35 / 88
35嗤うホージ侯爵
しおりを挟む
「お父様、ただいま戻りました」
「マリアンヌか、入れ」
マリアンヌが執務室のドアを閉め姿勢を正すと、執務机で書き物をしていたホージ侯爵は手を止め顔を上げた。
恰幅のある体型にギョロリとした大きな目、白髪を綺麗になでつけ、白いシャツにタイをきっちりと着けているが、貴族的な上品さよりも計算高いやり手な雰囲気が優っている。
「最近、ルイス王子とはあまり会えていないようだな」
侯爵の問いに、マリアンヌが目に見えてビクリと肩を揺らし慌てて否定する。
「ル、ルイス様は最近お忙しいようでして!で、でも先日はご昼食を誘って頂きましたわっ。それに皇太后様にはいつもお招きいただいていますっ」
マリアンヌの言う『先日の昼食』とはもう一カ月以上も前のこと。そのかわり城から少し離れた離宮に住む皇太后の元へは頻繁に通い機嫌取りを欠かしていない。
侯爵としては、皇太后さえ抑えておけば万事うまくいくが、当のルイス王子に蔑ろにされることは侯爵家がそう扱われているようで全く不愉快だった。
マリアンヌを嫌っているならいるでキャンキャンと吠え立てればまだ可愛げがあるが、のらりくらりとかわす軽薄な態度が苛立たしさを煽る。
「お前は仮にも我が侯爵家の娘だ。私を失望させるな」
「も、もちろんですわっ」
「では、これはどういうことだ」
侯爵が一枚の紙を執務机からひらりと投げ落とすと、それはヒラヒラと絨毯の上に落ちた。
マリアンヌがそれを拾い上げ目を通す。
「え…」
内容を理解した瞬間紙を持つ手を震わせた。
「キンセル通りの『スーラのパン屋』の住み込みの娘。お前がこの一カ月以上会っていない間、ルイス王子は街の女のところへ頻繁に通っていたということだ。
春の舞踏会で気分の悪くなった男爵の婚約者を介抱したことで王子の目にとまったらしい。
側室候補三人を後宮から追い出し、王子もやっとお前との婚約を決断したかと思っておれば、目下のライバルが下賤の娘とは……随分軽んじられたものだな」
「春の舞踏会…あの日は皇太后様のお呼び出しがあって行けず…」
マリアンヌは春の舞踏会を楽しみにしていた。
舞踏会場に国中の貴族たちが集まり、ルイス王子にエスコートされ踊ったゴージャス感、それに羨望の眼差しで見上げてくる庶民の娘たちをテラスから見下ろす優越感はたまらなかった。
王都に来て三年は社交界に出してもらえなかった。
一昨年初めて春の舞踏会で紹介された時の感動は忘れられない。
今年はうんと着飾ってルイス王子に褒めてもらうつもりだったのに、皇太后に呼び出され読書とお茶に付き合わされた。
(どんなに悔しかったかっ!それなのに、こんな女がルイス様の目に止まっただって?!)
「ルイス様がこんな女のところへっ?!」
「お前は皇太后様がお認めになったルイス王子の正当な婚約者だ。
皇太后様は世間を納得させるためにお前を侯爵家の養女にせよとお命じになったのだ。強行にでも婚約式を開いていただかなくては。お前も皇太后様を焚き付けろ。
この娘はこちらで始末しておく」
「お父様…」
安心したようにほっと微笑むマリアンヌに侯爵はフンと鼻をならし、手を振って行けとあしらう。
ホージ侯爵はマリアンヌが出て行ったドアをじっと睨みつけた。
「『始末する』と言うたらあの娘笑いおった。ま、それぐらい肝が座ってなければ困る。
皇太后のくだらない趣味のおかげでやっと運が巡ってきたのだからな」
ーーー五年と半年ほど前、皇太后の命令で魔女探しがはじまった。
ホージ侯爵は皇太后に直々に呼び出され、若い魔女を探せと命じられたのだ。
なんでもこの国の行く末にとって重要な人物だというものだった。
「恐れながら、何故私に?」
寝耳に水の話に、ホージ侯爵は当然の疑問を口にする。
「お前が適任だと占いででたからだ」
そう言われたホージ侯爵が唖然としたのは当然だった。
何故なら、皇太后が真に『魔女』だと知っているのは国の上層部でもほんの一部の者たちだけだからだ。
ホージ侯爵をはじめ貴族の間では、皇太后はたいへんな占い好きと知れ渡っているだけだった。
だが、芸術美術に傾倒する王にかわり政治に関与し女性ながらも宰相と共に国を正しく導き、実質的な権力を持っている。
その皇太后からの名指しでの声掛けに、くだらない趣味への付き合いであったとしてもホージ侯爵はいよいよ自分に運が向いてきたと嗤った。
皇太后の指示はこうだった。
占いで出た二カ所に赴くこと。
一カ所目は、北東部にある村。王都から三日ほどかかる場所にあった。
二ヶ所目は、西の国境付近の山奥。ここには詳しい地図がつけられていた。
国の北東部ある村には確かに『魔女』がいた。
村長に問えば、目を動揺で泳がせながら薬の調合の上手い老婆はいるとだけ答えた。
当然の反応だ。護衛兵を従えた貴族がわざわざ来たと思えば眉唾物の『魔女』はいるかと言うのだから。
案内された場所には老婆が一人住んでいただけだった。どこからどう見ても若くはなかった。
都市から離れれば少々薬草の知識がある者が村の医療をになうものだ。こんな老婆などどこの村にも一人はいるだろう。
王都から三日もかけて来た徒労感に「お前は魔女か」と投げやりに問えば、老婆はにんまりと笑いながら「はい、はい、わたしは魔女でございますよ」と答えた。
侯爵は馬鹿馬鹿しくなりすぐに二ヶ所目へ向かった。
そこで見つけたのが小屋に住み着いていた14歳のマリアンヌだった。
皇太后が指示した通りの場所からルイス王子と釣り合う年齢の娘と証拠と思しき書物を見つけたため、マリアンヌを魔女と断定し王都へ連れ帰った。
謁見した皇太后も自分の占い通りに見つかったマリアンヌを魔女と認め、後々には世継ぎのルイス王子の婚約者とすると命じたのだった。
国の行く末にとって重要な人物とは、未来の王妃のことだった。
そして、ルイス王子の婚約者にふさわしい貴族令嬢にするようマリアンヌの後見は侯爵に任され、三年かけてやっと人前に出せるまでにした。
「やっとここまできたのだ。この機会、逃すものか」
どこの馬の骨とも知れぬ平民娘を世継ぎの王子の婚約者に据えても、誰にも何も言わせない皇太后の姿に『王妃の父』となった未来の自分の姿を重ねる。
だが、マリアンヌが執務机の端に置いていった紙がふと視界に入り怪訝そうに眉をひそめる。
「テューセック村のエマ・ハースト。テューセック村……」
「マリアンヌか、入れ」
マリアンヌが執務室のドアを閉め姿勢を正すと、執務机で書き物をしていたホージ侯爵は手を止め顔を上げた。
恰幅のある体型にギョロリとした大きな目、白髪を綺麗になでつけ、白いシャツにタイをきっちりと着けているが、貴族的な上品さよりも計算高いやり手な雰囲気が優っている。
「最近、ルイス王子とはあまり会えていないようだな」
侯爵の問いに、マリアンヌが目に見えてビクリと肩を揺らし慌てて否定する。
「ル、ルイス様は最近お忙しいようでして!で、でも先日はご昼食を誘って頂きましたわっ。それに皇太后様にはいつもお招きいただいていますっ」
マリアンヌの言う『先日の昼食』とはもう一カ月以上も前のこと。そのかわり城から少し離れた離宮に住む皇太后の元へは頻繁に通い機嫌取りを欠かしていない。
侯爵としては、皇太后さえ抑えておけば万事うまくいくが、当のルイス王子に蔑ろにされることは侯爵家がそう扱われているようで全く不愉快だった。
マリアンヌを嫌っているならいるでキャンキャンと吠え立てればまだ可愛げがあるが、のらりくらりとかわす軽薄な態度が苛立たしさを煽る。
「お前は仮にも我が侯爵家の娘だ。私を失望させるな」
「も、もちろんですわっ」
「では、これはどういうことだ」
侯爵が一枚の紙を執務机からひらりと投げ落とすと、それはヒラヒラと絨毯の上に落ちた。
マリアンヌがそれを拾い上げ目を通す。
「え…」
内容を理解した瞬間紙を持つ手を震わせた。
「キンセル通りの『スーラのパン屋』の住み込みの娘。お前がこの一カ月以上会っていない間、ルイス王子は街の女のところへ頻繁に通っていたということだ。
春の舞踏会で気分の悪くなった男爵の婚約者を介抱したことで王子の目にとまったらしい。
側室候補三人を後宮から追い出し、王子もやっとお前との婚約を決断したかと思っておれば、目下のライバルが下賤の娘とは……随分軽んじられたものだな」
「春の舞踏会…あの日は皇太后様のお呼び出しがあって行けず…」
マリアンヌは春の舞踏会を楽しみにしていた。
舞踏会場に国中の貴族たちが集まり、ルイス王子にエスコートされ踊ったゴージャス感、それに羨望の眼差しで見上げてくる庶民の娘たちをテラスから見下ろす優越感はたまらなかった。
王都に来て三年は社交界に出してもらえなかった。
一昨年初めて春の舞踏会で紹介された時の感動は忘れられない。
今年はうんと着飾ってルイス王子に褒めてもらうつもりだったのに、皇太后に呼び出され読書とお茶に付き合わされた。
(どんなに悔しかったかっ!それなのに、こんな女がルイス様の目に止まっただって?!)
「ルイス様がこんな女のところへっ?!」
「お前は皇太后様がお認めになったルイス王子の正当な婚約者だ。
皇太后様は世間を納得させるためにお前を侯爵家の養女にせよとお命じになったのだ。強行にでも婚約式を開いていただかなくては。お前も皇太后様を焚き付けろ。
この娘はこちらで始末しておく」
「お父様…」
安心したようにほっと微笑むマリアンヌに侯爵はフンと鼻をならし、手を振って行けとあしらう。
ホージ侯爵はマリアンヌが出て行ったドアをじっと睨みつけた。
「『始末する』と言うたらあの娘笑いおった。ま、それぐらい肝が座ってなければ困る。
皇太后のくだらない趣味のおかげでやっと運が巡ってきたのだからな」
ーーー五年と半年ほど前、皇太后の命令で魔女探しがはじまった。
ホージ侯爵は皇太后に直々に呼び出され、若い魔女を探せと命じられたのだ。
なんでもこの国の行く末にとって重要な人物だというものだった。
「恐れながら、何故私に?」
寝耳に水の話に、ホージ侯爵は当然の疑問を口にする。
「お前が適任だと占いででたからだ」
そう言われたホージ侯爵が唖然としたのは当然だった。
何故なら、皇太后が真に『魔女』だと知っているのは国の上層部でもほんの一部の者たちだけだからだ。
ホージ侯爵をはじめ貴族の間では、皇太后はたいへんな占い好きと知れ渡っているだけだった。
だが、芸術美術に傾倒する王にかわり政治に関与し女性ながらも宰相と共に国を正しく導き、実質的な権力を持っている。
その皇太后からの名指しでの声掛けに、くだらない趣味への付き合いであったとしてもホージ侯爵はいよいよ自分に運が向いてきたと嗤った。
皇太后の指示はこうだった。
占いで出た二カ所に赴くこと。
一カ所目は、北東部にある村。王都から三日ほどかかる場所にあった。
二ヶ所目は、西の国境付近の山奥。ここには詳しい地図がつけられていた。
国の北東部ある村には確かに『魔女』がいた。
村長に問えば、目を動揺で泳がせながら薬の調合の上手い老婆はいるとだけ答えた。
当然の反応だ。護衛兵を従えた貴族がわざわざ来たと思えば眉唾物の『魔女』はいるかと言うのだから。
案内された場所には老婆が一人住んでいただけだった。どこからどう見ても若くはなかった。
都市から離れれば少々薬草の知識がある者が村の医療をになうものだ。こんな老婆などどこの村にも一人はいるだろう。
王都から三日もかけて来た徒労感に「お前は魔女か」と投げやりに問えば、老婆はにんまりと笑いながら「はい、はい、わたしは魔女でございますよ」と答えた。
侯爵は馬鹿馬鹿しくなりすぐに二ヶ所目へ向かった。
そこで見つけたのが小屋に住み着いていた14歳のマリアンヌだった。
皇太后が指示した通りの場所からルイス王子と釣り合う年齢の娘と証拠と思しき書物を見つけたため、マリアンヌを魔女と断定し王都へ連れ帰った。
謁見した皇太后も自分の占い通りに見つかったマリアンヌを魔女と認め、後々には世継ぎのルイス王子の婚約者とすると命じたのだった。
国の行く末にとって重要な人物とは、未来の王妃のことだった。
そして、ルイス王子の婚約者にふさわしい貴族令嬢にするようマリアンヌの後見は侯爵に任され、三年かけてやっと人前に出せるまでにした。
「やっとここまできたのだ。この機会、逃すものか」
どこの馬の骨とも知れぬ平民娘を世継ぎの王子の婚約者に据えても、誰にも何も言わせない皇太后の姿に『王妃の父』となった未来の自分の姿を重ねる。
だが、マリアンヌが執務机の端に置いていった紙がふと視界に入り怪訝そうに眉をひそめる。
「テューセック村のエマ・ハースト。テューセック村……」
2
お気に入りに追加
515
あなたにおすすめの小説
『完結』人見知りするけど 異世界で 何 しようかな?
カヨワイさつき
恋愛
51歳の 桜 こころ。人見知りが 激しい為 、独身。
ボランティアの清掃中、車にひかれそうな女の子を
助けようとして、事故死。
その女の子は、神様だったらしく、お詫びに異世界を選べるとの事だけど、どーしよう。
魔法の世界で、色々と不器用な方達のお話。
白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
時岡継美
ファンタジー
初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。
侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。
しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?
他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。
誤字脱字報告ありがとうございます!
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪
鈴菜
恋愛
あらゆる傷と病を癒やし、呪いを祓う能力を持つリュミエラは聖女として崇められ、来年の春には第一王子と結婚する筈だった。
「偽聖女リュミエラ、お前を処刑する!」
だが、そんな未来は突然崩壊する。王子が真実の愛に目覚め、リュミエラは聖女の力を失い、代わりに妹が真の聖女として現れたのだ。
濡れ衣を着せられ、あれよあれよと処刑台に立たされたリュミエラは絶対絶命かに思われたが…
「残念でした♪処刑なんてされてあげません。」
追放された薬師は騎士と王子に溺愛される 薬を作るしか能がないのに、騎士団の皆さんが離してくれません!
沙寺絃
ファンタジー
唯一の肉親の母と死に別れ、田舎から王都にやってきて2年半。これまで薬師としてパーティーに尽くしてきた16歳の少女リゼットは、ある日突然追放を言い渡される。
「リゼット、お前はクビだ。お前がいるせいで俺たちはSランクパーティーになれないんだ。明日から俺たちに近付くんじゃないぞ、このお荷物が!」
Sランクパーティーを目指す仲間から、薬作りしかできないリゼットは疫病神扱いされ追放されてしまう。
さらにタイミングの悪いことに、下宿先の宿代が値上がりする。節約の為ダンジョンへ採取に出ると、魔物討伐任務中の王国騎士団と出くわした。
毒を受けた騎士団はリゼットの作る解毒薬に助けられる。そして最新の解析装置によると、リゼットは冒険者としてはFランクだが【調合師】としてはSSSランクだったと判明。騎士団はリゼットに感謝して、専属薬師として雇うことに決める。
騎士団で認められ、才能を開花させていくリゼット。一方でリゼットを追放したパーティーでは、クエストが失敗続き。連携も取りにくくなり、雲行きが怪しくなり始めていた――。
あなたに忘れられない人がいても――公爵家のご令息と契約結婚する運びとなりました!――
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※1/1アメリアとシャーロックの長女ルイーズの恋物語「【R18】犬猿の仲の幼馴染は嘘の婚約者」が完結しましたので、ルイーズ誕生のエピソードを追加しています。
※R18版はムーンライトノベルス様にございます。本作品は、同名作品からR18箇所をR15表現に抑え、加筆修正したものになります。R15に※、ムーンライト様にはR18後日談2話あり。
元は令嬢だったが、現在はお針子として働くアメリア。彼女はある日突然、公爵家の三男シャーロックに求婚される。ナイトの称号を持つ元軍人の彼は、社交界で浮名を流す有名な人物だ。
破産寸前だった父は、彼の申し出を二つ返事で受け入れてしまい、アメリアはシャーロックと婚約することに。
だが、シャーロック本人からは、愛があって求婚したわけではないと言われてしまう。とは言え、なんだかんだで優しくて溺愛してくる彼に、だんだんと心惹かれていくアメリア。
初夜以外では手をつけられずに悩んでいたある時、自分とよく似た女性マーガレットとシャーロックが仲睦まじく映る写真を見つけてしまい――?
「私は彼女の代わりなの――? それとも――」
昔失くした恋人を忘れられない青年と、元気と健康が取り柄の元令嬢が、契約結婚を通して愛を育んでいく物語。
※全13話(1話を2〜4分割して投稿)
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる