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(R18)夜は明ける
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「うっ、きゃっ」
「ごめん。庭理」
俺は庭理が頭をぶつけないように、頭を支えながら押し倒す。
「いいよ。かいと」
頬を赤らめて、庭理はそう言う。
我ながら、自分勝手だと思う。
庭理が求めてくるときは、突っ放す癖に、自分がしたいときは無理矢理にしてしまう。
いや、今日はクリスマスだから、特別な日だから、どのみちしようと思ってたけど。
けれど、結局こんな強引にしてしまう俺に、俺自身嫌気が差す。
「んちゅっ、ちゅっ......」
俺は庭理の唇に自分の唇を重ねた。
舌を絡めると、向こうからも絡めてくる。そこが可愛く思えてしまうのは、きっとこの夜のせいだろう。
「ちゅぱっ......」
顔を離すと、銀の糸が俺と庭理を結ぶが、すぐ切れてしまう。それがどこか虚しい。
「脱がすぞ」
俺が庭理の上着を脱がそうとすると、庭理が俺の手を掴んだ。
「続きはあっちでしよ」
俺は庭理に言われた通り、寝室で続きをすることにした。
寝室に移動し、俺も庭理も裸体を空気に晒した。
「ちゅっ......」
俺は再び庭理にキスをした。
唇から離れると、次は庭理の耳をあまがみする。
「んあっ......」
急な動作に驚いたのか、庭理はいつもより大きく喘いだ。
庭理が自らの手を俺に回す。
「庭理っ」
俺は身体を浮かし、庭理のそこに、いきり立ったそれを入れようと......
入れようとして、一瞬戸惑った。すると、
「待って」
庭理が低いトーンでそう言う。
「海斗、迷ってるの?」
庭理が起き上がり、俺にそう問う。
「えっ」
俺は、自分でも何がどうなのかわからなくなった。
「海斗、なんかおかしい」
おかしい?
おかしいってなんだ?
何がおかしいんだ?
「海斗、今日はもう寝よう」
「......あぁ」
俺は、庭理と同じ布団で横になる。
当然の如く、なかなか寝付けない。
それは庭理も同じようで、とある話をし始めた。
「ボクの父さんと兄ちゃん、死んじゃったんだ」
「えっ」
庭理の急なカミングアウトに、俺は戸惑う。
「父さんはボクが小学六年生の時、兄ちゃんは中学二年生の時にね」
俺は庭理を向いた。
「兄ちゃんは、病気で死んじゃったんだけど、父さんは、自殺で......」
「庭理......」
俺は庭理の手をぎゅっと握った。
そうか、庭理も、大切な人を失う悲しみを知ってたんだな。
「かいとっ......」
庭理は振り向き、俺の胸に飛び込んできた。
「かいとは死んじゃ駄目だよっ......」
震える声で、庭理が俺に願う。
「死なねぇよ。死ぬときは、一緒だ」
庭理は泣いていた。
俺の胸の中で泣いていた。
俺は、この時誓った。
何があっても、庭理だけは守ってみせると。
━━━━━━━━━━━━━━━
「......んぁ?」
目が覚めると、もう朝日が昇っていた。
隣の部屋からいい臭いがする。庭理が朝食を作っているのだろう。
「おはよう」
俺は扉をあけ、庭理に挨拶をする。
「あ、おはよう海斗」
そう言って庭理が笑う。
「海斗、それ運んどいて」
「あいよ」
今日の朝食はフレンチトーストとインスタントのコーンスープだった。
「「いただきます」」
俺はまず、フレンチトーストから手をつけることにした。
程好い甘さが染み渡る。この絶妙な味の加減は、庭理が毎日料理を作ってきた成果だろう。
要するに、今日も庭理の飯は最高と言うことだ。
「庭理、今思い出したんだけどさ」
庭理が不思議そうに俺を見た。
「庭理のお母さんは生きてるんだよな」
「え?あぁ、うん。そうだよ」
「俺、会ってみたい。庭理のお母さんに」
すると、庭理が飲んでいたコーンスープを吹き出した。
「おわっ!大丈夫か庭理?」
「けほっ、けほっ、いや、唐突過ぎてさ...」
庭理が近くに置いてあったティッシュで口元と机を拭う。
「というか、なんで急にボクのお母さん?」
庭理が真面目な顔で聞いてくる。
「いやぁ、挨拶......みたいな?」
俺はそう言いながら頭を掻いた。
「......嘘、でしょ」
「えっ?」
庭理が半目で俺を見つめる。
「じー」
「や、やめろぉ!そんな目で人を見ちゃいけません!」
俺がふざけると、庭理は笑いだした。続けて俺も爆笑する。
「で、どうする?いつ行く?」
「庭理の実家に?んー、そうだなぁ。1月の2日辺りでいいんじゃないか。1日は初詣とかで忙しいし」
「じゃ、決まりだね」
「おう」
それにしても、庭理のお母さんか。
一体どんな人なんだろう。
あれ、そういえば庭理、俺が嘘ついてるって、なんでそう思ったんだ。
「ごめん。庭理」
俺は庭理が頭をぶつけないように、頭を支えながら押し倒す。
「いいよ。かいと」
頬を赤らめて、庭理はそう言う。
我ながら、自分勝手だと思う。
庭理が求めてくるときは、突っ放す癖に、自分がしたいときは無理矢理にしてしまう。
いや、今日はクリスマスだから、特別な日だから、どのみちしようと思ってたけど。
けれど、結局こんな強引にしてしまう俺に、俺自身嫌気が差す。
「んちゅっ、ちゅっ......」
俺は庭理の唇に自分の唇を重ねた。
舌を絡めると、向こうからも絡めてくる。そこが可愛く思えてしまうのは、きっとこの夜のせいだろう。
「ちゅぱっ......」
顔を離すと、銀の糸が俺と庭理を結ぶが、すぐ切れてしまう。それがどこか虚しい。
「脱がすぞ」
俺が庭理の上着を脱がそうとすると、庭理が俺の手を掴んだ。
「続きはあっちでしよ」
俺は庭理に言われた通り、寝室で続きをすることにした。
寝室に移動し、俺も庭理も裸体を空気に晒した。
「ちゅっ......」
俺は再び庭理にキスをした。
唇から離れると、次は庭理の耳をあまがみする。
「んあっ......」
急な動作に驚いたのか、庭理はいつもより大きく喘いだ。
庭理が自らの手を俺に回す。
「庭理っ」
俺は身体を浮かし、庭理のそこに、いきり立ったそれを入れようと......
入れようとして、一瞬戸惑った。すると、
「待って」
庭理が低いトーンでそう言う。
「海斗、迷ってるの?」
庭理が起き上がり、俺にそう問う。
「えっ」
俺は、自分でも何がどうなのかわからなくなった。
「海斗、なんかおかしい」
おかしい?
おかしいってなんだ?
何がおかしいんだ?
「海斗、今日はもう寝よう」
「......あぁ」
俺は、庭理と同じ布団で横になる。
当然の如く、なかなか寝付けない。
それは庭理も同じようで、とある話をし始めた。
「ボクの父さんと兄ちゃん、死んじゃったんだ」
「えっ」
庭理の急なカミングアウトに、俺は戸惑う。
「父さんはボクが小学六年生の時、兄ちゃんは中学二年生の時にね」
俺は庭理を向いた。
「兄ちゃんは、病気で死んじゃったんだけど、父さんは、自殺で......」
「庭理......」
俺は庭理の手をぎゅっと握った。
そうか、庭理も、大切な人を失う悲しみを知ってたんだな。
「かいとっ......」
庭理は振り向き、俺の胸に飛び込んできた。
「かいとは死んじゃ駄目だよっ......」
震える声で、庭理が俺に願う。
「死なねぇよ。死ぬときは、一緒だ」
庭理は泣いていた。
俺の胸の中で泣いていた。
俺は、この時誓った。
何があっても、庭理だけは守ってみせると。
━━━━━━━━━━━━━━━
「......んぁ?」
目が覚めると、もう朝日が昇っていた。
隣の部屋からいい臭いがする。庭理が朝食を作っているのだろう。
「おはよう」
俺は扉をあけ、庭理に挨拶をする。
「あ、おはよう海斗」
そう言って庭理が笑う。
「海斗、それ運んどいて」
「あいよ」
今日の朝食はフレンチトーストとインスタントのコーンスープだった。
「「いただきます」」
俺はまず、フレンチトーストから手をつけることにした。
程好い甘さが染み渡る。この絶妙な味の加減は、庭理が毎日料理を作ってきた成果だろう。
要するに、今日も庭理の飯は最高と言うことだ。
「庭理、今思い出したんだけどさ」
庭理が不思議そうに俺を見た。
「庭理のお母さんは生きてるんだよな」
「え?あぁ、うん。そうだよ」
「俺、会ってみたい。庭理のお母さんに」
すると、庭理が飲んでいたコーンスープを吹き出した。
「おわっ!大丈夫か庭理?」
「けほっ、けほっ、いや、唐突過ぎてさ...」
庭理が近くに置いてあったティッシュで口元と机を拭う。
「というか、なんで急にボクのお母さん?」
庭理が真面目な顔で聞いてくる。
「いやぁ、挨拶......みたいな?」
俺はそう言いながら頭を掻いた。
「......嘘、でしょ」
「えっ?」
庭理が半目で俺を見つめる。
「じー」
「や、やめろぉ!そんな目で人を見ちゃいけません!」
俺がふざけると、庭理は笑いだした。続けて俺も爆笑する。
「で、どうする?いつ行く?」
「庭理の実家に?んー、そうだなぁ。1月の2日辺りでいいんじゃないか。1日は初詣とかで忙しいし」
「じゃ、決まりだね」
「おう」
それにしても、庭理のお母さんか。
一体どんな人なんだろう。
あれ、そういえば庭理、俺が嘘ついてるって、なんでそう思ったんだ。
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