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卒業パーティのパートナー。
婚約者の居ない者は身内と参加するのでルフィナは来年入学予定の弟と参加すると言っていた。
ずっと婚約者面をしていたセドナーはレリアンにドレスを贈ったと噂になっているのを聞いたが遂にルフィナには贈ってこなかったらしい。
結局噂止まりで婚約の打診すら来てなかったそうだ。
そんな腹立たしいセドナーがレリアンの腰を抱き、いよいよパーティが始まるぞというタイミングで宣言した。
「ルフィナ・メロウェイ!俺はお前のような身分も低く軽薄で意地の悪い女と婚約しない!お前の悪評を家にバラされたく無ければレリアン嬢に皆の前で謝れ!」
その声に生徒たちは称賛の眼差しでセドナーを応援し、保護者たちはポカンとしている。
「ルフィナ!あなたとは幼なじみだし身分を越えて仲良くしたかったのに!ずっと酷い仕打ちをしてきたあなたをこれ以上庇うなんて出来ない!でも謝ってくれたら許すわ!」
悲恋の噂の2人が学園最後の日に寄り添い悪評高いルフィナを糾弾している。生徒たちは囃し立てる者まで現れる始末だ。
その様に生徒たちの保護者は眉間のしわを深めた。
なんせ糾弾されているのは国内有数の資産家メロウェイ家の令嬢。
事業家のかの家は卒業したら何かと縁があるに越したことのない家だ。
そして糾弾されているルフィナの困惑した様子も保護者の不安を掻き立てた。
「セドナーにいさん、何を言ってるの?」
ルフィナをエスコートして横にいた弟、レフィルはしばらく姉と従兄の顔を交互に見たあと困惑を隠さず言った。
「レフィルは黙っていろ!子供のする話じゃない。ルフィナが悪いことをしたから謝れと言ってるんだ」
ルフィナは困った顔で会場のどこかにいるであろう両親を探しているのかキョロキョロとしている。
その間にレフィルはルフィナをセドナーから庇うように立ち、ハッキリと言った。
「姉さんはもうセドナー兄さん以外の人と婚約が決まってるよ!お祝いをまとめて盛大なパーティを開くことも決まってる!」
レフィルのまだ幼さの残る声はとてもよく響いた。
囃し立てていた生徒たちが「あれ?」と困惑し黙るくらいにはよく通った。
横でルフィナが「しー!」と指を立ててレフィルを止めようとしているがレフィルは止まらない。
「早い家にはもう招待状だって届いてるよ!それにレリアン嬢の言い分だっておかしいんだ!レリアン嬢の家は隣だから母様が夫人に直接渡していたもの!お祝いの中身を伯爵家は知ってるでしょ!」
「お…おかしいって何がよ!」
レリアンがレフィルに食って掛かろうとした時だった。
ラッパが鳴り響き会場の扉が大きく左右に開かれる。
「国王陛下名代、王太子殿下の御成りです!」
皆がさっと扉から一番奥の壇上まで一直線に通れるよう道をあける。
何故王族が来るのかと騒めく生徒たちもいたがその開いた空間に向かって保護者達が頭を下げているのを見て徐々に静まり生徒たちも頭を下げた。
護衛騎士の鎧の音と幾つかの足音が響きしばらくすると壇上の方から声がかかった。
「皆の者、楽にせよ。この度はおめでとう。」
婚約者の居ない者は身内と参加するのでルフィナは来年入学予定の弟と参加すると言っていた。
ずっと婚約者面をしていたセドナーはレリアンにドレスを贈ったと噂になっているのを聞いたが遂にルフィナには贈ってこなかったらしい。
結局噂止まりで婚約の打診すら来てなかったそうだ。
そんな腹立たしいセドナーがレリアンの腰を抱き、いよいよパーティが始まるぞというタイミングで宣言した。
「ルフィナ・メロウェイ!俺はお前のような身分も低く軽薄で意地の悪い女と婚約しない!お前の悪評を家にバラされたく無ければレリアン嬢に皆の前で謝れ!」
その声に生徒たちは称賛の眼差しでセドナーを応援し、保護者たちはポカンとしている。
「ルフィナ!あなたとは幼なじみだし身分を越えて仲良くしたかったのに!ずっと酷い仕打ちをしてきたあなたをこれ以上庇うなんて出来ない!でも謝ってくれたら許すわ!」
悲恋の噂の2人が学園最後の日に寄り添い悪評高いルフィナを糾弾している。生徒たちは囃し立てる者まで現れる始末だ。
その様に生徒たちの保護者は眉間のしわを深めた。
なんせ糾弾されているのは国内有数の資産家メロウェイ家の令嬢。
事業家のかの家は卒業したら何かと縁があるに越したことのない家だ。
そして糾弾されているルフィナの困惑した様子も保護者の不安を掻き立てた。
「セドナーにいさん、何を言ってるの?」
ルフィナをエスコートして横にいた弟、レフィルはしばらく姉と従兄の顔を交互に見たあと困惑を隠さず言った。
「レフィルは黙っていろ!子供のする話じゃない。ルフィナが悪いことをしたから謝れと言ってるんだ」
ルフィナは困った顔で会場のどこかにいるであろう両親を探しているのかキョロキョロとしている。
その間にレフィルはルフィナをセドナーから庇うように立ち、ハッキリと言った。
「姉さんはもうセドナー兄さん以外の人と婚約が決まってるよ!お祝いをまとめて盛大なパーティを開くことも決まってる!」
レフィルのまだ幼さの残る声はとてもよく響いた。
囃し立てていた生徒たちが「あれ?」と困惑し黙るくらいにはよく通った。
横でルフィナが「しー!」と指を立ててレフィルを止めようとしているがレフィルは止まらない。
「早い家にはもう招待状だって届いてるよ!それにレリアン嬢の言い分だっておかしいんだ!レリアン嬢の家は隣だから母様が夫人に直接渡していたもの!お祝いの中身を伯爵家は知ってるでしょ!」
「お…おかしいって何がよ!」
レリアンがレフィルに食って掛かろうとした時だった。
ラッパが鳴り響き会場の扉が大きく左右に開かれる。
「国王陛下名代、王太子殿下の御成りです!」
皆がさっと扉から一番奥の壇上まで一直線に通れるよう道をあける。
何故王族が来るのかと騒めく生徒たちもいたがその開いた空間に向かって保護者達が頭を下げているのを見て徐々に静まり生徒たちも頭を下げた。
護衛騎士の鎧の音と幾つかの足音が響きしばらくすると壇上の方から声がかかった。
「皆の者、楽にせよ。この度はおめでとう。」
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