は切磋琢磨しながら仲良く成長した——


　第一王子のアンデルソン公爵ユーハン王太子は28歳。2年後の自身の誕生日に即位する事が決定しおり、1年程前から政務の引き継ぎが始まっている。また宰相の娘サラ26歳と既に結婚6年目で4歳の娘エヴァと、1歳6ヶ月の息子エリアスがいる。

　ユーハンは王妃似の端麗な顔立ちで、性格も5人の王子の中では1番王妃に似ており、春風駘蕩シュンプウタイトウな人柄だ。アッシュブロンドの髪色に晴れた日の青空のような水色の瞳をしている。

　妻のサラは見た目はすっきりとした端麗な顔立ちの涼やかなスレンダーな美人であるが、胸元は豊満で所謂ナイスなボディをしている。ユーハンと同様で誰とでも柔らかな口調で気軽に接し、親しみ深い気質。エメラルドのようなグリーンの瞳と、国宝級と謳われる美しいストロベリーブロンドの髪色を持つ。

　ユーハンが9歳の時にサラに一目惚れをし、出会ったその瞬間に婚約を申し込んだ。その話はユーハンとサラの恋物語として、絵本や小説となってオビュルタン王国の国民に広く親しまれている。王国きってのおしどり夫婦である。


　第二王子のコルホネン公爵ミカエル王子は24歳。外交業務を担当しており、1年半前から隣国の帝国の第三皇女であるハンナと婚約している。半年後に両国挙げて婚礼の儀が執り行われる事が決定している。

　ミカエルは王似の精悍な顔立ちで、ダークブロンドの髪色に青味の強いグレーの瞳をしている。現在はハンナの居る帝国に挙式の打ち合わせも兼ねて外交に出ており、長期不在不在中である。誰とでも笑顔で接する為、ユーハンと同様に王妃似の朗らかで親しみ深い性格に見えるが実はかなりのS気質。


　第三王子のイェンセン公爵ラーシュ王子は21歳。20歳の時に公爵位を授かった。剣術に長け僅か10歳から近衛騎士隊に所属し、16歳の時には史上最年少で近衛騎士隊の副隊長補佐を叙任した。王子としては防衛業務を担当しているが、現場の方が性に合うとして現在は近衛騎士隊を離れ、王都を守る第二護衛騎士隊の副隊長を兼任している。

　また王立学院在学中より騎士隊の職務を優先し、学院卒業と共に騎士隊の宿舎で暮らしている。社交嫌いで婚約者も恋人もおらず、毎日山の様に届く釣書と色目を使う令嬢達に辟易している。

　ラーシュは王妃似の端麗な顔立ちで、プラチナブロンドの髪色に濃く鮮やかなブルーサファイアの様な瞳をしている。性格は見た目に反してストイックで豪傑、危険な任務を率先して行う為にラーシュ率いる第二護衛騎士隊は騎士隊の中でも鍛錬が厳しいので有名である。一本気で真面目な気質である為、王族や高位貴族としては致命的。


　第四王子のルーカス王子は16歳。王立学院に通っている。刻苦精励コックセイレイする努力家で文武両道。本来1学年の年齢だが、大変優秀な為に飛び級し2学年として通っている。更に、将来兄達と共に国を治める勉強の一貫として生徒会役員を担っている。

　ルーカスは王似の精悍な顔立ちで、ユーハンと同じアッシュブロンドの髪色に、ミカエルと同じ青味の強いグレーの瞳をしている。『王子然たる』を常に意識し行動しているが、第四王子としての立ち位置を模索している年相応に悩める純情な好青年。


　第五王子のアーチー王子は8歳。幼いながらに王似の精悍な顔立ちで、ユーハンと同じアッシュブロンドの髪色にラーシュと同じ濃く鮮やかなブルーの瞳をしている。大変に優秀で先を見据える能力に関しては傑出ケッシュツしている。

　年の離れた末っ子王子と言う事で王国のアイドル的存在であり、国王陛下夫妻も兄王子達も幼いアーチーには弱い。子供らしく無邪気にしているが、実は無邪気さを計算で演じている腹黒王子。


　性格はそれぞれ異なる5人の王子達。細分化すると見た目に違いはあれど、大まかに言うと5人共にブロンドヘアにブルーアイ、つまり金髪碧眼をしており、5人共にそれぞれ端正な顔立ちをしている。しかしながら、5人の中でも第三王子ラーシュの容姿は人の域を超えている美しさと評される程であった。