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五話

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 「セラさんは異能者って言うけど、どんな異能が使えるんだ?」

 陛下が泣き止んでから話の続きが始まった。
 続きといってももうほとんど話は終わったようなものだけど。

 私はグランさんに質問された事に答える。

 「私の異能は周囲の風を自在に操る事ですね。物心つく前から時々使っていたみたいですけど、孤児院の院長とかは魔法の知識があまり無かったので私の異能を子供が魔法を使おうとしているだけと思ってたみたいです」

 私は異能を人前で使ったらいけないと分かるまでは孤児院で時々使っていた。だけどまだ、その時はそよ風程度しか起こせなかったから子供が風魔法を使おうとして不発しているくらいにしか思わなかったみたい。

 「風を操る異能ですか」

 「はい、そうですけど。それがどうかしました?」

 「正直、異能というのをもっと強い力だと思っておりまして。
 案外可愛い異能ですね」

 「そう、ですか?」

 私もあまり人の異能を見た事がないから分からないけど、どんな異能を想像したんだろう?

 「兄さん、話はそれくらいで終わりにしておこう。もう夜の2時を回ってるからね」

 「もうそんな時間か」

 時計を見ると確かに夜の2時を過ぎている。

 そっか、パーティーが始まったのが夜の9時からだったからもうそんな時間になるのね。
 まぁ、話のうちの半分くらいの時間は陛下が泣いていた時間だけど。

 「セラさん。もし良ければ王城に住みませんか?」

 「え、いいんですか? アベルトさん」

 「はい、構いません。と言うか僕たちは家族ですからね。まだ実感が湧きませんが。
 勿論、一緒に住むのが嫌であれば王都に一軒家を用意させますので言って下さい」

 「いえいえ、そんな嫌だなんて。家族と一緒に住めるなんてすごく嬉しいです!」

 「それは良かった。すぐにメイドに部屋を案内させますので少し待っていてください。
 父さんもそれでいいよね?」

 「あぁ」

 陛下は低い声で短く答える。
 陛下なのに今さっきまで泣いていたから目が赤い事が少し笑えてしまう。

 それから少ししてアベルトさんが呼んだメイドさんに部屋を案内してもらうため陛下達とは別れた。

 それにしてもメイドとして働いていたから、メイドさんに部屋を案内してもらうなんて変な感じ……

 「こちらの部屋をお使いください。
 家具は必要最低限のものしか揃っていませんので何か欲しいものがあれば、用意いたしますのでお申し付け下さい。では」

 私は自分のあてがわれた部屋を見渡す。

 「絶対私が今まで生活してた部屋より豪華だよね?」

 これ以上に欲しいものって……

 今日は疲れていた事もあって、私はそのままベットに身を預けた。

 明日からは朝起きれば家族がいる。
 今日はいい夢見れそうだなぁ。

 

 
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