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18 サマナの叔父
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今日は私とサマナは村に泊まる。
あの冒険ギルド横の宿でガナとターナに教えてもらった方法を使ってディボラ様が荒稼ぎしたものを換金するためだ。
魔石はともかく素材アイテム類は王都に持ち帰っても仕方ないので処分しようとなり、その方法に換金が選ばれた。
…という名目だ。
「サマナはいつ手紙なんて飛ばしてたの?」
私はベッドに腰かけアイテムの目録を確認しているサマナにたずねた。
「んー、小屋に住むようになってからと村に行った後の2回だけですよ。万が一の時の為に念の為です」
サマナの叔父は隠密部隊に所属している。
その叔父に鳩で連絡を取っていたと聞いた時は驚いた。
サマナは情報収集担当、隠密ほどでは無いはずなんだけどほぼ隠密だななんて思いつつサイドテーブルに置いてある小さな手紙を見る。
書いてあるのは今日の日付と冒険者の村に来ること、目印を宿の前に立てるようにという手紙というより指示書だ。
「ディボラ様…本当に帰らないって言い出したらどうしよう」
「うーん…魔石も売れば充分5人で暮らせちゃいそうですもんね」
魔物から採れる素材は物は良いが値が張ると訓練中に騎士たちが話してるのを聞いたことがある。
先ほど査定にきた冒険ギルドの職員も中々に驚いていた。
付けてくれた金額も中々のもので今の暮らしなら充分暮らしていけるし、今回出してない魔石も売れば将来を憂うこと無い程の金額を稼ぐのも難しくないだろう。
「流石に冗談とは思いますけどね。アリア様、反応が素直だからからかわれてるのかもしれません」
そう笑われるとちょっと恥ずかしいけど、あの発言に動揺したのは私だけでは無いはず。
「本気だった時に驚いても知らないからねっ」
プイッとそっぽ向いたら、そういうところだと更に笑われてしまった。
ココンッ…コンコン…
独特なノックの音に首を傾げるとサマナが扉を開けた。
「お待ちしてました、叔父様」
迎え入れられたのは商人のような格好の細身で小柄な男性だった。
「はじめまして。アリア・セイン伯爵令嬢。サマナの叔父です。ウィルターとお呼びください」
「はじめまして、ウィルター卿。本日のご要件はどの様な?」
ウィルター卿が来る理由がディボラ様の意思に反して連れ帰ろうというものならばどうしようか。
ずっと不安に思っていた事である。
今、私には素性を見せてくれているがひとたび仕事となれば隠密として素性を伏せ続けられるだけの実力のある人だ。
戦うにせよ逃げるにせよ分が悪い。
「ディボラ様の事だからさぞかし今の生活を満喫されているのではないですか?」
そう笑いながら話す顔はサマナに似ているが油断は出来ない。
「何か伝えたいことがあったんですよね?どうしたんですか?」
サマナが心配そうに尋ねると優しい表情で彼女の頭を撫でた。
「そう不安に思わなくていい。先に伝えようと思ってな。王は此度のこと、既に存じていらっしゃる。」
あの冒険ギルド横の宿でガナとターナに教えてもらった方法を使ってディボラ様が荒稼ぎしたものを換金するためだ。
魔石はともかく素材アイテム類は王都に持ち帰っても仕方ないので処分しようとなり、その方法に換金が選ばれた。
…という名目だ。
「サマナはいつ手紙なんて飛ばしてたの?」
私はベッドに腰かけアイテムの目録を確認しているサマナにたずねた。
「んー、小屋に住むようになってからと村に行った後の2回だけですよ。万が一の時の為に念の為です」
サマナの叔父は隠密部隊に所属している。
その叔父に鳩で連絡を取っていたと聞いた時は驚いた。
サマナは情報収集担当、隠密ほどでは無いはずなんだけどほぼ隠密だななんて思いつつサイドテーブルに置いてある小さな手紙を見る。
書いてあるのは今日の日付と冒険者の村に来ること、目印を宿の前に立てるようにという手紙というより指示書だ。
「ディボラ様…本当に帰らないって言い出したらどうしよう」
「うーん…魔石も売れば充分5人で暮らせちゃいそうですもんね」
魔物から採れる素材は物は良いが値が張ると訓練中に騎士たちが話してるのを聞いたことがある。
先ほど査定にきた冒険ギルドの職員も中々に驚いていた。
付けてくれた金額も中々のもので今の暮らしなら充分暮らしていけるし、今回出してない魔石も売れば将来を憂うこと無い程の金額を稼ぐのも難しくないだろう。
「流石に冗談とは思いますけどね。アリア様、反応が素直だからからかわれてるのかもしれません」
そう笑われるとちょっと恥ずかしいけど、あの発言に動揺したのは私だけでは無いはず。
「本気だった時に驚いても知らないからねっ」
プイッとそっぽ向いたら、そういうところだと更に笑われてしまった。
ココンッ…コンコン…
独特なノックの音に首を傾げるとサマナが扉を開けた。
「お待ちしてました、叔父様」
迎え入れられたのは商人のような格好の細身で小柄な男性だった。
「はじめまして。アリア・セイン伯爵令嬢。サマナの叔父です。ウィルターとお呼びください」
「はじめまして、ウィルター卿。本日のご要件はどの様な?」
ウィルター卿が来る理由がディボラ様の意思に反して連れ帰ろうというものならばどうしようか。
ずっと不安に思っていた事である。
今、私には素性を見せてくれているがひとたび仕事となれば隠密として素性を伏せ続けられるだけの実力のある人だ。
戦うにせよ逃げるにせよ分が悪い。
「ディボラ様の事だからさぞかし今の生活を満喫されているのではないですか?」
そう笑いながら話す顔はサマナに似ているが油断は出来ない。
「何か伝えたいことがあったんですよね?どうしたんですか?」
サマナが心配そうに尋ねると優しい表情で彼女の頭を撫でた。
「そう不安に思わなくていい。先に伝えようと思ってな。王は此度のこと、既に存じていらっしゃる。」
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