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朝食はパンケーキ

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心臓がドキドキしながら家に帰ると、玄関に丁度陽介が来ていた。

「あれ?今ジョギング帰り?今日は遅かったな。パンケーキ焼いたから持ってきたよ」
「あ、ありがとう!ちょ、ちょっとだけ待っててくれる?あ、やっぱり後からカフェオレ持ってくから家で待ってて」
パンケーキ受け取りながら、慌てて言う
陽介は、ちょっと不可思議な顔をしたが、特に何も言わずにわかったと言って帰った。

私、テンパり過ぎ?真斗に朝から告白されるなんて思ってもいなくて混乱してる

はぁ、初めて告白されてしまった!

赤い顔を陽介に気付かれなかったよね?パタパタ顔を扇ぎながら、速攻でシャワーを浴びて、制服に着替えて、カフェオレを作る。
一応、私と陽介の分。

「お母さん、陽介のとこに、パンケーキのお礼にカフェオレ持ってくね」
「それなら、あんたのパンケーキ、陽介君達のとこで一緒に食べてきたら?そのまま学校に一緒に行きなさいよ」
「そ、そうかぁ、向こうに行ったら、すぐにこっちに戻れなかったらパンケーキ食べる暇がなくなっちゃうもんね。わかった、行ってくるね。お母さんの分、これね」
と切り分けたパンケーキを見るとお母さんが嬉しそうに、ニッコリした。
陽介のパンケーキは、うちに大人気なんだよね。

陽介のうちには、最近来てなかったなと思いつつ、チャイムを鳴らす

ドアから出てきたのは、陽介にそっくりだが宗介の方だ
「お、華?おはよう。モーニングコールないから寝過ごしたぞ」
責めるような言葉とは裏腹に優しい眼差しで言う

「何度もモーニングコールしても出ないからやめたの。宗ちゃんは陽ちゃんに起こしてもらえばいいでしょ?」
私は、仕方がないってため息をつきながら言うと、宗ちゃんは「華に起こされたい」ってブツブツ言ってる

そこに陽介もやってきた。

「華、もってきてくれたの?」
陽介が嬉しそうに微笑むと宗介がすかさずに聞く
「お、おい!何の話?は、華?何を持ってきたの?」
「えっと、陽ちゃんがパンケーキ焼いてくれたお礼にカフェオレ作ってきたの。宗ちゃんはブラックが好きだって陽ちゃんが言うから、飲み物は陽ちゃんに任せてるから大丈夫だよ?」
なんか途中から顔が暗くなってきたので最後は疑問系になってしまった

「陽ちゃん、ブラック用意してあるんだよね?」
「もちろん、宗介には俺がブラックの準備してあるからいいよ。華、それは俺がもらってもいいの?」
陽介が私のもっている紙袋を指差す

「あのね、私もここで食べてっていい?陽ちゃんが焼いてくれたパンケーキ持ってきたの。それで食べ終わったら一緒に学校に行こうと思って」
陽介がパァと笑顔になる
「もちろん、華一緒に食べよう!ほら、宗介も席に座って、座って」
「は、華?俺もカフェオレ飲みたいな」
宗介が甘えたような声を出してきた
「え、宗ちゃんはブラック派じゃないの?」
「ブラック派だけど、華が作ったもんなら甘くても、塩っぱくても飲みたいの!」
ほ、ほんとに?それは衝撃だ。でも、あるのは陽ちゃんと自分の分だけ。

う、う、う。しょーがないか。
「じゃ、宗ちゃんには私の分あげるよ。はい、どーぞ」
「これ、華の?それだと華がブラック?華はブラック飲めないし。でも、陽介ばっかりズルイし・・」

わかった、というように宗介がカップにストローを2つ刺した。
ニコリ
「華、一緒に飲もう?」
無邪気な笑顔、辛い!
「え、いやいや?それはおかしいよね?幼馴染がドリンクでストローを2つで飲むのは恋人同士だけだよね?」
「じゃ、なろう?恋人同士」
「え?」
あれ?デジャヴ?さっきもなかった?こんなやり取り!!
まさか、宗ちゃんまで?
いやいや、そんな。同じ日に2人から告白なんて無い無い!
私は、思い過ごしだと決めつけた。

「宗ちゃん、宗ちゃんは大事な幼馴染なの。恋人は、これからきっと宗ちゃんに出来るから。ねっ?」
私は、これで解決したかと思ったが、宗介がものすごく傷付いたような顔をした。
「華は、俺と恋人になるのが嫌なんだ?俺死にたい」
え!死にたい?
「宗ちゃん?どうしてそうなるの?死にたいなんて冗談でも言っちゃダメ!」
「だ、だって、俺は華が好きで好きで仕方がないのに、華は違うんだろ?死にたくもなるよ」
う、まさかの本日2回目の告白。

私は、パンケーキとカフェオレにありつけるの??はぁ、とため息ついたところで、異常な雰囲気を察知して陽ちゃんが戻ってきた。
「宗介、お前何勝手にぬけがけしてるの?朝忙しいのに。華が朝食も食べずに困ってるだろ?席につけ、席に」
陽ちゃんは、頭をポンポンと乗せると顔を覗き込んできた
「華?一緒に食べよう?カフェオレは宗介にやんなくていいから。おいで」

陽介手を引っ張られ席に座らされる

陽介は、テキパキと準備を整え、私のテーブルの前に、持ってきたパンケーキにベーコンと半熟目玉焼きをトッピングしてぬれて、コップにカフェを入れ替えてくれた
「宗介は、ブラック。華のカフェオレは、今日は俺の為に淹れてくれたのだから我慢するように。分かった?」
陽介は、いつになく底冷えするような威嚇した声で宗ちゃんに言った。
宗介も悔しそうな顔をしながら、こっちをチラッて見て、諦めたように「分かった」
と聞こえた。

少し?空気が悪くなってしまったけど、やっと朝食が食べれるよ。
陽ちゃんのパンケーキ、待ってました!
「いただきまーす」
モグモグ、うーん、し、幸せ。
そんな甘くないけど、フンワリと柔らかくてシットリ。ベーコンと食べると塩味がまたアクセントになって美味しい~!

ニコニコ。
パクリ!「~っ、お、美味しい!陽ちゃん、腕上げた?前より厚めで、フンワリしててホントに美味しい!」

陽介と宗介は何故か顔を下に向けてプルプルしている
どうしたの?大丈夫かな?

陽介が照れた顔をこっちに向けて、嬉しそうに笑った。
「やっぱり華が美味しいって食べる顔、一番のご褒美だよ」
そ、そうかな?言い過ぎじゃない?

宗介も、うん、うんって頷いている
「華、さっきの話は、俺本気だからね。陽介、俺いつまでも仲良し4人組じゃなくて、華の特別になりたい。陽介は?」

ひ、ひぇっ!話題が変わったと思って油断してたら、流れ玉に当たった気分!ズガーン!

困った顔をして、陽介と宗介の顔を見ると陽介も覚悟をきめた顔をしてこっちを見た。

え、ま、まさか陽介もじゃないよね?

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