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5 安い家
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二、三日してからアオから思わぬ相談をされました。
曰く付きの庭付き一軒家の曰くを聞いてしまったとのことです。
なんと家に遊びに来た女子生徒から。
私といたしましても不純異性交遊にならぬように監視の目を一層厳しくしなければ。ヒカリコちゃんが報われません。
「聞いたからどうしたんですか?」
「せ、先輩は知っていたんですか?」
知っていたも何もですね。
「この家、相場の半額以下でした」
「はい」
「何もないほうが不思議というものでしょう」
「じゃあ知ってたんですね!!」
アオが涙目になっていました。
少ししか住んでいませんが何も問題なかったのに……。
「仕方ないですね……。星空七つ道具のその三と四を貸してあげます」
「ほ、ほんとですか!!」
「これをどうぞ」
アオに銃のようなものと札が束ねてあるものを授けました。経費で落とします。
その三。銃のようなものはソルトガン。塩を発射するものです。ア○ゾンで三千円ほどで購入しました。
その四。札は私がしばらく前にヒカリコちゃんに見せるために購入したもので、地元でもマイナーなジャンルの春画です。
「先輩ソルトガンってアホっすか!!?」
「大真面目です。かっこ良いでしょう?」
「それに、このなんかよくわからないのは何ですか!?」
「ナメクジ×ナメクジの様々なシチュエーションの春画です。こっちでいう同人誌みたいなものですね」
「画面がねっちょりしすぎて何がなんだか」
「心の目で見るのです」
アオは信じられないものを見る目で私を見ましたが、先ほどまでの恐怖は薄れたようです。
「アオ。この間分析するって言っていた髪の毛、どうでした?」
「え? ああ、何かなくなっちゃいましたよ?」
え?
「転送装置に乗せたのに?」
「はい。何か夢の中で女に『SFか!!』って頭叩かれたんですけど、お笑い番組の見すぎですよね~」
あはは、じゃないと思うんですが!! 曰くの元凶に遭遇してるじゃないですか!!
ちなみに曰くというのがこの家で女の人が行方不明になっていて、体を見つけてほしくて化けて出ているというものです。
既に体は発見されて事件で世間を賑わせたため、家のお値段がお安かったんですね。
あの女、この間テレビ見てましたよ。
私はドラマが見たいのに、あの女はバラエティが見たいようでいつもチャンネル争奪戦をしています。
――――第四の月 Σ日 米曜日
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「聞いたからどうしたんですか?」
「せ、先輩は知っていたんですか?」
知っていたも何もですね。
「この家、相場の半額以下でした」
「はい」
「何もないほうが不思議というものでしょう」
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アオが涙目になっていました。
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「仕方ないですね……。星空七つ道具のその三と四を貸してあげます」
「ほ、ほんとですか!!」
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その三。銃のようなものはソルトガン。塩を発射するものです。ア○ゾンで三千円ほどで購入しました。
その四。札は私がしばらく前にヒカリコちゃんに見せるために購入したもので、地元でもマイナーなジャンルの春画です。
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「それに、このなんかよくわからないのは何ですか!?」
「ナメクジ×ナメクジの様々なシチュエーションの春画です。こっちでいう同人誌みたいなものですね」
「画面がねっちょりしすぎて何がなんだか」
「心の目で見るのです」
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「アオ。この間分析するって言っていた髪の毛、どうでした?」
「え? ああ、何かなくなっちゃいましたよ?」
え?
「転送装置に乗せたのに?」
「はい。何か夢の中で女に『SFか!!』って頭叩かれたんですけど、お笑い番組の見すぎですよね~」
あはは、じゃないと思うんですが!! 曰くの元凶に遭遇してるじゃないですか!!
ちなみに曰くというのがこの家で女の人が行方不明になっていて、体を見つけてほしくて化けて出ているというものです。
既に体は発見されて事件で世間を賑わせたため、家のお値段がお安かったんですね。
あの女、この間テレビ見てましたよ。
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