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第7話ーシャルル視点ー
後 ☆
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私は10歳となっても飽きもせず、ミランダの情報を欲して間諜を泳がせ、あの手この手であちらから会いに来るよう画策を続けており、時にそれが失敗して落ち込み、時に功を奏して歓喜する…そんなある意味充実した日々を過ごしていた。
だが恐らく、ミランダは私の思惑を悟った上で、適度な加減で翻弄していたのだろうとは思っている。
あの女は、出会った頃からそういう絶妙な躱し…というか、駆け引きがやたらと上手かった。
「本当に、一体何歳なんだ?」と聞きたい程の手練れっぷりに、私はいつも敵わないと思いながらも、囚われて振り回されることすら嬉しいと思ってしまっていたものだから、重症だった。
そんな3年前のある日のことだった。
「初めて出会う前から愛しているんだ。私の婚約者になってくれ」
ある意味いつものことではあったが、毎回出会う度に決意しつつも、言えないでいた言葉を心の内に繰り返す。
今日こそはしっかり告白して、求婚してやる!
…そんな気合を込めて彼女の訪いを受け、再会する度に女性らしく美しくなっていく想い人に見惚れながら、お決まりの告白シュミレーションを脳内で繰り返していたのだったが……ふと聞こえてきた、彼女の言葉が受け入れられなくて、思わず聞き返してしまう。
「済まない、ちょっと他のことを考えていて……。えっと…もう一度言ってくれないか?」
私は、何事もなかったかのように平静を保ちながら、素知らぬ顔で彼女の言葉を聞き返した。
対して促された彼女は、美しくも底知れない笑みを浮かべて私を見つめ、
「ええ、何度でも申し上げますわ。
私、今まで王太子殿下を始め、他家の方々には明らかにしていませんでしたが、父の跡を継いで侯爵となりたいと思います。
ですので、私は外に嫁ぐことなく、いずれ我が家に遜色のない婿をとる予定です。
そして、この事は父も母も存じております」
………なんて、あまりに残酷な宣告を下してきた。
何も言い出さない内から遠回しに……先手を打って私を拒絶しているのか…?
そう思い、私は一瞬目の前が真っ暗になって、それに対する言葉を返すことができなかったが、その後ジワジワと言葉が頭に染み込んでくると、一気にカッと頭に血が登って目の前が真っ赤になる。
王太子である私の婚約である。
事は国政にすら関わるため、本決まりになるまではと決定的な言葉を言い淀んでしまって来たものの、私達の態度は隠すことなくあからさまなものであった。
また、王宮に出入りする者たちの間では噂になり、好奇の目に晒されていたのも気づいていたはずだ。
そして、敏い侯爵夫妻やこの女が何も気づかなかった訳もなく、その上ダメ押しと言わんばかりに、それとなく国王・王妃経由で打診すらされていたというのに、それをあくまで無碍にしようと言っているのだ。
「………なぜだ」
目の前がグラグラするような衝撃を抱きながら、私はミランダを見つめて問いかけた。
「私達が、お前たちに何度も打診していただろうに、何故王太子妃となることをそこまで厭う?
侯爵家の家格、財力に加えて、その容姿、実績、評判……何一つ断る理由などないだろう。
そして、私がお前をどう思っているのか、わからない程鈍くもないだろうに、何故、私との婚約を避ける?
…そ、そんなに…わ・私のことが…………嫌いなのか?」
言いながら、制御しきれない感情が溢れ出して言葉が震え、思わず涙を堪えながら見つめてしまう。
しかし、優しくも残酷な想い人は、そんな時ですら取り乱すこともなく、ただ哀しそうに
「ごめんなさい」
と、一言だけ短く謝罪した。その姿はしおらしくも儚げに見え…
「ふざけるなっ!!」
私は初めて見るミランダの悲しげな姿に、逆に激高し、声を上げながらミランダの体を壁に押し付けた。
「この様な時ですら、すました顔を崩さず私を誤魔化そうとするのか!?
今までいつでも拒絶することが出来たというのに、何故今更その様な事を言い出した?
私のことを厭っているわけではないのならば、何故私のものにならない?
何故あえて、王太子たる私に嫁ぐことを拒絶しながら、女の身で侯爵となるなどと言うのだ?
お前は何も私に説明しないで、ただ私の前から消え去ろうとしているだけではないか!?」
激情のまま取り乱してミランダの華奢な体を壁に押し付け、間近でその翠緑柱の瞳を見つめながら捲し立てた。
しかし、ミランダは一瞬視線を泳がせ「弟が…」と言いかけたものの、それ以上何も言わず、苦しそうに眉を寄せて私の言葉を受け止める。
その大人びた冷静な瞳に映る自分が、まるでわがままを言って大人を困らせる子供のように映り……たまらなくなって目を閉じ、ミランダの唇に食いついた。
最初は軽く合わせ、柔らかい唇を感じているだけだった。
しかし、その温かくて瑞々しい弾力に徐々に気分が高まり、その甘い唇を味わうように舌を這わし、
「ンちゅ…ぁあ………ずっと、もう一度こうしたかった…」
夢見るように呟くも、何も返事は返ってこない。
…わかってはいたが、その動じない態度に自分の独りよがりであったことを自覚させられ、より一層胸が苦しくなった。
2年前のあの時とは違い、身長差はそれ程開いていないが幾分まだ私のほうが低いため、背伸びをしながら唇を重ね合わせて小さな頭を抱き込んだ。
しかし、ミランダは特に抵抗することもなく……私に応えることもしない。
そのあまりに通常通りの冷静な態度に、萎えるどころか対抗心が芽生え始め、どうにかそのすました姿を乱してやりたくなる。
そして、下唇を口に含み、甘噛みしながら豊かになった胸元を弄ると、ピクンと体が震えるのを感じた。
私はその反応を見逃さず、もう一度反応があった胸の先端周囲をしつこく擦り…少しずつ体が揺れ始めていることに気づいてほくそ笑む。
「へえ、おまえ、ここがイイのか? 反応してるぞ?」
私は耳元で囁きながら、薄いドレスの下で少しずつ形を主張し始めた尖りをなぞり、
「……ぁっ…」
と、か細い吐息を溢し、薄く開いた唇に舌を差し込んだ。
「ん……やぁっ……」
無抵抗を決め込んでいたはずだろうに、侵入させた舌で口の中を弄って、私の手には余る胸を揉み上げると、堪えきれないといった風情で体が揺れる。
そして、いつかされた時の様にミランダの小さな舌を吸い上げてこすり合わせて口蓋を撫でると、ビクンッと体が跳ねた。
「ここがおまえのイイところなんだな…」
そう嗤いながら、何度も口蓋をしつこく舐め擽っては、薄いドレス布越しに固く尖った胸の先を押しつぶすと、
「ぁあンっ!」
と、一際激しい反応を見せ……私に覆いかぶさるように抱きついてきたのだった。
「…おい、なんだ、我慢できなくなったのか?
閨の教師が乳首の性感帯は一際感じやすいと言っていたが…、本当に気持ちいいんだな」
私はその時、ミランダから求められていると誤解して、自分が彼女を翻弄することに成功した喜びに有頂天になっていた。
…そして、調子に乗って押さえつけていた拘束を緩め、されるがままにソファに押し倒されて初めて自分の失敗に気がついた。
私の上に伸し掛かったミランダは、押さえつける腕はそのままでムクリと上体を起こし、唇を舐めながら私を上から見下ろした。
「……お気が済まれましたか? シャルル様」
こんな時になって初めて自ら私の名を呼ぶ艷やかな唇に目を奪われながら、押し付けられて下から見上げる情景に、心臓が跳ねる。
大きな双丘に尖った先端が浮いているのが目に入り、呼吸で上下する微かな動きを注視する。
「………なにをする……」
そう見上げながらもゴクリと喉を鳴らし、思わずこれからおこるだろう期待に声が上ずる。
「なにをする…って。…ふふふ、何をされたいとお望みですか?」
年齢相応に薄く紅で染めた唇で弧を描き、その幼さに不相応な妖しい笑みで見下され、腰のあたりからゾクッとしたものが駆け上がって、思わずフルリと体が揺れた。
「ふふふ……今さっき私がされたように、その唇を奪って、可愛いピンクの舌を絡め取って嬲ってほしいですか?
それよりも、その可愛らしい耳を食んで、首筋に舌を這わせ、慎ましくも卑猥な胸の飾りを吸ってほしいですか?
それとも………先程から固くなって私の腿に擦り付けている恥ずかしがり屋なソレを、いじめてもらいたいですか?」
…口調はあくまで丁寧な物言いであるものの私を見下ろす眼差しは真逆で、まるでモノのように見下されながら卑猥な問いを投げかけられ………
抵抗することも思い浮かばないまま、私はドクドクと高鳴る鼓動を抑えることもせず、
「…………全部……」
と、欲情した獣のように私だけをその眼に映す想い人に呟いた。
そして、現在……私は13歳、ミランダは15歳になっているが……私の想いは増していく一方でありながら、彼女の気持ちに変化は見られず、その関係性もそのままだった。
「あっ…あっ……みら…ミランダ…あぁあっ」
残酷な想い人は、一切の肌を見せることなく今日も無情に私を高ぶらせて、淫らで酷薄な笑みを浮かべながら私を翻弄する。
「シャルル様、ちょっと服の上から擦っているだけなのに、もう限界なのですか?」
そう言いながら、襟元を寛げられて顕になった胸の飾りに口づけては甘噛し、何度も射精してドロドロになった下履き越しに、私の高ぶりを責め立てる。
幼さの残る少女でありながら、年齢にそぐわぬ妖艶な表情で見下されるだけで私の中心は熱を持ち、その鈴を鳴らしたような可憐な声色で卑猥な言葉を囁かれるだけでゾクゾクした。
「シャルル様…もう少し堪える事はできないの? はしたないですわよ?
普段は立派に王太子として振る舞うことができるのに、本当のあなたはこんなに甘えん坊さんだったなんて…
ふふふ、みんなに貴方のその姿を見せてやったら、どうなるんでしょうね…?」
耳元に息を吹きかけられながら耳朶を食まれると体がビクッと跳ねる。
しかし、そうやって誂いを含んだ艶声で詰られても怒りが湧くことはない。
むしろ、逆に希うように瞳を覗き込んで、私を甚振る繊細な指を口に含む。
「みんなに、見せてくれるのか?
私が貴方に囚われて、貴方が私を捕らえている所をみんなに見てもらえるの?」
…それも、悪くはないな。
思わず想像して笑みを溢すと、ミランダは困ったように微笑んで、チュポンと音を立ててその指を引き抜いてしまった。
「本当に、貴方は……」
微かに困ったようにそう言って、まるで見せつけるように、私の唾液に塗れた細い指を卑猥な舌使いでその唇に含むので、まるで自分の性器をしゃぶられているような気がして、うっとりと見惚れてしまう。
そして、そんな私を横目に見ながら、固くなって衣服越しに形を露わにする性器を手荒く扱き始め…
「あっあっあっ……はげしっ……」
と、頭を左右に振りながら取り乱す私を睥睨し、女のように高い声を上げて達する私を深い笑みで見守っていたのだった。
同じ想いを返してくれることはなくとも、その欲に染まった翠の宝石に自分だけを映してくれる一時があるならば……
今はまだ焦らずに、いずれその手に堕ちる時がくるのを待つことができる。
何年時が経とうとも。
…そう、思った。
だが恐らく、ミランダは私の思惑を悟った上で、適度な加減で翻弄していたのだろうとは思っている。
あの女は、出会った頃からそういう絶妙な躱し…というか、駆け引きがやたらと上手かった。
「本当に、一体何歳なんだ?」と聞きたい程の手練れっぷりに、私はいつも敵わないと思いながらも、囚われて振り回されることすら嬉しいと思ってしまっていたものだから、重症だった。
そんな3年前のある日のことだった。
「初めて出会う前から愛しているんだ。私の婚約者になってくれ」
ある意味いつものことではあったが、毎回出会う度に決意しつつも、言えないでいた言葉を心の内に繰り返す。
今日こそはしっかり告白して、求婚してやる!
…そんな気合を込めて彼女の訪いを受け、再会する度に女性らしく美しくなっていく想い人に見惚れながら、お決まりの告白シュミレーションを脳内で繰り返していたのだったが……ふと聞こえてきた、彼女の言葉が受け入れられなくて、思わず聞き返してしまう。
「済まない、ちょっと他のことを考えていて……。えっと…もう一度言ってくれないか?」
私は、何事もなかったかのように平静を保ちながら、素知らぬ顔で彼女の言葉を聞き返した。
対して促された彼女は、美しくも底知れない笑みを浮かべて私を見つめ、
「ええ、何度でも申し上げますわ。
私、今まで王太子殿下を始め、他家の方々には明らかにしていませんでしたが、父の跡を継いで侯爵となりたいと思います。
ですので、私は外に嫁ぐことなく、いずれ我が家に遜色のない婿をとる予定です。
そして、この事は父も母も存じております」
………なんて、あまりに残酷な宣告を下してきた。
何も言い出さない内から遠回しに……先手を打って私を拒絶しているのか…?
そう思い、私は一瞬目の前が真っ暗になって、それに対する言葉を返すことができなかったが、その後ジワジワと言葉が頭に染み込んでくると、一気にカッと頭に血が登って目の前が真っ赤になる。
王太子である私の婚約である。
事は国政にすら関わるため、本決まりになるまではと決定的な言葉を言い淀んでしまって来たものの、私達の態度は隠すことなくあからさまなものであった。
また、王宮に出入りする者たちの間では噂になり、好奇の目に晒されていたのも気づいていたはずだ。
そして、敏い侯爵夫妻やこの女が何も気づかなかった訳もなく、その上ダメ押しと言わんばかりに、それとなく国王・王妃経由で打診すらされていたというのに、それをあくまで無碍にしようと言っているのだ。
「………なぜだ」
目の前がグラグラするような衝撃を抱きながら、私はミランダを見つめて問いかけた。
「私達が、お前たちに何度も打診していただろうに、何故王太子妃となることをそこまで厭う?
侯爵家の家格、財力に加えて、その容姿、実績、評判……何一つ断る理由などないだろう。
そして、私がお前をどう思っているのか、わからない程鈍くもないだろうに、何故、私との婚約を避ける?
…そ、そんなに…わ・私のことが…………嫌いなのか?」
言いながら、制御しきれない感情が溢れ出して言葉が震え、思わず涙を堪えながら見つめてしまう。
しかし、優しくも残酷な想い人は、そんな時ですら取り乱すこともなく、ただ哀しそうに
「ごめんなさい」
と、一言だけ短く謝罪した。その姿はしおらしくも儚げに見え…
「ふざけるなっ!!」
私は初めて見るミランダの悲しげな姿に、逆に激高し、声を上げながらミランダの体を壁に押し付けた。
「この様な時ですら、すました顔を崩さず私を誤魔化そうとするのか!?
今までいつでも拒絶することが出来たというのに、何故今更その様な事を言い出した?
私のことを厭っているわけではないのならば、何故私のものにならない?
何故あえて、王太子たる私に嫁ぐことを拒絶しながら、女の身で侯爵となるなどと言うのだ?
お前は何も私に説明しないで、ただ私の前から消え去ろうとしているだけではないか!?」
激情のまま取り乱してミランダの華奢な体を壁に押し付け、間近でその翠緑柱の瞳を見つめながら捲し立てた。
しかし、ミランダは一瞬視線を泳がせ「弟が…」と言いかけたものの、それ以上何も言わず、苦しそうに眉を寄せて私の言葉を受け止める。
その大人びた冷静な瞳に映る自分が、まるでわがままを言って大人を困らせる子供のように映り……たまらなくなって目を閉じ、ミランダの唇に食いついた。
最初は軽く合わせ、柔らかい唇を感じているだけだった。
しかし、その温かくて瑞々しい弾力に徐々に気分が高まり、その甘い唇を味わうように舌を這わし、
「ンちゅ…ぁあ………ずっと、もう一度こうしたかった…」
夢見るように呟くも、何も返事は返ってこない。
…わかってはいたが、その動じない態度に自分の独りよがりであったことを自覚させられ、より一層胸が苦しくなった。
2年前のあの時とは違い、身長差はそれ程開いていないが幾分まだ私のほうが低いため、背伸びをしながら唇を重ね合わせて小さな頭を抱き込んだ。
しかし、ミランダは特に抵抗することもなく……私に応えることもしない。
そのあまりに通常通りの冷静な態度に、萎えるどころか対抗心が芽生え始め、どうにかそのすました姿を乱してやりたくなる。
そして、下唇を口に含み、甘噛みしながら豊かになった胸元を弄ると、ピクンと体が震えるのを感じた。
私はその反応を見逃さず、もう一度反応があった胸の先端周囲をしつこく擦り…少しずつ体が揺れ始めていることに気づいてほくそ笑む。
「へえ、おまえ、ここがイイのか? 反応してるぞ?」
私は耳元で囁きながら、薄いドレスの下で少しずつ形を主張し始めた尖りをなぞり、
「……ぁっ…」
と、か細い吐息を溢し、薄く開いた唇に舌を差し込んだ。
「ん……やぁっ……」
無抵抗を決め込んでいたはずだろうに、侵入させた舌で口の中を弄って、私の手には余る胸を揉み上げると、堪えきれないといった風情で体が揺れる。
そして、いつかされた時の様にミランダの小さな舌を吸い上げてこすり合わせて口蓋を撫でると、ビクンッと体が跳ねた。
「ここがおまえのイイところなんだな…」
そう嗤いながら、何度も口蓋をしつこく舐め擽っては、薄いドレス布越しに固く尖った胸の先を押しつぶすと、
「ぁあンっ!」
と、一際激しい反応を見せ……私に覆いかぶさるように抱きついてきたのだった。
「…おい、なんだ、我慢できなくなったのか?
閨の教師が乳首の性感帯は一際感じやすいと言っていたが…、本当に気持ちいいんだな」
私はその時、ミランダから求められていると誤解して、自分が彼女を翻弄することに成功した喜びに有頂天になっていた。
…そして、調子に乗って押さえつけていた拘束を緩め、されるがままにソファに押し倒されて初めて自分の失敗に気がついた。
私の上に伸し掛かったミランダは、押さえつける腕はそのままでムクリと上体を起こし、唇を舐めながら私を上から見下ろした。
「……お気が済まれましたか? シャルル様」
こんな時になって初めて自ら私の名を呼ぶ艷やかな唇に目を奪われながら、押し付けられて下から見上げる情景に、心臓が跳ねる。
大きな双丘に尖った先端が浮いているのが目に入り、呼吸で上下する微かな動きを注視する。
「………なにをする……」
そう見上げながらもゴクリと喉を鳴らし、思わずこれからおこるだろう期待に声が上ずる。
「なにをする…って。…ふふふ、何をされたいとお望みですか?」
年齢相応に薄く紅で染めた唇で弧を描き、その幼さに不相応な妖しい笑みで見下され、腰のあたりからゾクッとしたものが駆け上がって、思わずフルリと体が揺れた。
「ふふふ……今さっき私がされたように、その唇を奪って、可愛いピンクの舌を絡め取って嬲ってほしいですか?
それよりも、その可愛らしい耳を食んで、首筋に舌を這わせ、慎ましくも卑猥な胸の飾りを吸ってほしいですか?
それとも………先程から固くなって私の腿に擦り付けている恥ずかしがり屋なソレを、いじめてもらいたいですか?」
…口調はあくまで丁寧な物言いであるものの私を見下ろす眼差しは真逆で、まるでモノのように見下されながら卑猥な問いを投げかけられ………
抵抗することも思い浮かばないまま、私はドクドクと高鳴る鼓動を抑えることもせず、
「…………全部……」
と、欲情した獣のように私だけをその眼に映す想い人に呟いた。
そして、現在……私は13歳、ミランダは15歳になっているが……私の想いは増していく一方でありながら、彼女の気持ちに変化は見られず、その関係性もそのままだった。
「あっ…あっ……みら…ミランダ…あぁあっ」
残酷な想い人は、一切の肌を見せることなく今日も無情に私を高ぶらせて、淫らで酷薄な笑みを浮かべながら私を翻弄する。
「シャルル様、ちょっと服の上から擦っているだけなのに、もう限界なのですか?」
そう言いながら、襟元を寛げられて顕になった胸の飾りに口づけては甘噛し、何度も射精してドロドロになった下履き越しに、私の高ぶりを責め立てる。
幼さの残る少女でありながら、年齢にそぐわぬ妖艶な表情で見下されるだけで私の中心は熱を持ち、その鈴を鳴らしたような可憐な声色で卑猥な言葉を囁かれるだけでゾクゾクした。
「シャルル様…もう少し堪える事はできないの? はしたないですわよ?
普段は立派に王太子として振る舞うことができるのに、本当のあなたはこんなに甘えん坊さんだったなんて…
ふふふ、みんなに貴方のその姿を見せてやったら、どうなるんでしょうね…?」
耳元に息を吹きかけられながら耳朶を食まれると体がビクッと跳ねる。
しかし、そうやって誂いを含んだ艶声で詰られても怒りが湧くことはない。
むしろ、逆に希うように瞳を覗き込んで、私を甚振る繊細な指を口に含む。
「みんなに、見せてくれるのか?
私が貴方に囚われて、貴方が私を捕らえている所をみんなに見てもらえるの?」
…それも、悪くはないな。
思わず想像して笑みを溢すと、ミランダは困ったように微笑んで、チュポンと音を立ててその指を引き抜いてしまった。
「本当に、貴方は……」
微かに困ったようにそう言って、まるで見せつけるように、私の唾液に塗れた細い指を卑猥な舌使いでその唇に含むので、まるで自分の性器をしゃぶられているような気がして、うっとりと見惚れてしまう。
そして、そんな私を横目に見ながら、固くなって衣服越しに形を露わにする性器を手荒く扱き始め…
「あっあっあっ……はげしっ……」
と、頭を左右に振りながら取り乱す私を睥睨し、女のように高い声を上げて達する私を深い笑みで見守っていたのだった。
同じ想いを返してくれることはなくとも、その欲に染まった翠の宝石に自分だけを映してくれる一時があるならば……
今はまだ焦らずに、いずれその手に堕ちる時がくるのを待つことができる。
何年時が経とうとも。
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