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「動くなガキ!」
そう言われ頭だけ動かし男を見やると、少女を右腕で抱き込み、左手に持ったナイフを彼女の首筋へ当てる姿が見える。
「一歩でも動いたら……」
俺は奴が言い終える前に、瞬時に距離を詰めナイフを持つ手を右手で抑えた。
「んなっ!?」
敵が驚く瞬間を見逃さず、一時硬直した敵の頭を左手で掴み、そのまま下へ抑えつつ膝蹴りを顔に打ちかます。
「げほっ……!」
敵が倒れ伏したのを見た俺は、軽く息を吐いた。
そして、少女に手を伸ばしてーー。
「大丈夫か? さぁ、家に返してやるから……」
そこまで言ったところで、両側の通路の影より、合計十人ほどの仲間と思われる男達がわらわらと現れた。
どうやらただのチンピラの集まりではなかったらしい。
「ちっ……君、下がって……」
少女を下がらせようと前に出たその時。
「うぐぅ……!?」
何故か、俺の背には……
男の持っていたナイフが、深々と突き刺さっていた。
「な、なん、で……っ!?」
俺を刺した犯人は、一人しかいない。
「ふひっ……!」
小綺麗な少女が、俺の疑問に対し、不敵な笑みで応えた。
「へへっ……! よぉやく見つけたぜぇ、“赤眼の呪い子”ちゃぁん!」
集まってきた男の一人が、下卑た笑みを浮かべながらナイフを取り出す。
「……最初から俺が狙いかよ……!!」
少女から距離を起きつつ、改めてバリアを張り警戒していると、再び後方から笑い声が耳を突く。
「そうよぉ。最初から貴方が目的だったの……以前、よくもウチの商品をかっさらってくれてわね!! たっぷり可愛がってから売り飛ばしてやる!!」
どうやら少女はただの童顔の大人で、しかも彼女は前に首を突っ込んだどこかのグループの一員らしい。
こうなるから基本的に人は揉め事に突っ込まないのだろう。が、今はこの場をどう切抜けるかに神経を研ぎ澄ましていく。
何、こんなピンチ何度も経験した。今回も、きっとーー。
「く、ぅっ……」
どうやらナイフの当たり所が悪かったらしく、バリアが解け、身体のバランスも崩す。
後先考えず、人助けした結果がこれか……。
不器用に生きてしまった罰なのか、後悔のようなものを胸に抱えたまま、俺は地面に倒れ……無かった。
「……!?」
声も出せず驚き、僅かに顔を上げる。
何かが……いや、誰かが抱え込んでくれたというのは感触でわかるが、こんな状況で、誰が、一体……?
「……すまないな」
それは、何処か安心する声だった。
「君には、苦労をかけてしまった……」
懺悔のような言葉だったが、俺は何故か安堵し、周りが敵だらけの状況だと言うのに、そのまま意識を手放してしまった……。
そう言われ頭だけ動かし男を見やると、少女を右腕で抱き込み、左手に持ったナイフを彼女の首筋へ当てる姿が見える。
「一歩でも動いたら……」
俺は奴が言い終える前に、瞬時に距離を詰めナイフを持つ手を右手で抑えた。
「んなっ!?」
敵が驚く瞬間を見逃さず、一時硬直した敵の頭を左手で掴み、そのまま下へ抑えつつ膝蹴りを顔に打ちかます。
「げほっ……!」
敵が倒れ伏したのを見た俺は、軽く息を吐いた。
そして、少女に手を伸ばしてーー。
「大丈夫か? さぁ、家に返してやるから……」
そこまで言ったところで、両側の通路の影より、合計十人ほどの仲間と思われる男達がわらわらと現れた。
どうやらただのチンピラの集まりではなかったらしい。
「ちっ……君、下がって……」
少女を下がらせようと前に出たその時。
「うぐぅ……!?」
何故か、俺の背には……
男の持っていたナイフが、深々と突き刺さっていた。
「な、なん、で……っ!?」
俺を刺した犯人は、一人しかいない。
「ふひっ……!」
小綺麗な少女が、俺の疑問に対し、不敵な笑みで応えた。
「へへっ……! よぉやく見つけたぜぇ、“赤眼の呪い子”ちゃぁん!」
集まってきた男の一人が、下卑た笑みを浮かべながらナイフを取り出す。
「……最初から俺が狙いかよ……!!」
少女から距離を起きつつ、改めてバリアを張り警戒していると、再び後方から笑い声が耳を突く。
「そうよぉ。最初から貴方が目的だったの……以前、よくもウチの商品をかっさらってくれてわね!! たっぷり可愛がってから売り飛ばしてやる!!」
どうやら少女はただの童顔の大人で、しかも彼女は前に首を突っ込んだどこかのグループの一員らしい。
こうなるから基本的に人は揉め事に突っ込まないのだろう。が、今はこの場をどう切抜けるかに神経を研ぎ澄ましていく。
何、こんなピンチ何度も経験した。今回も、きっとーー。
「く、ぅっ……」
どうやらナイフの当たり所が悪かったらしく、バリアが解け、身体のバランスも崩す。
後先考えず、人助けした結果がこれか……。
不器用に生きてしまった罰なのか、後悔のようなものを胸に抱えたまま、俺は地面に倒れ……無かった。
「……!?」
声も出せず驚き、僅かに顔を上げる。
何かが……いや、誰かが抱え込んでくれたというのは感触でわかるが、こんな状況で、誰が、一体……?
「……すまないな」
それは、何処か安心する声だった。
「君には、苦労をかけてしまった……」
懺悔のような言葉だったが、俺は何故か安堵し、周りが敵だらけの状況だと言うのに、そのまま意識を手放してしまった……。
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