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スイトピー
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仕事に戻ろうと廊下を歩いていると売店のおばちゃんが花壇で作業しているのが見えた。
『こんにちは、何してるんですか?』
『これはね、花の種をまいているのよ。・・・ちょっと、トイレに行きたくて。あと少しで終わるんだけどこの種まいてくれる?それじゃ宜しくね!』
『え、あ、ちょっと・・・。』
待ってという前におばちゃんは足早にトイレへと向かってしまった。
まあ、本当に少しだし、まいてみますかね。
種まきなんていつぶりだろう。
小学生の時に学校の宿題でアサガオ育てたことはあったけど。
童心にかえり黙々と種をまいた。
そういえばこれ、なんの種なんだろう?
!?
種が入った袋にはスイトピーの文字があった。
裏面をよく読むとスイトピーは秋に種まきして春に咲く花のようだ。
『何してるんだ?』
突然後ろから話しかけてられて振り向くとそこには先程の話の中心にいた人物の一人が立っていた。
石神先生・・・。
急な登場人物過ぎて変に焦ってしまう。
『ス、スイトピーの種をまいてました。』
『そうか。』
『・・・・・。』
話がぶつ切りになってしまい気まずくなった私は残りの土もしっかり種にかぶせてそそくさと立ち去ろうとした。
『では、失礼します。』
『花が好きなのか?』
『え、いや・・・特にそういうわけでは・・・どちらかというとお花見るよりは甘いものを食べてるほうが好きですかね、なんて、アハハ・・・。』
ああ、みんなが言っていたのはこれか。この人と関わると緊張しちゃうのがよく分かった。
存在が絵になり過ぎて、眩しい・・・。
『じゃあ一緒に美味しい大福を食べに行こう』
『・・・へ?』
石神先生、今、なんて言った?
『・・・嫌なのか?』
『え!嫌とかじゃ・・・ないんですが・・・なんでまた私と・・・?』
心なしがいつも完璧に決まっていてクールな印象の石神先生が動揺しているように見えた。
『それは・・・おそらく今ここで言うことではないだろう。』
石神先生に真っ直ぐに見つめられた私は思わず赤面してしまう。
なんか本当に漫画の中のモテるだろうなっていうキャラクターがそのまま現世に降ってきたみたいな、そんな石神先生がどうして私と一緒に大福を食べたいんだろうか?
困惑している私を見ながら普段見せた事無いくらいにニコッと笑った石神先生は私の頭をポンポンしながら一枚の紙を渡してきた。
『あとで連絡する。』
電話番号とLINEのID。
振り向いて颯爽と戻っていく石神先生はいつもの姿だった。
これは神社にお参りしたからなのか、はたまた占いコーナーの力なのか、どっちもなのか。
とにかく私と石神先生の恋は、この日始まったんだ。
スイトピーの花言葉が運命だったという事に気付くのはまだまだ先の事・・・。
→スピンオフ 石神先生へ
『こんにちは、何してるんですか?』
『これはね、花の種をまいているのよ。・・・ちょっと、トイレに行きたくて。あと少しで終わるんだけどこの種まいてくれる?それじゃ宜しくね!』
『え、あ、ちょっと・・・。』
待ってという前におばちゃんは足早にトイレへと向かってしまった。
まあ、本当に少しだし、まいてみますかね。
種まきなんていつぶりだろう。
小学生の時に学校の宿題でアサガオ育てたことはあったけど。
童心にかえり黙々と種をまいた。
そういえばこれ、なんの種なんだろう?
!?
種が入った袋にはスイトピーの文字があった。
裏面をよく読むとスイトピーは秋に種まきして春に咲く花のようだ。
『何してるんだ?』
突然後ろから話しかけてられて振り向くとそこには先程の話の中心にいた人物の一人が立っていた。
石神先生・・・。
急な登場人物過ぎて変に焦ってしまう。
『ス、スイトピーの種をまいてました。』
『そうか。』
『・・・・・。』
話がぶつ切りになってしまい気まずくなった私は残りの土もしっかり種にかぶせてそそくさと立ち去ろうとした。
『では、失礼します。』
『花が好きなのか?』
『え、いや・・・特にそういうわけでは・・・どちらかというとお花見るよりは甘いものを食べてるほうが好きですかね、なんて、アハハ・・・。』
ああ、みんなが言っていたのはこれか。この人と関わると緊張しちゃうのがよく分かった。
存在が絵になり過ぎて、眩しい・・・。
『じゃあ一緒に美味しい大福を食べに行こう』
『・・・へ?』
石神先生、今、なんて言った?
『・・・嫌なのか?』
『え!嫌とかじゃ・・・ないんですが・・・なんでまた私と・・・?』
心なしがいつも完璧に決まっていてクールな印象の石神先生が動揺しているように見えた。
『それは・・・おそらく今ここで言うことではないだろう。』
石神先生に真っ直ぐに見つめられた私は思わず赤面してしまう。
なんか本当に漫画の中のモテるだろうなっていうキャラクターがそのまま現世に降ってきたみたいな、そんな石神先生がどうして私と一緒に大福を食べたいんだろうか?
困惑している私を見ながら普段見せた事無いくらいにニコッと笑った石神先生は私の頭をポンポンしながら一枚の紙を渡してきた。
『あとで連絡する。』
電話番号とLINEのID。
振り向いて颯爽と戻っていく石神先生はいつもの姿だった。
これは神社にお参りしたからなのか、はたまた占いコーナーの力なのか、どっちもなのか。
とにかく私と石神先生の恋は、この日始まったんだ。
スイトピーの花言葉が運命だったという事に気付くのはまだまだ先の事・・・。
→スピンオフ 石神先生へ
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