49 / 88
49世継ぎの王子と公爵家令嬢
しおりを挟む
ルイス王子の問いには答えず、ルーはロイに振り向いた。
「ロイ、エマは不在の間は君に世話を任せていると言っていた。
自宅に持ち帰ったのか?」
ルイス王子を無視していることが気まずくて、ロイは
「…いや」
とだけ否定した。
「では賊が持ち去ったか…
エマの道具も本も全て持ち去られている。
それに、この荒らされ様…何を探していた?
どこぞの令嬢や貴族の度を過ぎた単なる嫌がらせではないのか?
賊を差し向けた者はエマのことを分かってて襲わせた…」
「お前たち、何の話しをしている。何がないっ!」
話の見えないやり取りにジークヴァルトが声を荒げるが、ルーはそれを無視し、
「あなた方が警戒していた人物は誰です?」
と、質問で返す。
ここまでくれば不敬も極まってくる。
「貴様っ!」
「ジークヴァルト、落ち着け。
君はエマのことになると冷静さを失くすようだ」
ルイス王子の制止の言葉に、ルーは一瞬目を驚かせたがすぐにへえと口角を上げた。
「貴方はエマが私の家に泊まったことを気にされていたようですが、私とエマのことに貴方は関係ないと思いますが。
でもこれだけは教えてあげましょう。
私はエマに(敬)愛を捧げていて、彼女もそれを知ってくれています」
ジークヴァルトがエマに想いがあると見抜くと効果的な言葉で抉ってくるルー。
案の定言葉を失くすジークヴァルト。
その肩を宥めるように軽くたたき、代わりにルーの前に出たのはルイス王子だ。
「今回の事態になったことは我々が守れなかった落ち度だ。それは認める。
友人を思う君の怒りは当然だと思う。
首謀者は必ず捕まえる。
だから君たちの知っていることを教えてくれないか」
ここまで見守っていたロイはそろそろ止め時かと、一つため息をついた。
もし、これ以上ルーが不敬な態度を取れば本当に身を危うくする。
「ルー、きちんとお話しすべきだ。
君のことも。
王子様、宰相補佐様、ルーは女性なのです」
異性であると言ったところで大した種明かしにはならないが、少なくとも敵意を剝きだす相手が女性だと知れば幾分気は削がれるだろうとロイは考えたが、ルイス王子とジークヴァルトの反応は意外に大きく、「ええっ!」と声を上げ驚いた。
だが、さらにルーは髪を束ねる紐を解き、長く美しい銀の髪をさらりと後ろに流すと、
「シュタルラント国王子ルイス殿下、ならびに宰相補佐ホランヴェルス様。
私、オースト国宰相、グローシュ公爵が長女ルシエンヌ・デ・グローシュと申します。
私事で家をで、三年前より貴国にてお世話になっております」
と自己紹介し、まるでドレスで正装していると錯覚してしまうほど、完璧で美しい淑女の最敬礼をした。
長い髪を背に流し、顔を上げたルーは不思議なことにもう美しいひとりの令嬢にしか見えなかった。
ルイス王子、ジークヴァルトそしてロイが驚きのあまり立ち尽くすのもそっちのけで、淡々とルーは続ける。
「数々の非礼、お詫び申し上げます。
エマを振り回すあなた方に私は友人として黙ってはいられなかった。
その思いをどうぞお汲み取りいただき、ご容赦頂ければ幸いでございます」
「オースト国のグローシュ家…
先王の第二王子、現国王の同母弟フェルナンド・デ・グローシュ殿のご息女…
噂では病気療養中でここ何年間社交界に姿を現していないと聞いていたが…君が…」
驚きのままルーを凝視し口だけ動かすルイス王子。
だが、この前代未聞の公爵令嬢に興味が湧かないはずはない。
「男装して薬草屋とは。
たった一人で公爵家を出たのかい?」
「はい。15歳の時に」
「15?!では、今はエマと同じ18歳か。何故?薬草屋になりたかったの?」
「…薬草の知識を深めたいと思いまして」
「大した意思の強さだ。お父上の公爵殿はご存知で?」
「無事でいることは手紙で伝えてあります」
「適齢期の令嬢、それも公爵令嬢が社交界を何年も離れるとは。
君はーー自分の務めを…放棄しているということかな?」
「……いえ、公爵家に生まれたからにはその務めは承知しています。
志したことはほぼ叶いましたので、後は公爵家のために生きるつもりです」
「なるほど。君はエマに愛を捧げていると言ったね。
それは友としての親愛?」
「いえ、敬愛です」
「……そう、敬愛」
その意味を理解したルイス王子はジークヴァルトを見た。
ジークヴァルトもルイス王子に同意し頷く。
「ーーーエマを狙った首謀者は、ホージ侯爵だ。
僕と侯爵の養女との縁談が皇太后の命令で持ち上がっていてね。
だが、その令嬢の資質とホージ侯爵に問題があって調べている途中だった。
奴らがこの家中執拗に探していたものとは多分、『魔女のレシピ』だと思う」
「『魔女のレシピ』?それなどのような?」
「分からない。誰にも読めない文字で書かれていてね。薬草調合の秘伝書だと思われる。
それを持って森に暮らしていた娘を侯爵が見つけてきて、皇太后が稀有な『魔女』だと認めて僕の妃にと命じ、侯爵家の養女となったのさ。
ちなみにその娘は師匠からなにも継いでいない。その前に師匠が亡くなったらしい。
だから正しくは『魔女になるはずだった娘』ってことになる。
だから奴らは魔女の証明となり得るその本をエマも持っていると疑ったのだろう」
「では今回のことは、婚約者がいるのにエマに会いに来ていた貴方のせいで起こったことなのですね。
確かに、侯爵やその令嬢からすればエマは邪魔でしょうね。彼女が『魔女』の可能性があると分かれば、貴方の婚約者になり得るのですから尚更。
『魔女のレシピ』やその他の証拠となりそうなものを全て隠滅しようとしたということですか?」
「君の言うとおりだ。言い訳のしようがない。
だが、僕は皇太后の思惑で結婚するつもりはない」
「そうですか。それで?何故エマがそのレシピを持っている『魔女』だと疑われることになったのです?」
二人の会話はもうエマが『魔女』だと前提での話し方だった。
だが、当の二人もジークヴァルトもロイも敢えてそれをお互い確認しない。
ルイス王子とジークヴァルトは、ルーがエマへの愛が「敬愛」だと言った時点で、彼女がエマから秘密を明かされていると分かった。そして、それに驚かないロイも。
ルーたちも、ルイス王子らがエマが『魔女』だと気づいていることは話しぶりからすぐに分かった。
お互いあえて確認しないのはーーールイス王子とジークヴァルトに、エマが秘密を明かしていないから。
エマ本人が秘密にしていることをルーたちの口から明らかにはしないし、ルイス王子たちも尋ねない。
「ホージ侯爵がエマを疑うことになった理由は我が国の内状に関わるので言えない。
それを知ることができるのはーーー例えば君が我が国の王族になった時だけだ。
それで?ないと言っていたものは何?」
「……もこもこ草です」
「そこは聞き流すんだね……
で?もこもこ草って何?」
「決まった呼び名もなく辺境地でひっそりと自生していたあの植物のためにエマが名付けたのです。葉の見た目がもこもこしているので。
私が薬草屋仲間からの噂で知り、ある酒場で一株だけ手に入れました。
エマによると副作用が強いため今のところ常習性はないそうですが……どうかしましたか?」
額に手を当てたルイス王子の大きなため息がルーの話を遮った。
「それって、いま出回っている毒草だよね。
君、酒場でって。なんて危ないことをしているんだっ」
「あなた方も私が女だとは気づかなかった」
「……わかった、今はその話は置いておこう」
無性にいろいろ言いたくなったルイス王子だったが、いまはそれを言っている場合ではない。
とりあえず、お互いの知っている情報を共有した。
するとそこへ階下からスーラが上がってきた。幾分気分が落ち着いたのかと皆が安心したが、スーラは目に入ったロイにいきなり縋り付いた。
「ロイ、ロイ、どうしようっ。
私、あいつらに言ってしまったんだよ。
うちの人を押さえつけて首にナイフあてるもんだからっ!
エマの居場所を言ってしまったんだよ!
実家の村へ行った、って。
昨日、もしあの子がここにいれば殺されてたっ!
あいつらエマを追いかけるかも知れない!
どうかあの子を助けてやってください!!」
最後はルイス王子とジークヴァルトに向かって、スーラは頭を下げていた。
貴族の二人ならなんとか出来るのではないかと、何も知らないスーラは懇願する。
追ってきたロジもスーラの背中を撫ぜながら一緒に頭を下げている。
ジークヴァルトは怒りに震え、エマを狙った者たちへの殺意に満ちた。
事態は一刻の猶予もない。すぐに行動しなければならない。
共に行くと言うルーを「信じて任せて欲しい」とルイス王子が説得し、スーラ夫婦にエマを無事に連れ戻すこと、そして「迷惑をかけてすまなかった」とルイス王子とジークヴァルトは頭を下げた。
店の外は今だに住民が取り囲んでいる。
ジークヴァルトは警備隊長に店の原状回復を厳命し、ルイス王子は「早く髪を結いなさい」とルーに振り返った。
そして、二人は馬へ飛び乗った。
「ロイ、エマは不在の間は君に世話を任せていると言っていた。
自宅に持ち帰ったのか?」
ルイス王子を無視していることが気まずくて、ロイは
「…いや」
とだけ否定した。
「では賊が持ち去ったか…
エマの道具も本も全て持ち去られている。
それに、この荒らされ様…何を探していた?
どこぞの令嬢や貴族の度を過ぎた単なる嫌がらせではないのか?
賊を差し向けた者はエマのことを分かってて襲わせた…」
「お前たち、何の話しをしている。何がないっ!」
話の見えないやり取りにジークヴァルトが声を荒げるが、ルーはそれを無視し、
「あなた方が警戒していた人物は誰です?」
と、質問で返す。
ここまでくれば不敬も極まってくる。
「貴様っ!」
「ジークヴァルト、落ち着け。
君はエマのことになると冷静さを失くすようだ」
ルイス王子の制止の言葉に、ルーは一瞬目を驚かせたがすぐにへえと口角を上げた。
「貴方はエマが私の家に泊まったことを気にされていたようですが、私とエマのことに貴方は関係ないと思いますが。
でもこれだけは教えてあげましょう。
私はエマに(敬)愛を捧げていて、彼女もそれを知ってくれています」
ジークヴァルトがエマに想いがあると見抜くと効果的な言葉で抉ってくるルー。
案の定言葉を失くすジークヴァルト。
その肩を宥めるように軽くたたき、代わりにルーの前に出たのはルイス王子だ。
「今回の事態になったことは我々が守れなかった落ち度だ。それは認める。
友人を思う君の怒りは当然だと思う。
首謀者は必ず捕まえる。
だから君たちの知っていることを教えてくれないか」
ここまで見守っていたロイはそろそろ止め時かと、一つため息をついた。
もし、これ以上ルーが不敬な態度を取れば本当に身を危うくする。
「ルー、きちんとお話しすべきだ。
君のことも。
王子様、宰相補佐様、ルーは女性なのです」
異性であると言ったところで大した種明かしにはならないが、少なくとも敵意を剝きだす相手が女性だと知れば幾分気は削がれるだろうとロイは考えたが、ルイス王子とジークヴァルトの反応は意外に大きく、「ええっ!」と声を上げ驚いた。
だが、さらにルーは髪を束ねる紐を解き、長く美しい銀の髪をさらりと後ろに流すと、
「シュタルラント国王子ルイス殿下、ならびに宰相補佐ホランヴェルス様。
私、オースト国宰相、グローシュ公爵が長女ルシエンヌ・デ・グローシュと申します。
私事で家をで、三年前より貴国にてお世話になっております」
と自己紹介し、まるでドレスで正装していると錯覚してしまうほど、完璧で美しい淑女の最敬礼をした。
長い髪を背に流し、顔を上げたルーは不思議なことにもう美しいひとりの令嬢にしか見えなかった。
ルイス王子、ジークヴァルトそしてロイが驚きのあまり立ち尽くすのもそっちのけで、淡々とルーは続ける。
「数々の非礼、お詫び申し上げます。
エマを振り回すあなた方に私は友人として黙ってはいられなかった。
その思いをどうぞお汲み取りいただき、ご容赦頂ければ幸いでございます」
「オースト国のグローシュ家…
先王の第二王子、現国王の同母弟フェルナンド・デ・グローシュ殿のご息女…
噂では病気療養中でここ何年間社交界に姿を現していないと聞いていたが…君が…」
驚きのままルーを凝視し口だけ動かすルイス王子。
だが、この前代未聞の公爵令嬢に興味が湧かないはずはない。
「男装して薬草屋とは。
たった一人で公爵家を出たのかい?」
「はい。15歳の時に」
「15?!では、今はエマと同じ18歳か。何故?薬草屋になりたかったの?」
「…薬草の知識を深めたいと思いまして」
「大した意思の強さだ。お父上の公爵殿はご存知で?」
「無事でいることは手紙で伝えてあります」
「適齢期の令嬢、それも公爵令嬢が社交界を何年も離れるとは。
君はーー自分の務めを…放棄しているということかな?」
「……いえ、公爵家に生まれたからにはその務めは承知しています。
志したことはほぼ叶いましたので、後は公爵家のために生きるつもりです」
「なるほど。君はエマに愛を捧げていると言ったね。
それは友としての親愛?」
「いえ、敬愛です」
「……そう、敬愛」
その意味を理解したルイス王子はジークヴァルトを見た。
ジークヴァルトもルイス王子に同意し頷く。
「ーーーエマを狙った首謀者は、ホージ侯爵だ。
僕と侯爵の養女との縁談が皇太后の命令で持ち上がっていてね。
だが、その令嬢の資質とホージ侯爵に問題があって調べている途中だった。
奴らがこの家中執拗に探していたものとは多分、『魔女のレシピ』だと思う」
「『魔女のレシピ』?それなどのような?」
「分からない。誰にも読めない文字で書かれていてね。薬草調合の秘伝書だと思われる。
それを持って森に暮らしていた娘を侯爵が見つけてきて、皇太后が稀有な『魔女』だと認めて僕の妃にと命じ、侯爵家の養女となったのさ。
ちなみにその娘は師匠からなにも継いでいない。その前に師匠が亡くなったらしい。
だから正しくは『魔女になるはずだった娘』ってことになる。
だから奴らは魔女の証明となり得るその本をエマも持っていると疑ったのだろう」
「では今回のことは、婚約者がいるのにエマに会いに来ていた貴方のせいで起こったことなのですね。
確かに、侯爵やその令嬢からすればエマは邪魔でしょうね。彼女が『魔女』の可能性があると分かれば、貴方の婚約者になり得るのですから尚更。
『魔女のレシピ』やその他の証拠となりそうなものを全て隠滅しようとしたということですか?」
「君の言うとおりだ。言い訳のしようがない。
だが、僕は皇太后の思惑で結婚するつもりはない」
「そうですか。それで?何故エマがそのレシピを持っている『魔女』だと疑われることになったのです?」
二人の会話はもうエマが『魔女』だと前提での話し方だった。
だが、当の二人もジークヴァルトもロイも敢えてそれをお互い確認しない。
ルイス王子とジークヴァルトは、ルーがエマへの愛が「敬愛」だと言った時点で、彼女がエマから秘密を明かされていると分かった。そして、それに驚かないロイも。
ルーたちも、ルイス王子らがエマが『魔女』だと気づいていることは話しぶりからすぐに分かった。
お互いあえて確認しないのはーーールイス王子とジークヴァルトに、エマが秘密を明かしていないから。
エマ本人が秘密にしていることをルーたちの口から明らかにはしないし、ルイス王子たちも尋ねない。
「ホージ侯爵がエマを疑うことになった理由は我が国の内状に関わるので言えない。
それを知ることができるのはーーー例えば君が我が国の王族になった時だけだ。
それで?ないと言っていたものは何?」
「……もこもこ草です」
「そこは聞き流すんだね……
で?もこもこ草って何?」
「決まった呼び名もなく辺境地でひっそりと自生していたあの植物のためにエマが名付けたのです。葉の見た目がもこもこしているので。
私が薬草屋仲間からの噂で知り、ある酒場で一株だけ手に入れました。
エマによると副作用が強いため今のところ常習性はないそうですが……どうかしましたか?」
額に手を当てたルイス王子の大きなため息がルーの話を遮った。
「それって、いま出回っている毒草だよね。
君、酒場でって。なんて危ないことをしているんだっ」
「あなた方も私が女だとは気づかなかった」
「……わかった、今はその話は置いておこう」
無性にいろいろ言いたくなったルイス王子だったが、いまはそれを言っている場合ではない。
とりあえず、お互いの知っている情報を共有した。
するとそこへ階下からスーラが上がってきた。幾分気分が落ち着いたのかと皆が安心したが、スーラは目に入ったロイにいきなり縋り付いた。
「ロイ、ロイ、どうしようっ。
私、あいつらに言ってしまったんだよ。
うちの人を押さえつけて首にナイフあてるもんだからっ!
エマの居場所を言ってしまったんだよ!
実家の村へ行った、って。
昨日、もしあの子がここにいれば殺されてたっ!
あいつらエマを追いかけるかも知れない!
どうかあの子を助けてやってください!!」
最後はルイス王子とジークヴァルトに向かって、スーラは頭を下げていた。
貴族の二人ならなんとか出来るのではないかと、何も知らないスーラは懇願する。
追ってきたロジもスーラの背中を撫ぜながら一緒に頭を下げている。
ジークヴァルトは怒りに震え、エマを狙った者たちへの殺意に満ちた。
事態は一刻の猶予もない。すぐに行動しなければならない。
共に行くと言うルーを「信じて任せて欲しい」とルイス王子が説得し、スーラ夫婦にエマを無事に連れ戻すこと、そして「迷惑をかけてすまなかった」とルイス王子とジークヴァルトは頭を下げた。
店の外は今だに住民が取り囲んでいる。
ジークヴァルトは警備隊長に店の原状回復を厳命し、ルイス王子は「早く髪を結いなさい」とルーに振り返った。
そして、二人は馬へ飛び乗った。
2
お気に入りに追加
518
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
爪弾き者の第一王女は敵国の年下王子の妻となる
河合青
ファンタジー
長く戦争を続けていたアカネース王国とレイノアール王国。両国は婚姻を条件に、停戦条約を結ぶこととなる。
白羽の矢が立ったのは母親の身分の低さから冷遇を受け続けた爪弾き者の第一王女リーゼロッテと、妻よりも若き15歳になったばかりの第三王子レオナルドであった。
厄介払いだと蔑まれ、数々の嫌がらせを受けながらも国のためにとその身を敵国に捧げるリーゼロッテと、産みの母から忌み嫌われるレオナルドは無事に和平の架け橋となることができるのか。
ーーー
過去に他のサイトで公開していた話をタイトルを変え、一部修正して投稿しています。
悪意か、善意か、破滅か
野村にれ
恋愛
婚約者が別の令嬢に恋をして、婚約を破棄されたエルム・フォンターナ伯爵令嬢。
婚約者とその想い人が自殺を図ったことで、美談とされて、
悪意に晒されたエルムと、家族も一緒に爵位を返上してアジェル王国を去った。
その後、アジェル王国では、徐々に異変が起こり始める。
【完結】すべてを妹に奪われたら、第2皇子から手順を踏んで溺愛されてました。【番外編完結】
三矢さくら
恋愛
「侯爵家を継承できるという前提が変わった以上、結婚を考え直させてほしい」
マダレナは王立学院を無事に卒業したばかりの、カルドーゾ侯爵家長女。
幼馴染で伯爵家3男のジョアンを婿に迎える結婚式を、1か月後に控えて慌ただしい日々を送っていた。
そんなある日、凛々しい美人のマダレナとは真逆の、可愛らしい顔立ちが男性貴族から人気の妹パトリシアが、王国の第2王子リカルド殿下と結婚することが決まる。
しかも、リカルド殿下は兄王太子が国王に即位した後、名目ばかりの〈大公〉となるのではなく、カルドーゾ侯爵家の継承を望まれていた。
侯爵家の継承権を喪失したマダレナは、話しが違うとばかりに幼馴染のジョアンから婚約破棄を突きつけられる。
失意の日々をおくるマダレナであったが、王国の最高権力者とも言える王太后から呼び出される。
王国の宗主国である〈太陽帝国〉から輿入れした王太后は、孫である第2王子リカルドのワガママでマダレナの運命を変えてしまったことを詫びる。
そして、お詫びの印としてマダレナに爵位を贈りたいと申し出る。それも宗主国である帝国に由来する爵位で、王国の爵位より地位も待遇も上の扱いになる爵位だ。
急激な身分の変化に戸惑うマダレナであったが、その陰に王太后の又甥である帝国の第2皇子アルフォンソから注がれる、ふかい愛情があることに、やがて気が付いていき……。
*女性向けHOTランキング1位に掲載していただきました!(2024.7.14-17)たくさんの方にお読みいただき、ありがとうございます!
*完結しました!
*番外編も完結しました!
初夜すら私に触れようとしなかった夫には、知らなかった裏の顔がありました~これって…ヤンデレってヤツですか?
蜜柑マル
恋愛
私の目に飛び込んできたのは、裸の夫と同じく全裸の、夫の、義妹の姿でした。
タグにある通りのご都合主義な話です。また、浮気の話ではございません。ドロドロ修羅場はございません。
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる