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異世界トリップは突然に

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突然、まさしく目の前に突然と現れたのは、森。


え?森?どうして?



私は、スーパーで買い物をした帰りに、ちょっといつもと違うルートで帰ろうと公園を横切り、路地裏を通り抜けた瞬間、森の中に居るのだ。

右手には、スーパーの袋。
右肩から斜めかけの鞄。


私は、白昼夢でも見てるの?


私は、ここで焦っても良くないと思い、私だけが森に見えていて、周りでは「この人なに?何かおかしくない?」と騒ぎだしてしまう可能性もある。


私は、そっと大きな木の影に腰をおろした。


「えっと、スーパーで買い物した中に、すぐにお昼で食べようと思ってたサンドイッチとコーヒーがあったはず。まずは、ここでランチタイムにしよう!」


何かよくわからないけど、ランチしている間に何事もなく元に戻れるかもしれないから、気を落ち着かせて、まずは腹ごなしをしよう。



玉子とツナのサンドイッチ、ちょっと多めに買っといて良かった!
早速、袋から出してパクパク食べてると、足音が聞こえてきた。

えっ!人?熊だったらどうしよう?


ドキドキしながら、木の影に隠れて様子を伺うと、フラフラと足元がおぼつかなない足取りで、成人した男性が歩いてきていた。

様子がおかしくない?何か今にも倒れそうだけど、声をかけたら変質者だったら怖い!


更に注意して見ていると、ついにバタリと倒れてしまった。

「ちょ!た、助けないと!」


さっきまでの恐怖より、人助けをしなければ、という意識が優先されて、倒れた男性に近より声をかける。

「どうされました?ケガをされてますか?」

倒れた男性は、声を掛けられて驚いたのか、警戒してフードで顔を隠した。

「た、大したことはない。は、腹が減ってるだけだ」


その声を後押しするように盛大に、お腹の音がグーと鳴り響いた。

私は、ホッとすると、先ほど座っていた場所まで戻り、サンドイッチを持って倒れた男性に手渡した。


「こ、これは?」

「玉子とツナのサンドイッチです。少しで申し訳ないですが、良ければ召し上がってください」


男は、初めてサンドイッチを見たかのような、不思議な顔をしていたが、覚悟を決めたかのように、一口をそっと食べると、目を大きく見開き勢いよく食べ始めた。

そんなに量もあったわけではないので、あっという間に食べ終わってしまったので、男は悲しげだ。
まだお腹が空いているのだろう。


男は、先ほどより落ち着いてようで、自分の無礼に気がついたようだ。
男はフードを卸した。

「サンドイッチというのは、初めていただきました。大変美味しい貴重な食べ物をありがとうございます」


お礼を言い、頭を下げた男は、金髪で青い瞳のかなりのイケメンだった。

映画俳優さんではなかろうか?しかも日本語が上手すぎる。


「サンドイッチ初めてなんですか?日本語上手ですね」

私は、何気なく質問すると、男は頭を傾げながらも答えた。

「日本語とは?君も僕と同じザテル語を話してるけど、顔立ちや髪の毛、瞳の色は見たことがない。君はどこから来たの?」


そこで、私は、やっと今の現状が異常事態であったことを思い出す。
突然の森の中、現れた異国風のイケメン、同じ言語。


私は、最近、小説にアニメの物語としてある空想の中の出来事としか思わなかった「異世界に転移」をしてしまったのではなかろうか?


そして、私は偶然にも出会ったこの男性から、少しでも多くの情報を手にしないと、かなり危険な立ち位置にいるのでは?


小説には、異世界転移すると、聖女やら勇者やらと崇めるものから、奴隷落ちとか、魔物とかとすぐに戦うことになったりと、かなり幅広い。
誰かが私を召還して、失敗して森の中ということも考えられるし、ただ私が次元の間に迷い込んだということもありえる。

呼ばれた感覚なかったしね。


「どうかした?」


男性は、心配そうにこちらを見ているが、彼もお腹が空いて元気がなさそうだ。

「すいません、あなたが信用できる人なのか私は判断できないのですが、私、迷い込んだらこの森の中に居たんです。ここがどこかも知りません。私は、木本麗奈、レイナ キモト と言います」


「迷い込んだ?君は、別のどこからか突然来たってこと?レイナ?」

う、イケメンだから許される名前の呼び捨て。


「はい。突然でビックリして、とりあえずランチタイムしてたところに、あなたが現れて」

「え?」

「?」

「突然、目の前が森の中で、普通ランチタイムしないよね?」


このイケメンは、私がかなり普通ではないと言いたいらしい。
ビックリしすぎではなかろうか?


「いや、驚いたからこそ、落ち着く為にランチタイムにしたんですよ?」


私は、私の正当性を訴える。


「クッ、アハッ、アハハ!お、おかしい!」


このイケメンは、どうやら失礼な御仁のようだ。
サンドイッチあげたのに。
ムッと私がむくれてるのに気付いて、慌てて取り繕いだけどもう遅い。


「ご、ごめん、ごめん。まさか突然のトラブルにそう冷静な判断が出来る人が居るとは思わなかったんだよ」


まぁ?冷静な判断が誰でも出来るわけじゃないですからね?
私は、すっかり機嫌がよくなった。
私って、チョロいんだね。


「レイナ、僕の名前は、ローウェン。この森を抜けた先に国境があってね、隣の国アルソードを目指してる」


「ローウェンさん、ですね。アルソード国」


「そこで、レイナ、君の選択肢なんだけど、君がどうしたいかだけど、いくつか提案するよ」

「はい、聞かせてください」


「まず、この国に残りこの国王に助けを求める」

「その際のメリットと、デメリットは?」


ローウェンは、クスリと笑う


「そうだね、メリットは、生活に困らないことかな?デメリットは、間違いなく利用されることかな?」

「間違いなくというのは、何か根拠があるのですか?」

「根拠か。そう言われると無い。無いが、この国は些かきな臭い国で、利用できるものは何でも利用してきた国なんだ。だから、利用されると思ってるのは僕の個人的意見だよ」

「分かりました」

「それから、これが僕のお勧めだけど、僕と隣のアルソードへ行かないか?僕は、アルソードなら伝手もあるし、君の生活の手助けもしてあげられるよ」


「それは、ローウェンさんにとって得にはならないですよね?」

優しくされ過ぎても、裏があるような気がするのだ。
ローウェンにとっても得になることがないのであれば、ただの重荷になってしまう。


「レイナは慎重派だね。でも、それでいい。実は、僕はこの国で襲われてね、何とか命からがら助かったわけだけど、水も食糧もないときていて、実際すごくピンチなんだ」


まあ、そうか、じゃなきゃ倒れないよね。


「レイナは、食糧ってあとどのくらいある?この森を抜けるまでの食糧があれば何とかなるんだ。お金はあるから、森を出たら僕が何とかするよ」


私の食糧が切り札となるわけね。


「森を抜けるまで、どのくらいかかるんですか?」

私は、とても不安になった。


「ここは、森の中心くらいだから、あとは、戻っても突き進んでも3日か4日くらいかな」


私は、木の根元に置いておいたスーパーの袋をローウェンの前に置いた。

「これが、私が持っている食糧です」

「おー、見てもいいかい?」


私は、頷くと、袋から一つずつ袋から取り出した。


キャベツ一玉、玉ねぎ2玉、卵1パック、豚バラ肉500g、竹輪一袋、粗びきソーセージ500g ロールパン5個 ヤクルト10本セット

と、先ほどランチの残りのコーヒーと私の食べかけのサンドイッチ少々。



「す、すごい!見たことのないものばかりだけど、新鮮な食材って分かるよ!」

見たことのない野菜ってことは、キャベツと玉ねぎもないわけ?
今後の食生活に不安が残る。



私は、異世界転移をして、ローウェンと出会い、隣のアルソード国へ行くことを決めたのだった。


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