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プロローグ
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窓から外を眺めると秋から冬に向かっていることが分かった。
景色でしか、季節が分からない。
手に持った本は、「美味しい野菜作り」。
いつか種からお野菜を作ってみたり、田んぼに稲も入れたりしてお米作りもやってみたい。
美味しい料理を作ったのを「美味しい」って食べてもらったらどんなに嬉しいだろう?
次、生まれ変わったら、今の人生の分も一生懸命生きよう。
私は、本をテーブルに置くと、ふと睡魔に襲われて目を閉じる。
ググっと意識が一気に真っ暗になる。
目が醒めると、見知らぬ天井・・。
豪華な天蓋付きベッド?
2つ3つ、4つ並べた大きな枕に大きなベッドにどうやら私は寝ているようだ。
病院からどこかに移されたのかしら?
もしかして、余命が少ない人が入る特別な部屋なのかも。
でも、おかしいわ。
息苦しさが全然ない。身体が軽い?
起き上がってみても、いつものような体の重さがない。
手を見てみると・・。
「えっ?」
小さな手に腕、そして布団を捲ると小さな足。
全てが縮んでいる!?
キョロキョロと見渡すと、部屋の片隅に大きな鏡が置いてあった。
私は、ベットから降りると鏡に向かって歩いた。
歩くことのなんと軽やかこと!
私は、何故か不安と期待と胸がドキドキしながら鏡の前に立つ。
そこにはー。
銀髪の幼女がそこにいた。
幼いながらに、大きな瞳と長い睫毛は、将来とても美しくなる予感を秘めている。
「か、可愛い・・。え、こ、これ私なの?」
私が話すと鏡の前の女の子も口を動かしたり、驚いた顔をしている。
お、同じ動きだよね?
突然、部屋のドアが開き、女性が入ってきて、先程私が寝ていたベットに近づいた。
「え、ミリアム様?ミリアム様がいないわっ」
女性が驚くと、慌てて部屋の照明を点けた。
部屋が明るくなる。
私は、この部屋がかなり広くて豪華であることを知った。
そして、女性と目が合う。
「ミリアム様!そこに居たのですね!突然、ベットから姿が見えなくて心配しましたよ」
女性は、メイドのような黒いワンピースに白いエプロンを着て、髪を後ろでしっかりと纏めいる。年は20歳くらい?
中々若くて綺麗なお姉さんだけど、誰だろ?
「え、あのミリアムって私のこと?」
私は、ここがどこか、自分が誰かも分からないのでこの人に聞いてみようと思って声を掛けたのだが。
「ま、まさかミリアム様、私のことも分からないのでしょうか?」
「は、はい。すいません。初めましてではないのですよね?」
その女性は、顔を青ざめて、ウロウロと部屋を行ったり来たり始めた。
そして、ピタリと足を止め、こちらに来た。
「すいません、大変取り乱してしまいました。私は、あなた様にお仕えしております、侍女のケイリーと申します。そして、あなた様は、この国の王女様です。名前は、ミリアム・フォン・イル・オンディーヌ様です。思い出しませんか?」
私がこの国の王女様?
ミリアムナントカ?
私は、病院に居たはず。でももう永くはなかったと思う。
目の前が真っ暗になって、苦しくてー。
きっと死んでしまったのね。
そして生まれ変わった?
私は突然、前世でも思い出してしまったのかしら?そしたら、この年まで生きたミリアムの記憶はどこ?
私は、しばらく目を閉じていると、脳がギュウっと締めつけられるような傷みが走った。
「い、イタッ!イ、イタイ!」
私は、その場でパタリと倒れた。
私の侍女ケイリーの悲鳴が聞こえた。
「ミリアム様!ミリアム様!」
私は、思い出した。
そう、この国の第1王女として生まれ、上には2人のお兄様が居る。
滅多に会えないお父様とお母様が大好きで、優しいお兄様も大好きで、毎日、勉強とダンスの練習に疲れていて、侍女のケイリーのことは、こっそりとお姉様のように慕っている。
記憶の融合が起こったようで、今世の自分と前世の自分が混ざったような感覚だ。
確か、階段から落ちたのではなかったかしら?
私、目を開けると、周りにケイリーと1つ上の王子、ラインベルトお兄様と医師のオルセント先生が居た。
「あ、目を覚ましたみたいだよ!ミリアム大丈夫かい?」
「あ、お兄様?来てくれたんですね」
「僕のことわかるの?良かったー。ケイリーが記憶がないっていうから驚いて、心配で見に来たんだよ」
「あ、さっきまで記憶がなかったのは本当です。今、倒れた時に色々と思い出しました。お兄様、心配かけてごめんなさい」
「そっか、思い出したなら良かったよ。可愛い妹が僕のことを忘れたら悲しいからね」
お兄様がポンポンと頭を撫でてくれた。
「ミリアム様、もう記憶が戻られたのですか?私のことも覚えておりますか?」
ケイリーが心配気に声をかけてきた。
「ケイリーごめんね。さっきは忘れてたけど、思い出したよ。私、ケイリーのこと大好き!」
「ミ、ミリアム様!」
ケイリーは感動して泣いてしまった。
「フム、強く頭を打って一時的に記憶障害があったようだね。もう大丈夫そうだが、しばらく安静にしないとダメだよ。分かったね?」
「はい!オルセント先生。ゆっくり養生しますわ」
ニッコリ微笑む。
そう、私はこの国の王女。
私の第2の人生は、ここから始まるんですね。
健康な体と、大きな責任ある身分。
前世の私は、本当に誰の役にも立てなかった。
今世では、そんなことにならないだろう。
みんなの役に立ちたい。
その為には、この国のことを今まで以上に頑張ろう。
私は、胸に誓った!
絶対に人の役に立つと!
景色でしか、季節が分からない。
手に持った本は、「美味しい野菜作り」。
いつか種からお野菜を作ってみたり、田んぼに稲も入れたりしてお米作りもやってみたい。
美味しい料理を作ったのを「美味しい」って食べてもらったらどんなに嬉しいだろう?
次、生まれ変わったら、今の人生の分も一生懸命生きよう。
私は、本をテーブルに置くと、ふと睡魔に襲われて目を閉じる。
ググっと意識が一気に真っ暗になる。
目が醒めると、見知らぬ天井・・。
豪華な天蓋付きベッド?
2つ3つ、4つ並べた大きな枕に大きなベッドにどうやら私は寝ているようだ。
病院からどこかに移されたのかしら?
もしかして、余命が少ない人が入る特別な部屋なのかも。
でも、おかしいわ。
息苦しさが全然ない。身体が軽い?
起き上がってみても、いつものような体の重さがない。
手を見てみると・・。
「えっ?」
小さな手に腕、そして布団を捲ると小さな足。
全てが縮んでいる!?
キョロキョロと見渡すと、部屋の片隅に大きな鏡が置いてあった。
私は、ベットから降りると鏡に向かって歩いた。
歩くことのなんと軽やかこと!
私は、何故か不安と期待と胸がドキドキしながら鏡の前に立つ。
そこにはー。
銀髪の幼女がそこにいた。
幼いながらに、大きな瞳と長い睫毛は、将来とても美しくなる予感を秘めている。
「か、可愛い・・。え、こ、これ私なの?」
私が話すと鏡の前の女の子も口を動かしたり、驚いた顔をしている。
お、同じ動きだよね?
突然、部屋のドアが開き、女性が入ってきて、先程私が寝ていたベットに近づいた。
「え、ミリアム様?ミリアム様がいないわっ」
女性が驚くと、慌てて部屋の照明を点けた。
部屋が明るくなる。
私は、この部屋がかなり広くて豪華であることを知った。
そして、女性と目が合う。
「ミリアム様!そこに居たのですね!突然、ベットから姿が見えなくて心配しましたよ」
女性は、メイドのような黒いワンピースに白いエプロンを着て、髪を後ろでしっかりと纏めいる。年は20歳くらい?
中々若くて綺麗なお姉さんだけど、誰だろ?
「え、あのミリアムって私のこと?」
私は、ここがどこか、自分が誰かも分からないのでこの人に聞いてみようと思って声を掛けたのだが。
「ま、まさかミリアム様、私のことも分からないのでしょうか?」
「は、はい。すいません。初めましてではないのですよね?」
その女性は、顔を青ざめて、ウロウロと部屋を行ったり来たり始めた。
そして、ピタリと足を止め、こちらに来た。
「すいません、大変取り乱してしまいました。私は、あなた様にお仕えしております、侍女のケイリーと申します。そして、あなた様は、この国の王女様です。名前は、ミリアム・フォン・イル・オンディーヌ様です。思い出しませんか?」
私がこの国の王女様?
ミリアムナントカ?
私は、病院に居たはず。でももう永くはなかったと思う。
目の前が真っ暗になって、苦しくてー。
きっと死んでしまったのね。
そして生まれ変わった?
私は突然、前世でも思い出してしまったのかしら?そしたら、この年まで生きたミリアムの記憶はどこ?
私は、しばらく目を閉じていると、脳がギュウっと締めつけられるような傷みが走った。
「い、イタッ!イ、イタイ!」
私は、その場でパタリと倒れた。
私の侍女ケイリーの悲鳴が聞こえた。
「ミリアム様!ミリアム様!」
私は、思い出した。
そう、この国の第1王女として生まれ、上には2人のお兄様が居る。
滅多に会えないお父様とお母様が大好きで、優しいお兄様も大好きで、毎日、勉強とダンスの練習に疲れていて、侍女のケイリーのことは、こっそりとお姉様のように慕っている。
記憶の融合が起こったようで、今世の自分と前世の自分が混ざったような感覚だ。
確か、階段から落ちたのではなかったかしら?
私、目を開けると、周りにケイリーと1つ上の王子、ラインベルトお兄様と医師のオルセント先生が居た。
「あ、目を覚ましたみたいだよ!ミリアム大丈夫かい?」
「あ、お兄様?来てくれたんですね」
「僕のことわかるの?良かったー。ケイリーが記憶がないっていうから驚いて、心配で見に来たんだよ」
「あ、さっきまで記憶がなかったのは本当です。今、倒れた時に色々と思い出しました。お兄様、心配かけてごめんなさい」
「そっか、思い出したなら良かったよ。可愛い妹が僕のことを忘れたら悲しいからね」
お兄様がポンポンと頭を撫でてくれた。
「ミリアム様、もう記憶が戻られたのですか?私のことも覚えておりますか?」
ケイリーが心配気に声をかけてきた。
「ケイリーごめんね。さっきは忘れてたけど、思い出したよ。私、ケイリーのこと大好き!」
「ミ、ミリアム様!」
ケイリーは感動して泣いてしまった。
「フム、強く頭を打って一時的に記憶障害があったようだね。もう大丈夫そうだが、しばらく安静にしないとダメだよ。分かったね?」
「はい!オルセント先生。ゆっくり養生しますわ」
ニッコリ微笑む。
そう、私はこの国の王女。
私の第2の人生は、ここから始まるんですね。
健康な体と、大きな責任ある身分。
前世の私は、本当に誰の役にも立てなかった。
今世では、そんなことにならないだろう。
みんなの役に立ちたい。
その為には、この国のことを今まで以上に頑張ろう。
私は、胸に誓った!
絶対に人の役に立つと!
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